第二章 再生への道

決心

第25話 革命への一歩(上)


俺は何か言い争う声がしたので起き上がった。

それから窓から外を見るとそこに...豊島と誰か分からない男。

そして柊子が居た。

何をしているのか分からないが耳を澄ますと「あんた、がー」とかが聞こえる。

俺は「...」となってから無言で話を聞いた。


ゆっくり俺はベッドから降りてからそのまま何事もなかったかの様に準備をする。

そして俺は玄関のドアを開けると柊子のみが居た。

俺は「...」となってから柊子を見る。

柊子はニコッとしながら俺を見ていた。


「...柊子。...何かなかったか」

「何もなかったよ?...普段通り」

「...そうか」


嘘だろう。

だけど...俺はそれ以上は追求する気も無かったのでそこで言葉は切った。

そして俺は歩き出そうとした時。

柊子はお弁当を渡してきた、と同時にこう言う。


「私、ますます豊島は許せなくなった」

「...それはどうしてだ?」

「まあ色々あるけど...何だか沸々と怒りが湧くよ」

「...だが...」

「あーちゃん。貴方は優しすぎる。...彼女は地獄に落とすべきだって言ったでしょ。どんな事情があれ。敵は待ってくれないよ」

「...そうだな」


俺は、そうか。その事を話していたんだな、と思いながらそれ以上は何も聞かずに歩き出す。

すると道に迷っている感じの...女子高生を見つけた。

俺達と同じ制服を着ている。

顔を見合わせてから俺は「あの」と声をかける。

女子はビクッとしながら俺を見る。


「は、はい」

「...その。道に迷ったのか?」

「...み...そうですね。...確かにその通りです。私、初めてこの場所に来るので」


黒髪のボブ。

そして眼鏡をかけており内気な少女と思われる。

俺は「...じゃあ俺達と一緒に行かないか。転校して来たんだろ?」と言う。

すると女子は「あ、有難う御座います!」と笑顔になった。

一緒に歩き出す。


「わ、私、鮫島佳鈴(さめじまかりん)って言います」

「そうなんだ。私は秀水柊子。...この人はあーちゃん。...えっとね。暁月晴矢くん」

「...え...」


極端に固まる鮫島さん。

俺は「?」を浮かべながらその姿を見る。

「じゃ、じゃあ貴方が...」という感じで、だ。

それから俯く。


「...鮫島さん...?」

「...い、いや。何でも無いです」


一体何なんだろう。

そう思いながら鮫島さんを見る。

鮫島さんは何か考える様な感じで居た。

俺は疑問に思いながらそのまま登校をする。



「やあ」

「清掃活動かお前は」

「そうだよ?これはもう俺の趣味だからね」


山田を見ながら俺は呆れ顔になる。

すると横から「当然俺も居る」と顔を見せる山斑。

「当然私もです」という感じで遠山も顔を見せてから「せーの」と言う。

あ?


「せ・い・と・か・い・メ・ン・バ・ー」

「...」


まあその。

思った以上には愉快かもしれないなこの人達。

そう思いながら俺は顔を引き攣らせる。


すると山斑が「ところで」と鮫島さんをジッと見る。

「其方の可憐な少女は」と言いながらオドオドしている鮫島さんをジッと見た。

鮫島さんは俺の背中に隠れる。


「警戒しています。会長。見過ぎです」

「そんな事を言われてもな。俺は初めて見るものには興味が惹かれる」

「初めて見るものって何ですか?ドン引きです」

「...ふむ。生徒会の会計にそんな事を言われたくはないな」


俺は山斑と遠山のまるで夫婦の様なツッコミ合いを見ながら鮫島さんを見る。

鮫島さんは冗談についていけない感じでオドオドしていた。

そんな鮫島さんに「大丈夫だ」と言う。

それから「コイツらは信頼出来るよ」とも。


「鮫島さん。怖かったら先に行っても良い」

「そうなんですか?」

「そうだ。ところで鮫島さん。...生徒会書記のメンバーに...」


スパーンと山斑の背中が山田によってハリセンでぶっ叩かれた。

素晴らしい音がした。

悶える山斑。

それから山田が「早いです。会長。彼女は今日来た転校生の様ですよ」とジト目でツッコミを入れる。

俺達は苦笑いで見ていると「おはー!!!!!」と声がした。

背後を見ると泉が来ていた。


「よお。泉。おはおはだな」

「そうそう!おはおはだよぉ?ノリが良いね!」

「...いや。ノリっていうか...お前が元気すぎる」

「私ってそんなつもりでは無いけど?」

「お前自覚ないの!?」


そんな感じで話していると「おはよう。暁月」と声がしてきた。

クラスメイト達が俺に声をかけてきていた。

やって来た女子達も「おはよう!暁月くん」と柔和になって接してくる。

賑やかになった。

その中で鮫島さんが「...イメージと言っている事と全然違う」と呟いた。


「...?...鮫島さん?」

「あ、な、何でもないです。すいません」

「?」


俺は鮫島さんを見る。

鮫島さんは俺達の顔を見てから「...」となって複雑な顔で俯く。

その姿を見てから周りを見ると山田が「そういえば今度...皆でどこかに行かないかって話しているんだけど。改めてどうかな。暁月くん」と笑みを浮かべた。

それから俺を見てくるクラスメイト。


「断ってもどうせ誘うんだろ」

「そうだな。多分君が来るまではしつこくなるかな」

「...ならもう行くよ。行けば良いんだろ」

「はい。一丁」

「張り倒すぞお前」


そして山田は「冗談だ」と言いながら俺に箒とちり取りを渡してくる。

どういう意味なのか。

そう思いながら居ると山斑が「掃除だ」と真顔で言った。

遠山も、だ。


「...いや、あのな...」


何故か知らないが俺まで学校の前の掃除に久々に参加させられる事になった。

クラスメイトが散会する中。

鮫島さんが「...後で話がしたいです」と俺に耳打ちをした。

俺は目をパチクリして鮫島さんを見る。

鮫島さんの顔は...深刻そうな顔をしていた。


「...鮫島さん?」

「...待ってます」


それから鮫島さんはゆっくり頭を下げて職員室側に去って行った。

何だってんだ?

そう思いながら考えたかったが。

山斑がうるさく言うので掃除に集中せざるをえなかった。

一体何だろう。

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