第45話 太陽と地獄

俺は山田と別れてから歩いて帰っていた。

その最中で...とんでもない光景を目にした。

何かというと山斑が居た。

それも...豊橋と一緒に、だ。

だが雰囲気的にあまり良い気配では無い。


「...それで。生徒会長様?今日休みですよね?」

「なんというか傷心になって無いのか。お前は」

「...なる訳ないでしょう?ただ1人、殺されただけで。捕まったぐらいで」

「...本当に天地がひっくり返る程の驚愕ぶりだ。同じ学校時代だった昔から何も変わらないな。...豊橋」

「私とアンタは天地がひっくり返る存在だよね。...本当に昔からウザかった。天地の差になってもっとウザい」

「...」

「アイドル追っかけているんだっけ?キモいね。オタクって」


山斑は静かに豊橋を見る。

豊橋は肩をすくめながら山斑を見る。

そしてこう話した。


「生徒会長様。私はアンタとは会いたくない部分もあって今日は忠告にね。アンタの様な存在はただウザいだけだから」

「...俺も会うつもりは無かった。だが偶然お前を見てな」

「そうね。私も声をかけたもんね。ウザさマックスだったね」

「...」


何というか山斑と豊橋って同じ学校だったのか?

ビックリ仰天だな...。

そう思いながら見ていると豊橋は薄ら笑いを浮かべてから「じゃあ」と言って去って行った。

俺はその姿を見ながら踵を返す...と思ったら。


「どこに行くんだ」


と山斑の声がした。

俺は更にビックリしながら山斑を見る。

山斑は苦笑した。


「気付いてないと思ったか」

「...気付いていたのか。会長様」

「そうだな。...話の途中でな」

「...そうか。...会長さん。アンタ同級生だったのか。豊橋、アイツと」

「アイツは...そうだな。知り合いだ。...元生徒会だったからな」

「...は?」

「豊橋瑠美はあくまで殺人を犯す前までは。1年前だ」

「ああ。そうだったのか...」


そういう意味では知り合いだな。

そう思いながら俺は山斑を見ていると山斑は「...」となった。

それから俺を見てから彼方の方角を見る。


「昴に何か言われなかったか」

「...何かとは?」

「例えば過去話とかな」

「...そうだな。...会長さんのおっしゃる通りだよ。...俺は山田に過去の話をされた」

「...そうか。アイツの過去は歪んでいるからな」


言いながら山斑は肩をすくめる。

それからこう語った。


「...様々な人間関係を見てきたがどうして豊橋と昴が入れ替わる様な感じになったのか分からない」

「そうだな。...会長さんは何かそれに対してキッカケとかあると思っているのか」

「無いな。...歪んだものは歪んだという事だ。...俺には気が付けない何かがあるのだろう」

「...」

「だがこうなった以上は...豊橋は許せない存在になった」

「...」


俺は静かに山斑を見る。

山斑は「...」となってからまた考える仕草を見せた。

そんな姿を見つつ俺は溜息を吐いた。


「...豊橋は倒す」

「...?」

「半分。アイツが汚染された原因にもなったしな」

「アイツというのは捕まった豊島の事か」

「そうだな。情けとかじゃないぜ。...俺はやるべき決着をつけるだけさ」


そして俺は山斑を見る。

山斑は「...そうか」と短く返事をした。

それから周りを見渡す。

どうも小雨が降ってきたらしい。


「...すまないな。引き留めてしまって」

「会長さん。アイドルの追っかけでもやっていたのか?アンタは」

「...そうだな。...その帰りだった。...奴に会ってしまったのは」

「...そうか」


俺は山斑をまた見てから首を鳴らす。

それから手を挙げた。


「んじゃまあ。解散という事にしようか」

「そうだな。今回は解散という事にしよう。それでは」


山斑は頭を下げてから去って行く。

俺はその姿を静かに見てから踵を返した。

それから歩き出した。

そしてこの日はこれで終わると思ったのだが実際終わらなかった。


何が起こったか。

それは...山斑と遠山さんが付き合い始めた。

遠山さんが告白したらしいが驚愕である。



「告白大成功だよ」

「...そうだな。...お前のお陰だよ。柊子」

「私も舞台セッティングで頑張ったから」

「ああ。有難うな。泉」


翌日。

俺達は俺の家に3人で集まっていた。

俺、泉、柊子。

その3人で、だ。

今日もまた学校は休みだった。


「遠山さんの告白予兆は...気付いていたのか」

「...うん。それで告白の様な形にしたんだけど」

「お前は凄いな。柊子」

「...何も考えてないだけだったけどね。...アドバイスをしただけだし」

「いや。それでも凄い」


そして俺は苦笑しながら柊子を見る。

すると泉が話を切り出した。


「ご家族との関係は...まだ上手くいってないの?柊子ちゃん」

「...あれは家族って思ってないからね。...死のうが生きようが。上手くいくっていう前提がないもん」

「そ、そうなんだね」


俺も泉も冷ややかな感じに苦笑い。

まだ...駄目か。

そう思う。

それから柊子はハッとしてから直ぐに話題を消す様に切り替えた。


「それで遠山さんったら凄い可愛かったんだから」

「ああ。そうなんだな。...写真とかあるのか?」

「あるよあるよ!」


そして猛烈な美少女を見せてくる柊子。

俺は驚きながら美少女を見る。

アイドル...っていうか。

そこら辺のアイドルの数倍可愛い。


「こりゃアイドルオタクも辞めるかもな」

「だけど山斑先輩は「女性とは中身だからな」って言ってた」

「よく分からない回答だけど...まあ良いんじゃないか」

「そうだね」


俺はゲーム機を取り出す。

それからお菓子パーティーの中に置く。


「ゲームやってみないか」

「賛成する」

「確かにねぇ」


そして俺達はゲームを楽しんだ。

今日はそれもそうだが。

取り敢えず俺達は楽しむ事に専念した。

正直...まだまだ頑張らないといけない事ばかりだ。

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