第37話 豊島数多の悪理想の崩壊


上手くいった。

私は暁月の高校に転校する事が出来た。

これで私の理想は彼の幸せをぶっ壊してやる。

そう思いながら私は私は危険な賭けに出たのだ。

絶対に上手くいくと思っている。


「やあ。豊島さん」

「...何?山田」

「一つ忠告しておくけど」

「...?」

「...この学校に君を入れたのはあくまで監視の為だから。それを忘れない様にね」

「...」


過去がどうあれ。

私は止める気はない。

あくまで私の敵は秀水。


そして...暁月だ。

それを目的に私は危険な賭けに出たのだ。

この学校に来るという。


「君はあくまで監視対象者。...間違えない様にね」

「...はっ。...その危険を冒してまでアンタはおかしいね」

「寧ろまあこうする方が監視しやすいかなって思ってね」

「...」


私は静かに彼を見送る。

それから私は考え込んだ。

彼達をどう地獄に堕とすか...などを。


私にとってはこの世界はもう信用出来ない。

彼女達にも裏切られた。

地獄を見せてやる。


「...」


そう思いながら私は歩き出す。

そして歩いていると「数多」と声がした。

顔を上げるとそこに秀水が居た。

私を見ながら「...」となる。


「...どう動こうが勝手だけど。...貴方はせっかくまともに戻りそうなんだからもう止めなさい。今の...考えは」

「...考えってのは?」

「貴方は朝の件もある。...私に絶望を見せたい様に見えるけど。...それはもう上手くはいかない」

「はっ...どういう事か知らないけど」


そして私は肩を竦めてから三角巾を触ってから歩き出す。

「数多。思い出して。過去を」と言ってくる。

それから私はその場を去る。

クソッタレ忌々しい。

決めた事だ。


「...」


私はゆっくりと教室を見渡す。

それから女子生徒の1人を呼ぶ。

そして私はその女子生徒を呼んでからお金を受け取ったのを見計らってから女子トイレに連れ込み水をぶっかけた。

確かコイツ長門だったな。

同じ学校の生徒だった。


「な、何を...」

「私は今、猛烈に焦っているのもあってね。...協力してくれないかな」

「い、嫌だ」

「嫌だ?嫌なら今受け取ったお金を返して。...それからアンタが受け取ったからには協力をしてもらう。一回受け取ったんだから」


それをしていると女子トイレのドアが開いた。

それから「カメラとマイクを持たせて良かったよ」と声がしてくる。

顔を上げるとそこに秀水が居た。

「ね。数多。...私達の前でそれをやるとマズイって事にいい加減に気が付かない?」と言ってきながら水を被った長門を呼ぶ。

長門は隠しカメラの様なものを秀水に渡す。


「...ま、まさか。アンタ...図ったの!?」

「もう一度言うけどこの学校ではアンタの思惑は通用しない。情報を張り巡らせているから。...無駄な抵抗はしないで大人しく学校に通いなさい。次は無い。退学になるよ」

「...」


私はイライラしながら見ていると。

秀水の背後から「そういう事だ」と暁月が顔を見せる。

それから更に山田も顔を見せた。


「...」


その事に絶句しながら私は秀水達を見る。

秀水は「諦めなさい。生徒会で努力してやった結果だし」とも言う。

私は「...」となってから歯を食いしばる。

それから「生徒会?...笑わせてくれる」と言う。


「お前の事はまだ半分しか信頼出来ない。だからこうして先手を打った」

「アンタ...本当に頭おかしいね」

「おかしいのはお前だ。...反省して過ごしてもらわないと」

「そういう事だね」

「私はそういうつもりで来たわけじゃないって事も知っているって事だよね。山田。最大のアンタのミスだよ」

「いや。俺はミスって思ってない。...そもそもこれは素晴らしい状態だよ」

「...どういう意味」

「...君の性格を治す為にこの学校に呼んだ様なものだから。...俺はそう思っているから」

「意味分かんないんだけど」

「この前に生徒集会があってね。...その場で彼の事を言ったんだ。そして公表したんだ。...君にあくまで嵌められたという事をね。そしたら君が来るっていうじゃないか。だったらこの機に全校生徒で君を歓迎してやろうって思ってね。先生も半分了承済みだ。恐らく君は反省はしないだろうと」

「...アンタら頭おかしいんじゃないの?」

「おかしいのはお前だ。そもそも言ったよな?大人になれって。あれは心を素通りしたか」


そう言いながら暁月が私を睨む。

私はどんどん追い詰められていく。

クソ。

思いながら私は「...アンタら私をどうしたいの?全員で嬲るとか?」と聞く。

すると暁月は「お前にはあくまでこういう事をしないで普通の高校生活を送ってもらいたい。...因みにお前のその理想は砕かれるからな」と言ってくる。


「...お前の理想は叶わない。...何故なら俺達がお前の監視者だから」

「...じゃあ私はこの学校に嵌められたって事」

「嵌められたって表現は語弊を招く。...嵌められたんじゃない。蟻地獄にお前が落ちたんだ。お前が自ら嵌ったんだ」

「...このクソッタレ...」

「言った通りだが俺達はあくまで嵌めた覚えはない。お前がやった事をやり返しただけだ」

「...」


私は静かに唇を噛み締める。

それから私はイライラをイライラさせた。

というか臨界点までイライラする。

どうして私の理想はいつも砕かれるんだ。


「諦めろ。...お前は反省して今後を生きていくしか術はない」

「...ならもう転校してやるよ。私は...」

「お前、裏切られた挙句、全てを散々にしたのに行く場所あるのか」

「...」


涙が止まらない。

悔し涙が、だ。

そして私は「...」となってからそのまま...暁月達を見る。

クソッタレ!!!!!

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