第35話 良い加減大人になれ


俺は自宅に帰り考えていた。

あの屑は話し合ってもやっぱり屑だな。

そう考えながら達也もろとも倒す事を算段に入れる。

どいつもコイツも。

俺はスマホを弄ってから気を晴らす。

アニメでも観ようかな。


「...」


そう考えながら俺はスマホを観ながらベッドに行く。

すると柊子からメッセージがきた。

俺は「?」を浮かべながらスマホを開くとそこに柊子のメッセージとしてこう書かれていた。


(豊島に会ってきた)


と...え?

いつだそれは。

そう思いながら俺は「???」となってから(待て柊子。いつの話だそれは)と聞いてみる。

すると柊子は(今日だよ。...だけど貴方が居たから後で会った)と書いてきた。

俺は「...」となった。


(柊子。...アイツはもう無理だ。...更生もしないだろう。そんな人間に...)

(豊島は私にペンダントをくれた)

(...何...)

(私、一番初めにあーちゃんにペンダントを見せたよね)

(見せた...な。...それが...まさか)

(あれは豊島がくれたもの。...私を大切に思っていたから)


俺はその言葉に(そうだったんだな)と書く。

すると柊子は(更生するかと思ったけど。確かに無理そうだから。...だからこそ粛正しないといけないだろうね)と書いてきた。

(どうなったんだ。話し合いは)と聞いてみる。

すると柊子は(決裂だね。見事に)と書いてきた。


(だから粛正しないといけないかなって)

(...そうだったんだな)

(私が粛正しないと駄目だと思う。あの人は)

(...)

(あーちゃん。私に任せてくれないかな?あの人の粛正は)


その言葉に俺は(...ああ)と返事をする。

それから俺は(じゃあそれ以外の奴らを俺は相手にするよ)と言う。

すると柊子は(有難う)と書いてきた。


(彼女は...私がトドメを刺さないと話にならないと思う)

(正義を持って...粛正、か)

(そう。...というか正義もそうだけど。...私が彼女を粛正する運命にあると思うから)

(...ああ。でもその...無理はすんなよ)

(無理はしてないよ。...ただ私がやらないといけないと思っているだけ)

(...)


俺は無言で考える。

それからスマホの画面をタップしながら文章を打ち込む。


(...アイツはどうだったんだ。今日会ってみて)

(彼女はもう手遅れだと思うよ。...最後に何か望みがあるかって思ったけど。何も無かった。...彼女はもう...元には戻らない)

(だからこそ粛正、か)

(そうだね。...だからこそ、だよ)

(...なあ)

(うん?何?あーちゃん)

(お前は...それで良いのか)

(良いも悪いも。...彼女が選んだ道だから)


その言葉に俺は「...」とまたなってから考える。

そうしているとインターフォンが鳴った。

俺は「?」となりつつメッセージを終了して玄関に向かう。

そして玄関を開けると。


「...お前...」

「...さっきぶりね」


何故か豊島が居た。

俺を静かに見据えている。

先程まで車椅子に乗っていたのに歩行している。

大丈夫なのかコイツ。


「大丈夫って顔だけど別に大丈夫だし」

「...何も言ってないんだが。車椅子...というか病院の許可がよく降りたな」

「まあ1日だけだけど」

「ああそう」


そして俺は豊島を見る。

三角巾と包帯を巻いたりしている。

骨折でもしている様だが。

つーか何しに来たのだ。


「...何をしに来たんだお前は」

「アンタは憎たらしい秀水の住所を知っているの」

「知っているが何をしに行くんだ。火炎瓶とか手榴弾とかはゴメンだぞ」

「火炎瓶?手榴弾?は。そんなもん投げつけるわけ無いでしょうが。私はこんな状態なのに」

「...そうか。んじゃあ何の目的だ」

「...私は...アイツに文句を言いたいだけ」

「何で文句なんだ」

「アイツのせいで気持ちが狂ってきたから」

「...はぁ...素直じゃないなお前」


俺は豊島を見る。

豊島は苛立つ様に「は?」となる。

そんな豊島にアドバイスをした。

「お前さ。...アイツが嫌いな訳?」と、だ。

すると豊島は「...」となって俺を睨む。


「それはどういう意味」

「お前さ。アイツが嫌いなんじゃないだろ。今は」

「...」

「...お前が攻撃を止めればアイツは更にお前を助けるだろう」

「...私はアンタが憎いし」

「俺はお前を哀れだと思っている」

「...は?」

「だがお前は内心は腐ってないと思っている。...外見は腐っているけど。...お前見ているとフロイトの理論にそっくりだ」

「...」


豊島はイライラする様に俺を見る。

そして「アンタは私を憎まないの」と言ってくる。

俺はその言葉に「確かに当初は憎んでいた」と話す。


「だけどお前の人生。そして恨む根拠を考えると。多少はお前の理屈も納得は出来るんだよな」

「...」

「...ただし俺はあくまでお前を許してない。...お前がまだ攻撃するならお前はマジに地獄を見てもらい地獄に堕ちてもらう」

「何なのアンタ。...マジに」

「理論的に考えるとお前は多分、半分は自らという人間を守る為に今の今まで悪人を貫いてきたんじゃないのか」

「...!!!!!」


まるで鷹の目の様に激しく睨んできた。

だがもう俺は恐れない。

こんな奴に負けない。


「お前を刑務所にぶち込みたいのは分かる。今直ぐにでも。それに...今弱っているし捕えるのは簡単だ。...だがそれが正解なのか?って思う」

「...」

「そしてアイツにキレるのも勝手だが。...アイツにキレてお前の立場、多分無くなるよ。この先もな。良いのかそれで」

「...」


豊島は踵を返した。

それから玄関を蹴り飛ばして開ける。

その姿に「良い加減お前も大人になれ」と声をかける。

そして豊島は去って行った。

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