第39話 スタンガン


「初めてかもね。3人でこうしてまともに集まるの」

「...」

「そうだな。俺もそう思う」


俺達はクラスメイト達の心配を見ながら。

そのまま屋上に入った。

目の前に豊島が「...」となって居る。

豊島は俺達の目を見ながら「早速だけど」と切り出す。


「アンタ達どうしたいの?私を」

「簡単に言うとお前は別の道で生きる事をしてほしい」

「別の道?は。くだらない。私は好き勝手に生きさせてもらう」

「それでこの世界は成り立たない。良い加減な事をするな」

「アンタ私の父親気取り?最低ね」

「父親気取り?違うな」


そう言いながら俺は静かに豊島を見据える。

豊島は「...」と無言になってから俺を睨みつける。

俺は「...お前が何度手放そうとも俺達はお前を執念で追い詰める」と言う。

その言葉に「何故?」と嘲笑う。


「...羽鳥さんもそうだが。...お前は更生の余地があるとされていると言ってる」

「更生の余地?くだらないね。私はあくまで自らの道を生きているだけだし」

「お前を裏切った豊橋のせいかもしれないが。...お前は歪みまくっている。その歯車さえ直せばお前はまた多少は戻ると思っている」

「...」


豊島は俺を見据える。

それから「...」となってから「...私をアンタは本気で戻そうとしているの?」と言ってから鼻で笑う。

「羽鳥さんはお前の犯罪を止めたいんだ」と言う俺。


「...犯罪?犯罪って?」

「またお前は何もしてないと言うかもしれないが俺はお前の悪事は悪事に手を下してない点だ。お前の悪事は十分悪事だ」

「...」


俺は豊島を見据える。

「あくまで現状、お前が何もしなければ良いんだ」と言う。

すると豊島は「...そう」と言いながら踵を返した。

その姿を見ていると豊島に胸ぐらを掴まれた。

それから俺の胸ぐらを捻りあげる豊島。

柊子が慌てるがそれを静止した。


「...チッ!!!!!」


そして豊島はそのまま俺から離れてからドアを開けた。

それから去って行った。

俺はその姿を見ながら乱れた服装を整える。


「...数多。どうなるかな」

「変わるか変わらないかはアイツ次第だな。...まあ現状、厳しいだろうけど」

「...だね」


柊子はドアの方を見る。

そして俺達も出て行っていると山田と山斑が居た。

俺を見据えながら「...どうだった」と聞く。

その言葉に俺は肩をすくめてから「...分からない」と答えた。


「...君はよくやったよ。...彼女次第だ。彼女が変われるかどうかだね」

「...」


俺達はそう話しながら各々の教室に帰る。

それから放課後になったが。

事件が起こった。

それは...豊島が豊橋と話し合いに向かって絡まれた。



「で?何をしに来たの?」


私は目の前の豊橋と。

橋本、それから信じていた影島達也を見る。

学校の帰り道で会いに行った。

みんな薄笑いを浮かべているが...。


「...アンタらマジに私を裏切ったんだね」

「それは見て分かる通りかな。まあでも裏切ったっていう表現よりも。貴方が使いやすかった、という表現の方が正しいかもね」

「...最低だね」

「寧ろ貴方が気が付かなかったのが悪いでしょう」

「...」


私は強い怒りを感じながら3人を見る。

3人は「それで何をしに来たの?って聞いているんだけど」と言ってくる。

その言葉に私は唇を噛んでいると。

「よお」と声がした。


「...アンタ...暁月?」

「俺だけじゃない。...泉と柊子も居る」

「...何をしに来たの。...アンタら」

「お前こそ何をしている。...そんなクソどもに関わらなくて良いだろ」

「あ?」


影島が怒りを見せてから掴みかかろうとする。

それを橋本と豊橋が止める。

私は「...」となってから3人を改めて見た。

影島が「何だお前。仲間連れて来たのかよ」と私を見る。

その言葉に私は「...コイツらは勝手に付いて来ただけ」と答えた。


「確かに勝手に付いて来ただけだ。んでお前らを見つけただけだな」

「...傍迷惑だな」

「...お前もな」

「このクソ野郎が」

「...クソ野郎と呼ばれるのは勝手だが。お前ら自らの立場分かっているのか?...下手するとお前ら社会的に死ぬぞ」

「随分偉そうになったな。...それも出会った時より」

「偉そうになったんじゃないけどな。...修復したんだよ。...俺は自らを周りの人達のお陰でな」

「...」


私は「手を出すなよ。暁月」と言う。

それから私は3人を見る。

「...私はアンタらを信頼していた。...その上で外道だって思う。...アンタら」と切り出した。

そして見ていると「じゃあどうする?」と影島が馬鹿にする様に言ってくる。


「どうするもこうするもぶっ殺す。アンタらを」

「殺す?笑わせるね」

「具体的にどうやって」


その言葉にカッとなった私はビニール袋からそれを出す。

防犯用と思っていたけどもう許さない。

コイツらマジにウザい。

どいつもコイツも!!!!!


「...スタンガンか」

「これで心臓麻痺でも起こして死ねよ」

「笑わせんな。お前の刃は俺には届かない」

「...」


私は震えながらスタンガンをスイッチをオンにして持っていると。

スタンガンが1秒後に手の中で思いっきり爆発した。

そして使えなくなった。

私は「!?」となってスタンガンを見る。


「ははは!!!!!バーカ!!!!!そのスタンガンは1秒間空中で放電すると防犯上、使えなくなるんだ!!!!!」

「...!」


豊橋が馬鹿にした様に言う。

すると影島が私に掴み掛かってきた。

その手を上島が叩いた。

「何れにせよ交渉とかは決裂だね」と豊橋は言う。


「...こうなった以上、敵同士だね。私とアンタらは」

「...」

「私は今日の事を忘れない。攻撃する様な真似をね。...私達を傷付ける真似は許さないから。アンタらには裁きが下るよ」

「...」


そして3人は高笑いで去って行く。

後から見ると爆発した衝撃で手から出血していた。

私は...一体何をしているのだろうか。

そんな事を考えてしまった。

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