第4話 夏くんはかっこよくなりたい!!
中庭でベンチに座り、膝の上にお弁当を広げた僕は……お弁当箱を開けながら、少し考え事をする。
「かっこいい、かっこいいかぁ……」
今よりもずっとずっと小さい頃……冬兄が自分を傷付けた傷を見た時に。
隣で冬兄を、この世の全てから守ると決めてから……僕は、ずっと冬兄の隣にいる事が出来るように「かっこいい」について考え続けていた。
「きゃぁっ!! 夏明くんが悩ましげな表情をしてるわ!!」
例えば、
「さすが『夏の王子』よね!! かっこいい!!」
こんな風に……?
◇
「な、夏くんっ……助けて」
「大丈夫だよ、冬兄。僕が来たから」
手を後ろで
「あ、ありがとう……」
「うん。冬兄のことは、僕が守るからね」
涙の跡が残る冬兄をそっと抱き上げて、僕はそう
◇
いや、そもそも冬兄は絶対に泣かせないし!!
誘拐なんて、もっての外だしっ!?
「今度は、使命感に燃えた表情よ!!」
冬兄を誘拐なんて、誰にも絶対にさせるものか!!
「なんて
ん、これは却下。
あとは……人混みから庇うとか?
◇
「人が多いね……」
ぎゅうぎゅうと詰め込まれた電車で、冬兄がそう呟いた。
「うん。冬兄、大丈夫?」
「ん? 大丈夫だよわっ!?」
キキーッと音がして、電車が急ブレーキに揺れる。
よろめいた人に押されて、同じようによろめいて倒れそうになった冬兄を……
「冬兄、大丈夫だったっ!?」
「う、うん……夏くんのおかげだよ、ありがとう」
冬兄のマスクで隠れた口元が、僕にだけわかるくらいに上がっているのが見えた。
◇
いい!!
いい、けどっ!!
それをするには……身長が
冬兄186センチメートルで、僕129センチメートルだぞ!?
くっそ……。
たくさん牛乳飲んで、絶対に冬兄よりも大きくなってやるっ……!!
結局、出る結論は『わからない』。
いつもと全然変わらなくて……僕は少し
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