第32話 暁月晴矢VS豊島数多
☆
3日経った。
豊島が殴られたので俺は豊島が入院していると思われる病院に来た。
というかこの小さな町で病院といったらここしかない。
まあどうせそれ以上の情報は知らない。
だから俺にとっちゃ会えるのは一か八かの賭けだ。
そう思い来てみると。
「お前...何でこの場所に居るんだ」
タイミング悪いのか?よく分からないが向こうから来た影島に会った。
影島は驚きながらも警戒する様な感じで俺を見ている。
俺は「...この町で緊急病院つったらこの場所ぐらいだろ」と言いながら影島を見る。
影島は「ははは!!!!!」と高笑いをした。
「会いに来たんだろうけどお前を会わせる訳ねぇだろ!!!!!つーか土下座しろよ先ずさ。お前の学校の生徒のせいでこうなったんだからな!!!!!」
「土下座をされなきゃいけないのは俺なんだが。...お前知っているだろ。...アイツの素性」
「...知っているが?それが何だ」
「鮫島さんから聞いたが。お前。素行が悪いらしいな」
「...」
「...何ならこの情報も言ってやろうか。...お前...鮫島さんを不同意ワイセツをした可能性があるってな?」
そう言うと影島は「...」となって無言になる。
それから真顔のまま「はぁ?」となる。
このクソ野郎は相変わらずだな。
そう思いながら「...鮫島さんをレイプした事をアイツは知っているのか。...豊島は」と聞く。
「...お前随分...根性が座ったな。前より。してねぇし」
「お前はクズだ。...お前はやがて捕まる」
「...やがて捕まる?どっちが?俺じゃなくてお前が?」
「俺達も大概だがお前らも大概だ。今日の事は鮫島さんに聞いて来たのもある」
「ハーン?で?」
「...鮫島さんが訴えたらお前あっという間に地に落ちるぞ」
「してるしてないにせよ証拠がねぇしな」
「...」
俺は静かに目の前を見る。
どクソクズ野郎だ。
そう思いながら見ていると「達也」と声がした。
背後を見るとそこに車椅子の豊島数多が居た。
「は?大丈夫なのか?移動して」
「鬱陶しい野郎は直ぐになんとかしないと」
「...大概、口がお喋りだなお前も。豊島。相変わらずのクズっぷりで安心した」
「暁月アンタも大概だけど」
「何ならその車椅子から落としてやっても良いぞ。弱いからなお前」
そして俺は威嚇する様に豊島を見る。
すると豊島は「取り敢えず話がしたいから」と影島を見る豊島。
それから「ああ。じゃあ俺も同席するから」と俺に唾でも吐き捨てる様な目を向けてくる。
俺はその目を見てから話をする為に休憩室に向かった。
☆
「コイツが鮫島さんをレイプしている。お前は知っているのかそれを。...知っているならお前も大概クズだが」
「それがどうしたの?」
「...それがどうしたの?、か。お前マジにクズだな」
「アンタも大概でしょうが。...私をこんな目に遭わせてから」
「お前の自業自得だ」
すると机の上に置かれたペットボトルを投げつけてきた。
俺はそれを受け止めながら豊島を見る。
「アンタ本当にムカつくね。私をレイプした癖に」と言う。
その言葉に俺はその人を呼んだ。
「やあ。少年少女達」
「...誰。アンタ」
「刑事だ。警察。俺の名前は羽鳥だ」
「...は?...警察?」
「今回の傷害事件についてもそうだが捜査している。...とは言っても今日は休みだが。...だから家に居たら昴に呼ばれてな」
そして俺を見てから仰天する2人を見る。
「...君ら相当ないざこざを抱えているみたいだな」と話してくる。
俺はその言葉に羽鳥さんを見る。
豊島は「...」となってから羽鳥を睨む。
「...今回の傷害事件は君らのいざこざから起こっているとされているからね」
「は。笑わせてくれる。...全部その男のせいに決まっているでしょ」
「まあそれならそれで...ああ。そうそう。影島達也。お前もう辞めたのか?暴走族。お前、俺の世話によくなっていたよな?」
「...そうだな。懐かしいし忌々しいぜ。テメェの顔を見るのが」
「言うね。警察車両にワザと傷を付けてから無事なのは誰のおかげかな」
「まあ確かにな。つーかマジに何をしに来たんだよ。その小童にお前を呼んでもらったんだろ」
「そうだな。...1つ否定しておくが彼は小童じゃないぞ」
「知るかボケ」
豊島と影島も流石に警察相手だとあまり強気にならない。
俺は、予想通りだな、と思いながら2人を見る。
すると豊島が「羽鳥だっけ。...警察ならそいつを捕まえてよ」と言う。
それから俺を睨んでくる豊島。
「ああ。それは無理だ。俺が非番でもあるから、とかじゃないんだが証拠が無いしな。...それに今日は警察のペルソナで来ている訳じゃないんだ。出来れば...君らの話を聞きたい」
「私は...ソイツと一緒だったから絶望ばかりだから」
「...豊島さん。...1つ聞いても良いかな。...俺はどうにも暁月くんが君をレイプしたとは思えないんだよ。...ただまあ絶対に否定はしないけど」
まさかの言葉に豊島は愕然とする。
それからどんどん眉を顰めてから「何それ。...警察までソイツに味方するつもり」と苛立つ様に話した。
すると羽鳥さんは「違うな」と言った。
「...俺はあくまでどっちの味方でも無い立場だ。...警察であるから。...あくまで警察の面は持っとかなきゃいけない。...だけどそれであってこのまま見過ごす訳にはいかない。君らちゃんと話はしたのか」
「してない。...ソイツ犯罪者だし」
「...話をする事は大切だぞ。...まあどうにもならないだろうけど...俺は結局捜査の為に居るし」
「...話なんか出来ないしね。ソイツが悪い」
「それは一方的だな。そもそも今回の襲撃事件の首謀者。...というか彼のせいなのか?今回の事件は」
その言葉に豊島は「もう良いよ」と吐き捨てた。
それから車椅子を押してから「行こう。達也。話にならない」と言ってからそのまま2人は後にした。
俺はその言葉に羽鳥さんを見る。
羽鳥さんは「...まあ...警察はいつでも待っているから。犯罪でそのまま収監されたら待っているとかじゃないが」と言う。
「...今の時点で通じる奴は居ないのか?」
「居るっちゃいます。だけど...」
「俺も彼女彼らを出来れば逮捕したくないしな。未来ある若者だと思うから。...どうにかして対策を取ってもらいたいんだけど。調子に乗ったら俺もまあそれなりに協力はするけどさ」
「...分かりました」
羽鳥さんに来てもらって良かった気がする。
そう思いながら俺達もそのまま席を立つ。
アイツがどの病室に居るか分からないがまあ良いや。
もう会わないだろうし。
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