映像
最近、目を瞑ると同じ光景が流れ続けるようになりました。その地続きのように、夢と混同することもあります。
正確には、幻覚が見える訳ではありません。頭の中でその光景の要素が構築されると言いますか、そのことしか考えられなくなるのです。目を瞑るという、視覚からの情報を遮断することによって件の要素が連続した感覚に陥り、映像が流れているようだと思う他なくなるのです。
それは浅い夢を見ているのか、はたまたあまりにも衝撃的なことだったから脳が反復しているのか。脳は大きなストレス負荷がかかると、自己防衛のためにものを忘れると言いますが、私が忘れないようにストップをかけているのでしょうか。もしそうだとしたら、その負荷を凌駕する程のストレスをかけ、忘れないようにしていたことになります。我ながら恐ろしいほどの執念です。
その映像の内容だけは覚えているのですが、どうしてそんなことだけを覚えているのか、私には覚えがありません。
しかし、決まって出てくる人には何故か安心感を覚えているのです。金髪で、緑の瞳。自分と同じ軍服を着ている。今の私にはこの人が誰だか分かりません
推察するに、恐らくこの人は同僚である、と今の私は思っています。
『きみは、どちらに行くのかな』
『俺?俺は……ううん……正直迷ってて』
映像の中の私は、自分のことを俺と言います。そして砕けた言葉遣いをするのです。しかし、そんな口調は私にとっては違和感の塊でした。
金髪の彼は決まって、私に質問を投げます。映像によって若干異なることがありますが、大半は私に2択の質問をしているようでした。それでも何の2択なのか、なぜ私が2択の内容を知っているのか。何も思い出すことができません。
『ふーん、迷ってるんだ。答え出たら教えてよ』
『ああ、そうする』
私は、迷っていた。
一体何に?
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