第8話 体育祭の勝敗は大喜利で決まる?
体育祭の日がやってきた。青空の下、生徒たちはそれぞれ赤組と白組に分かれて、各競技で熱戦を繰り広げている。応援席では生徒たちの親や先生たちも声を上げ、学校中が活気に包まれていた。
しかし、競技が進むにつれ、なぜか赤組と白組の得点がまったくの同点に近づいてきた。最後の競技を終えたところで、驚くことに、結果は「完全な同点」だったのだ。生徒たちは「どちらが勝つのか?」とざわつき始め、先生たちも対応に困っている様子だ。
そこで、職員室の窓から様子を見ていた長内さんがニヤリと笑い、近くの先生に声をかけた。
「俺の大喜利で勝敗を決めてみるのはどうだ?」
先生は一瞬戸惑ったが、これ以上の混乱を避けるため、長内さんの提案に乗ることにした。そして、校庭に集まった生徒たちと先生の前で、長内さんが発表した。
「さて、赤組も白組も、実力は互角。こうなったら、最後の勝負は『大喜利対決』で決めようじゃないか!」
生徒たちは「えー!」「面白そう!」と驚きと興奮が入り混じった声を上げ、さっそく赤組と白組からそれぞれ代表者が選ばれた。
第一ラウンド:「もしも体育祭に不思議な競技があったら?」
赤組の代表者は生徒の山本くん。彼は思案した末にこう答えた。
「えーと…『教室を走る冷蔵庫リレー』とか?重くて速く走れないけど、最後にみんなで冷たいジュースを飲めるとか!」
会場は爆笑に包まれ、「冷蔵庫リレー、確かに面白い!」と先生たちも頷く。
次に白組の代表者、鈴木さんが答える。
「じゃあ…『給食早食い競争』かな!でも、栄養士の先生が監視してて、一番バランス良く食べた人が勝ち!」
これにも笑いが起こり、「確かに健康第一!」と先生たちが大笑いした。第一ラウンドは引き分けに。
第二ラウンド:「負けそうな時に使える必殺技は?」
赤組の山本くんが再び考えた後、答えた。
「負けそうになったら、校長先生が突然現れて『君たちはまだまだ若い!』って気合を入れてくれる。」
会場はまたもや爆笑。「校長先生の登場にみんなが一気にパワーアップしそう!」と盛り上がる。
白組の鈴木さんも負けていない。
「負けそうな時は、応援団が『全員でコマネチダンス』を始めて、相手チームを笑わせて戦意喪失させる!」
これにも生徒たちの大爆笑が起こり、「確かに、そんなダンス見たら戦えなくなるかも!」と両チームとも楽しそうに笑っていた。
第二ラウンドも引き分けで、次が最終ラウンドに。
最終ラウンド:「体育祭で一番ありえないハプニングは?」
山本くんが最後の力を振り絞って答えた。
「うーん…『突然、上空から宇宙人が降りてきて、優勝カップを盗んでいく!』とか?」
生徒たちは驚きと笑いで沸き上がり、「宇宙人が優勝狙いってすごい!」と口々に興奮する。
最後に鈴木さんが真剣な顔で答えた。
「体育祭の途中で校長先生が『よーし、今日は全員でマラソンをしよう!』って急に言い出す。みんなの予定が台無し!」
この答えにも爆笑が巻き起こり、「確かにありえないけど、ちょっとリアルで怖い!」と会場中が笑いの渦に包まれた。
最終ラウンドも引き分けとなり、長内さんは深く考え込んだ後、満面の笑みで生徒たちに告げた。
「さて、勝負は決まらなかったけど、みんなでこんなに笑ったんだ。今日は『笑った者たちの勝ち』ってことで、全員が優勝だ!」
生徒たちは「やったー!」と歓声を上げ、赤組も白組も手を取り合って大喜びした。先生たちも微笑みながら、長内さんの見事な締めに感心していた。
こうして、体育祭は笑いで幕を閉じ、全員が優勝者として記憶に残る特別な一日となった。生徒たちは、長内さんの大喜利でのまとめ方にますます惹かれ、彼を頼りにするようになっていったのだった。
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