大喜利が趣味の長内さん

星咲 紗和(ほしざき さわ)

第1話 初日から大喜利!清掃員・長内さん現る

とある不思議な学校に新たな清掃員がやって来た。その名は、長内さん。中年の彼は、ニヒルな表情を浮かべながら、掃除道具を片手に校舎を見上げた。


「さあ、ここからが俺の舞台だな…大喜利の。」


朝のホームルームで、担任教師が生徒たちに告げる。


「今日から新しい清掃員の長内さんが加わります。どうぞよろしく!」


生徒たちは特に興味を示さず、普段どおりのざわざわした雰囲気のまま。しかし、そんな中で一人、風変わりな生徒・田中が手を挙げた。


「先生、長内さんって大喜利が得意なんですか?」


教師が少し困惑した顔で長内さんを見やると、長内さんはにやりと笑い、軽くうなずいた。


「得意も何も、人生は全部大喜利だよ。」


その瞬間、教室中がざわつき始めた。新しい清掃員がただ者じゃない、と感じた生徒たちの興味が一気に彼に集まる。


長内さんは教室に入り、まるで舞台に立つ芸人のように前に立つと、突然言い放った。


「皆、質問してくれ。どんな質問でも、大喜利で返してやる。」


クラスのボケ担当である生徒・佐藤がさっそく手を挙げて叫んだ。


「じゃあ、もしもこの教室が沈没したらどうする?」


長内さんは少し考え、ゆっくりと口を開いた。


「教室が沈没したら…俺はまず浮き輪を配って『今日から体育は水泳だ!』って宣言するな。」


その答えにクラス中が爆笑の渦に包まれる。さらに生徒たちの質問が次々と飛んできた。


「給食がカレーだけになったら?」「校長先生がロボットだったら?」「廊下で幽霊を見たらどうする?」


どの質問にも長内さんは独特の視点からブラックユーモアを交えて答え、生徒たちは彼の話に夢中になっていった。


教師も驚きながら見守っていたが、長内さんの大喜利に圧倒され、すっかり彼のペースに巻き込まれていた。


やがてホームルームの時間が終わり、生徒たちは次の授業に向かって席を立つ。教室を出ようとする長内さんに、一人の女子生徒がつぶやく。


「なんか、面白い人が来たな…この学校、どうなっちゃうんだろう?」


長内さんは振り返り、ふと遠くを見つめたような表情で答える。


「さて、俺がこの学校をどう変えるか、楽しみにしててくれよ。」


こうして、大喜利好きの清掃員・長内さんが巻き起こす騒動の第一歩が始まった。

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