第34話 10年以上の願いと錆びたロケットペンダント
何にせよ。
私が歪んだ原因は彼にある。
そして秀水柊子にある。
何故なら彼達が居なければこんな思いをしなくて済んだ。
だから許せない。
「で。数多。どうするよ」
「そりゃ勿論。...私がこんな身になったのも彼らのせいだからリベンジかな」
「...そうか。面白い判断だ」
「そう。警察なんか恐れてられない」
「...そうだな」
そうして廊下を車椅子で移動していると目の前の階段から...あれ。
そう思いながら目を細める。
それは秀水だった。
私の...最大に憎たらしい相手だった。
「...豊島。もう分かったでしょ。これで。...貴方が悪い事をすれば首が締まるよ」
「それで何?...貴方は何をしに来たの?」
「貴方...医者を目指していたでしょう。何でそこまで堕ちるの?...何が貴方をそうしたの?一体何が?」
「貴方のせいでもあるけどね。5割がた」
「...?」
「アンタ私の許可を無しにばら撒いたでしょ。私の親族が殺人鬼だって」
「...もしかしてそれを今まで根に持っていたの?」
「そう。アンタのせいだけど」
すると秀水は「...」となってから私を見る。
それは今まで見た事がない顔だった。
何だこの顔は。
そう思いながら見ていると「豊島。...取り敢えず私は何もしてない」と告白する。
私は「は?」となってからジト目になる。
「いや。全部アンタのせいでしょうが。...ふざけるのも大概に」
「私の母親だと思う。それをしたのは」
「は?」
「...豊島。私は何もしてないよ。...私はそれでも貴方が好きだったけど。...貴方は全てを殴り捨てた」
「...」
私は「このごに及んで言い訳?最低だね」と私は秀水を睨む。
すると秀水は「私は本当に...貴方に何もしてない」と否定をした。
何なんだコイツ?
私は「...」となってから無言で秀水を見る。
「...母親は私と一般庶民と断定された貴方の関係を良くないって思っていた。...だから打ち消そうとしたのがある。...だから私は貴方にさよならを言えなかった」
「...」
「...私はあくまで貴方にさよならは言いたかったから。これだけは覚えておきなさい」
「はぁ...どうせアンタもその母親から産まれた遺伝子でしょうが」
「私は母親とは関係を断絶している」
「...は?」
驚きながら私は秀水を見る。
秀水は「...貴方に酷い事をしたから。だから関係を断絶したのもあるけど。悪行な事ばかりしていたから。だから断絶したのもある」と言ってくる。
私は「...」となってから眉を顰めた。
すると達也が「このごに及んで嘘ばかり吐くんじゃねーよ」と言った。
「...そもそもお前がそういうなら何で今まで会いに来なかったんだ」
「それは単純に私が母親に監禁されていたからかな」
「...監禁?...それはどういう意味」
「軟禁とも言えるかもだけど。母親は...私の父親と共同して私の感情を殺したの」
「...」
私は静かに秀水を見据える。
すると「...それもまた言い訳だな」と達也が言う。
秀水は「信じろとは言わないけど。全ての真実は私が監禁されていたからだから」と言ってくる。
私は「秀水。アンタのそれはどうやって証明する事が出来る」と聞く。
秀水は「...私はアンタから約束してロケットペンダントを貰ったの。それは覚えている」と言ってくる。
ロケットペンダントって。
「...ああ。あの玩具?くだらない。ハハハ。あんなものもう捨てているでしょう」
「捨ててない。貴方から貰ったものだったから」
「...捨ててない?...は?じゃあ今どこにあるのそれ」
「今胸に持っている」
そして秀水は錆びている金色のロケットペンダントを出した。
それから私に見せてくる。
私はそれを見ながら「!?」となる。
確実にそれは私が渡したものだ。
「...これは大切に10年以上そのまま使っている」
「...アンタ...そんな玩具を...何で捨ててないの...」
「私は貴方とこれを貴方の幸せを願うと貰って約束したから」
「約束?何の約束...」
「...「お互いのどっちかが不遇な事になったら助け合おう」だよ」
「...一言限りの。アンタそんな約束よく覚えているね。...くだらない。くだらなさすぎる」
「私はくだらないとは思ってない。...貴方が冷たく接したから冷たくしただけ。...だけど実際は願っていた。貴方の幸せもね。だけど複雑だったよ。貴方が不遇な事ばかりするから」
「...」
私の脳内で10年以上前の約束が思い出される。
この思い出はまあしょうもない。
そのペンダントだってガチャガチャの景品だ。
くだらない。
もう捨てていると思ったのだが。
「...貴方はもう自由になったらどうかな。...今の環境から」
「自由...?」
「貴方は束縛されているんだよ。...全てに」
「...」
「母親を依代にしていただろうけど。もう自立しても良いんじゃないかな」
「...」
『あそぼ!柊子ちゃん!』
「...くだらない。帰れよもう」
私は車椅子を動かした。
それから私は車椅子を動かしてから病室に戻る。
そして達也が心配する中。
私はトイレに行った。
そうしてから私はトイレを済ませる。
「...?」
何故か知らないが。
涙が浮かんでそれが雫となって膝に落ちていた。
ハハハ!!!!!
クソが。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます