第2話 廊下の怪事件!消えたチョークと大喜利の推理

ある朝、生徒たちが教室に集まると、黒板に奇妙な落書きが残されていた。「真実はいつもチョークの中に…」と、赤いチョークで書かれている。教師たちは困惑し、生徒たちは興味津々で騒ぎ始める。


その場に居合わせた清掃員の長内さんは、廊下での掃除をしながらぼんやりとその落書きを眺めていた。やがて、騒ぎを聞きつけた教師が近づき、長内さんに相談する。


「長内さん、廊下のチョークが全部消えてしまっているんです。これも誰かのいたずらでしょうか?」


長内さんはにやりと笑みを浮かべ、口元に手を当てて考え込んだ。


「ふむ…チョークが消えたとなれば、きっとこれは『チョークの怪事件』だな。じゃあ、俺の大喜利推理で解決してやるか。」


さっそく長内さんは、生徒たちを集めて推理ショーのように語り始めた。


「まず、全てのチョークが消えた理由はこうだ。チョークが寂しがって逃げ出したんだ。おい、佐藤!お前、チョークに寂しい思いさせたんじゃないか?」


突然名前を出された佐藤が、慌てて反論する。


「俺は何もしてないっすよ!そもそも、チョークが寂しがるってどういうことですか!」


長内さんは愉快そうに笑いながら言った。


「チョークは人間に使われてこそ輝く。最近、デジタル化が進んで黒板を使わなくなっただろう?だから、チョークたちがストライキを起こしてるのさ。」


生徒たちは「なるほど!」と感心しつつも笑いが止まらない。誰かが次の質問をする。


「じゃあ、そのチョークたちはどこに行ったんですか?」


長内さんは、少し考えるふりをしながら真面目な顔で答えた。


「それは決まってる。美術室だ。あいつらは新しい人生を歩むために、絵の具と手を組んで新たなアート作品を作ろうとしているんだ。」


生徒たちが美術室に向かって大騒ぎする中、教師たちは少し呆れながらも長内さんの話を楽しんでいた。


数分後、美術室にたどり着いた生徒たちが驚きの声を上げる。なんと、美術室には消えたチョークが散らばっており、チョークの粉で描かれた大きな模様が黒板に広がっていた。


それを見た長内さんは、誇らしげにうなずきながら一言。


「ほらな、俺の推理通りだ。チョークたちはアートを求めて逃げ出したんだ。」


驚く教師と生徒たちは、半ばあきれつつも、長内さんの奇妙な大喜利推理に巻き込まれ、少し笑顔を見せた。


こうして、「チョークの怪事件」は長内さんの大喜利推理で無事(?)解決された。生徒たちは、ますます長内さんの話に夢中になり、彼がただの清掃員ではないことを確信するようになった。

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