第10話 クラスメートの悩み相談!大喜利カウンセリング

ある日、クラスメートたちの間で「悩み相談会」が開かれることになった。進路や友人関係、部活動のことなど、生徒たちはそれぞれの悩みを抱えていたが、どうにも重たい雰囲気が漂っていた。


そんな中、いつものように長内さんが廊下を掃除していると、教室の中からため息が聞こえてきた。彼は不思議に思い、ふと教室に顔を出して尋ねた。


「おやおや、どうしたんだい?ため息が伝染してしまいそうだぞ。」


すると、一人の生徒が言った。


「長内さん、今日はみんなで悩み相談をしてるんですけど、どうも暗くなっちゃって…」


それを聞いた長内さんは、腕を組んでニヤリと笑った。


「なるほど、悩み相談か。よし、それなら俺の“大喜利カウンセリング”で、悩みをちょっと面白くしてみないか?」


最初は「大喜利で悩みが解決するの?」と疑問に思っていた生徒たちだったが、次第に「面白そう!」という声が上がり、長内さんの提案を受け入れることに。


まず、最初の悩みを持ち出したのはクラスの真面目な女子生徒、佐藤さん。彼女の悩みは「友達と喧嘩してしまい、どうやって仲直りすればいいかわからない」というものだった。


長内さんは佐藤さんを見つめ、「それじゃあ、大喜利で考えてみよう。『もしも友達と喧嘩した時、ユニークな仲直り方法とは?』だ!」とテーマを設定。


佐藤さんはしばらく考え、「じゃあ…相手の家の前に大きな“ごめんケーキ”を置いておくとか?」と笑いながら提案した。


長内さんは「それは面白いな!相手もケーキにびっくりして、思わず笑って仲直りするかもしれないぞ!」と応じ、教室が和やかな笑いに包まれた。


次に手を挙げたのは、運動部に所属する鈴木くん。彼の悩みは「試合前に緊張しすぎて、力が発揮できない」というものだった。


長内さんは「じゃあ、『緊張しすぎて試合に挑むときの珍妙なリラックス法』を大喜利で考えよう!」とテーマを設定。


鈴木くんは少し考えてから、「試合の前に鏡の前で変顔をして、笑って緊張をほぐす!」と答えた。


長内さんは拍手をしながら、「それはいい方法だな!笑いは緊張を吹き飛ばしてくれるから、きっと試合も楽しくなるぞ!」と励まし、またもや教室が笑いに包まれた。


さらに、次の悩みを持ってきたのは、将来について迷っている生徒、山田さん。彼の悩みは「進路が決まらず、将来のことを考えると不安になる」というもの。


長内さんは「よし、それなら『将来の夢が思いつかない時のユニークな道探し法』を考えよう!」とテーマを設定。


山田さんは「じゃあ、毎日“今日やってみたいこと”を一つ決めて、365個やってみる!」と提案した。


長内さんは感心しながら「いいね!それだけ試してみれば、きっと自分に合ったものが見つかるかもしれない。人生の大喜利だな!」と微笑み、教室がさらに温かい笑いに包まれた。


最後に、クラスの内気な女子、田中さんが小さな声で悩みを打ち明けた。


「私、人前で話すのがすごく苦手で…発表があると緊張して声が出なくなっちゃうんです。」


長内さんは優しく田中さんを見つめ、「それなら『人前で緊張しないための変わった練習法』でいこう!」と提案。


田中さんは少し考えてから、「発表の前に、家でぬいぐるみたちを並べて、みんなに向かって話してみる!」と恥ずかしそうに答えた。


長内さんはうなずき、「それは良い方法だ。ぬいぐるみたちが応援してくれるから、きっと自信がつくぞ!」と励まし、教室は優しい笑いで満たされた。


こうして、長内さんの「大喜利カウンセリング」によって、重たい空気だった悩み相談会は、笑いとともに心が軽くなる場へと変わった。生徒たちはそれぞれの悩みを少しだけポジティブに受け入れられるようになり、長内さんのユーモアの力を改めて感じたのだった。


教室を出ていく長内さんの後ろ姿を見送りながら、誰かがつぶやいた。


「やっぱり長内さんって、ただの清掃員じゃないよね…」


こうして、長内さんの「大喜利カウンセリング」は、学校中で話題となり、彼の人気と信頼はますます高まっていったのだった。

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