第8話 地響き


翌日。

学校に行く為に玄関から出てドアを開けた。

それから俺は伸びをしてから玄関のドアを閉めようとした時。

「おはよう」と声がした。

俺は「!!!?!」となって鍵を落とした。


「お、お前...秀水」

「?...何かおかしい?」

「何かおかしいって...何で...朝に来た」

「...約束をしたから。...これを渡しにね」

「え?...これは何だ?」

「お弁当。作って来るって約束したよね」

「...マジに作るとは思ってなかった」

「私は約束を破るのが嫌いだからねぇ」


そしてニコッとする秀水。

俺は...その笑顔を見ながら...額を掻く。

それから「有難う」と俺は言う。

そして俺達は登校する為に歩き出した。

そうしてから暫く歩いて...河川敷などを通り過ぎていると...2人の男に絡まれた。


「...何すか」

「ぶつかって来ただろ」

「は?」

「...いや。お前ぶつかって来たろ?...なあ。...暁月くんよ」

「...何で名前知っているんすか」


秀水がオドオドしながら青ざめる。

俺はそんな秀水を見てから「いやいや。何で名前しているかって。そりゃ頼まれたからな」と笑顔になる金髪のクソ野郎。

何だ頼まれたって。


「俺は頼まれて倒す程の人間じゃ無いっすよ」

「正直、そういう所らしいから。一発殴ってほしいってな」

「ああ。そうなんですね。じゃあ絡まれるのは俺だけで良いんで彼女を行かせてからでも良いですかね?」

「...そんな訳にもいかないね。彼女に関連する事だから」

「は?」


ワケワカメ。

そう思いながら俺はイライラしながら目の前の2人を見る。

すると2人のうち、1人の茶髪が秀水の腕を掴んだ。

触れた事に「何すんだコラ!」と言う俺。

ん?何すんだコラって何で言ったんだ?

と思っていると反対側から声がした。


「やあ」

「...?...泉!?」

「大変そうだね。...晴矢。手伝うよ」

「バカ言え...お前は女子だろ!」

「あれ?知らない?私、テコンドー大会で優勝したんだよ」


現れた泉はそう言いながら男達を嘲笑う。

まさかの言葉に俺は凍り付く。

へ?いや待てテコンドーって何だ。

そんなに泉って強かったか!?

眼鏡を眼鏡ケースに仕舞う泉。


「何だよこの女?」

「可愛げがねぇな。調子に乗ってんな」

「アンタらの方がよっぽど調子に乗ってるよ」


「あー。もう良いわ。イライラする」

と掴み掛かってきた男を簡単に投げ飛ばした泉。

俺は「はい?」となりながら唖然とする。

茶髪も「は?」となってから「テメェ!兄貴をよくも!調子に乗んな!!!!!」と


激昂した。

それから掴み掛かってからパンチ。

だがそれをヒラッと躱した。

それから腹の側面に蹴りを打ちかました泉。


「あくまで大会レベルでやったら凡人は死ぬから。加減しているよ。でもこの先も...私達に関わると大変だからねぇ。もう関わらないで」

「...くそ...」


心底冷たい笑顔に意気消沈か。

恐れたのか何なのか。

男はヨロヨロと立ち上がってから気絶している兄貴分を連れて去って行く。

俺は唖然としながら「オイ...泉。お前いつの間にこんなに強くなった」と聞く。

昔はこんなじゃない感じだったのだが。


「君を守れなかったからね。当時は。だから強くなった」

「...俺を守れなかった?いや。お前な。結構守ってくれたぞ。お前は」

「...凄く強いですね」

「有難う。こんな場面で役に立つとは思わなかったけど」

「...その。貴方は...彼のお友達なんですか?」

「そうだね。上島泉って言います。噂は予々。...貴方は確か秀水柊子さんだよね?」

「...お詳しいんですね」

「そうだね。...何せ...私ですら溶かせなかった氷を溶かしたから」


そう言いながら俺を見る泉。

俺は「?」を浮かべながら泉を見る。

泉は笑みを浮かべてから「時間がないから。登校しようか」とニコッとする。

俺と秀水はその言葉に顔を見合わせてから歩く。



「初めまして。上島泉です」


自己紹介をする...泉。

っていうかまた転校生がこのクラスかよ。

そう思いながら俺は険悪なムードのクラスを見渡す。

すると泉は「一緒のクラスだねぇ」と俺に対して笑顔になる。


「泉...状況は知っているだろ」

「いやー。確かに険悪。でもそんなもん気にもなんないしね」

「...」


俺は周りを見渡す。

今朝の事もあってなのか?

何というか俺に対しての敵意の視線が...多くなった気がする。


だけどそれは...一部の生徒だけ。

それ以外はいつも通りだ。

飯島と高橋とかだっけ?

ソイツら以外は...だ。

何だこの気配は。


「時に晴矢。...このクラスってさ」

「ああ...うん?」

「あまり良くない考えの人が居ない?」

「...え?」

「いや。あくまでカンだけど」

「それはどういう...意味だ」

「さっきの奴らと匂いがそっくりな奴が居る気配がしてね。まあこれは野生のカンだけど...おっと。後でね。先生も座れって言っているし」


それから泉は席に鼻歌混じりに腰掛ける。

俺は「...」となって考える。

何だ匂いって。

そう思いながら泉を見てからまた再考した。

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