第?章 unknown

絶望の果て

第33話 豊島数多の過去

豊島数多。

幾多の星々の下に。

そういう意味での私の名前だけど...これを付けたのは持病を持っていたお父さんだ。

ずっと私を大切にしてくれたお父さん。

そんなお父さんが私に名付けた名前だった。


私は今から17年前に破水して産まれた。

緊急手術だったそうだ。

その時もお母さんもそうだけど...お父さんも心配して私を大切に。

まるで宝石の様に扱ってくれた。


私は1人っ子として居たので...当然家では祖父母にはメチャクチャに甘やかされた。

お嬢様、の様に、だ。

お母さんもお父さんもみんな私を甘やかすけど。

その恩義にいつか応えようと思っていた。


つまりどういう事かというと。

私は将来、医者になって他の人を助けたいっていう希望があったのだ。

お父さんも持病を抱えていたし。

そう。

今私が受けた恩義を他の人に分け与えるべきだと思って居たのだ。


だからこそ私は医者の勉強をし始めた。

お父さんも祖父母もお母さんも。

みんな私に対して多大な期待を寄せていた。


私はその希望に応える為に必死に勉強した。

小学校も幼稚園もそうだけど入学試験を受けた。



「ねえねえ。お母さん」

「ん?何?数多」

「私、将来、医者になってみんなに恩返しがしたいんだけど...それで恩返しになるのかな?恩返しっていうの...どうやったら出来るのかな?」

「そうねぇ。...私は数多には大きく育ってくれればそれで良いと思っているわよ?医者とかは置いておいてね」

「...うーん。でもそれじゃ恩返しにならないかもぉ」

「アハハ。良いのよ。それで。人生は...頑張る時と頑張らない時が必要なのよ」


私はお父さんとお母さんが大好きだった。

心から愛している。

そう思いながら私はせっせとせっせと頑張った。

それから私はとても優秀だという事で...評価もされた。

学校では学年1位の成果を挙げた。


「よく頑張っているわね。数多。だけど程々で良いのよ?」

「うん。お母さん。だけど私、恩返しがしたいの」

「...したいって。...もうされているわ。数多」


テストでどんなに落ち込んでも。

お父さんもお母さんも「次があるわ」と評価してくれた。

この家は本当に良い家だと思っている。

そう思いながらずっと私は頑張ってきた。


そんな矢先の事だった。



お金を持っていた祖父母達が皆殺しにされた。

優しかったのだが。

というのも親戚の優しかった叔父さんとその妻が保険金目当てで祖父母達を皆殺しにしたのだ。

お父さん側のお父さんとお母さん。

それからお母さん側のお母さん。


3人居たのだけどみんな不凍液?だったかな。

飲まされて監禁した挙句。

殺害された。


だけどその中でも私のお母さんとお父さんは「大丈夫。貴方の事、何があっても守るわ」と言ってくれた。

世の中はこんなに理不尽な事があるのか、と思いながらも私は「そんな世界許さない」という信念の下。

私はせっせと勉強を重ねた。


だけど悲しかった。

何でそんな真似をするのか分からないから。

人殺しなんていけない。

そう思っていた。


「数多。お前は...良い人になれよ。...必ず人を助けるんだ」

「...うん。お父さん。お父さんとお母さんが居たら...もう大丈夫。私...強くなる」


そして私はまたせっせと勉強をしてから中学受験もして難関校に無事、入学出来た。

それから私は他の人達と交わりながら勉強を重ねていった。

またその矢先の事だった。

私に激しい、いじめが起こり始めた。

今までの鬱憤が爆発したかの様ないじめ。


その事に私はお父さんとお母さんに相談した。

するとお父さんもお母さんも「転校しましょう」と言った。

そしてやって来たのが暁月晴矢達の居る町だった。

私はその場所でまたやり直そう。

そう思いながら居たのだけど夜中に聞いてしまった。


「あの子の事を卑下する人達が居てね...」

「優秀で頭が良くて金も持っているしね、的な感じか。殺人を犯した親戚の家なのに的な?」

「そうね。...だからちょっと悩んでいて」


という感じの事を聞いてしまった。

私はその事もあり、せっせと勉強を重ねて...とにかく私は有能になろう。

そう思いながら生きていると...その時に出会った女の子が居た。

それは秀水柊子だった。


「数多ちゃん!あそぼ!」


そう言いながら彼女は私を救ってくれた。

それから私はその言葉に応えれる様に恥じらいながら手を伸ばした。

秀水柊子は...近所に住んでおり。

親とはちょっといざこざのある人だった。


私はそんな柊子が大好きになっていた。

友人として最高だって。

そう思っていた。


だがそれも長くは続かなかった。

柊子はある日、消えた。

もぬけの殻。

つまり家は夜逃げした。

そして柊子は去り際にこんなものを残した。


それは...私達家族がどういう経緯で来たのかを近所中にバラすという行為を...。


親戚が殺人を犯している私達にとってそれは脅威となる感じだった。

残虐な事件を犯している様な親戚の近所の一家。

ますます拒絶する近所。

私達は居場所が縮小していった。


私は強く...柊子達を妬んだ。

アイツがしたのか、という事を、だ。

そして私はその悔しさから柊子に復讐してやる、と思っていた。

だけど私はあくまで医者になりたい。

だから勉強を、と思っていた。


そして私は勉強を重ねた、のだが。

その矢先にまた不幸な事が起こった。

それは...お父さんが運転ミス?なのかダムから車ごと落ちたのだ。


何が起こったか分からなかったけど。

その事に唖然としていた私が居た。

それを機に。


精神的にすり減っていた母親は酒とタバコに溺れた。

唯一のパートナーを失い。

その悲しみに暮れた。


そして私は虐待が始まった。

全ての項目に当てはまる様な行為が私に始まり。

私は既に受けていたイジメの記憶が暴発し。

そのまま...闇の底に落ちた。


で、私は何故、勉強をしているのか分からなくなった。

持病をお父さんが持っていたけどそのお父さんが死んでしまった。

なのでもう医者という夢を追わなくても良いんじゃないか?、と思い始めた。

その事もあり私は勉強をしているのが何の為?、と。

参考書を引き裂いた。


私は高校に入学した。

だけどそれは近所から逃げる為に高校を変えた。

そして今の高校に金髪とかで入学し。

そのまま不良に明け暮れていた。

私はその時に暁月晴矢に出会った。


その笑顔に当初、私は柔和になれた。

だがそれも長く続かない。

それは...何故か。

簡単に言ってしまうと暁月晴矢を妬ましく思ったから、だ。

暁月晴矢の家庭は凄く暖かかったから。


そして私はその高校で...暁月晴矢もそうだが。

昔、私をイジメていた女子に再会したのもあり。

また精神がすり減り精神が壊れていった。


自分を理解出来なくなった。


段々と理解が及ばなくなり。

私はそのイジメをしていた女子以上に強くならなければ、と。

残虐な真似を始めた。

どういう事かというとイジメていた女子に対して私は復讐するべく。

周りの人達を手駒として使う方法を編み出した。


そして今まで培った医者の知識をもとに。

彼女を精神的にぶっ壊して追い詰め転校させた。

それから私は安心しているとその一部始終を晴矢に恐れられ見られており。

私は晴矢も精神的に追い詰めなければ、と思った。

だから私は晴矢を追い詰めた。


その結果、友人は出来たが。

残ったのは虚しさだけだった。

まあどうでも良い。

私はどうせ要らない子だ。

だったら私はもう日の当たる場所には戻る気はない、と思った。

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