第4話 秀水柊子の家系
☆
秀水は何故俺なんかに構うのか。
そう考えながらチキンの弁当を食べながら秀水を見る。
俺を見てはにかんでから「食べます?」と笑みを浮かべた。
無邪気に笑うその姿にツッコミを入れる。
「秀水。タルタルソースが口元に付いてるぞ」
その言葉に秀水は慌てて赤面した。
それから口を拭う。
そして「えへへ」と言いながら俺を見た。
俺はその姿を見つつ眉を顰めて言葉を発した。
「お前は不思議な奴だな」
「?...それはどういう意味でですか?」
「...お前を見ていると全てが狂う」
「...!」
「悪い意味でも良い意味でも無い。お前はマジに不思議な奴だ」
そう言いながら俺は無口になる。
それから俺は弁当のゴミを纏めてからどうにかしようと思い立ち上がる。
すると「あ。私が捨てますよ。暁月さん」と秀水も慌てて立ち上がった。
「いや。良いよ。ゴミぐらい捨ててくる。自分で。お前のゴミもくれ」
「...暁月さん。有難う御座います」
俺はその言葉を受け取りながら外に出た。
そして歩いているとこんな話が聞こえてきた。
女子どもが話している内容。
それはこんな話だった。
「あの人、秀水さんだっけ?あの子...頭がおかしいんじゃないかな」
「だってずっと大変な人にくっ付いているし...私は良くないって思う」
「...どうにかしてあげた方が」
俺はゴミをゴミ箱に捨ててから沈黙する。
それからグッと握り拳を作りながらその場を離れてから保健室に戻る。
すると室内に居た秀水がやって来た。
「お帰りなさい。...?...どうかされました?」
「秀水。すまないがもう俺達の関係性はこれで終わりだ。有難う。もう大丈夫だ」
「?...え?」
「これ以上は危険だ。お前の事が心配だ。俺は...」
すると秀水は俺を真っ直ぐに見た。
それからジッと見据える。
そしてニコッとした。
「危険だって思う。それはつまり私を心配してくれているって事ですね。私、ますます貴方に興味が湧きます」
「...いや。冗談抜きでもう危ないんだ。お前が不幸になる」
「...」
「分かってほしい」
俺はそう言いながら彼女を見る。
すると彼女は顔を上げた。
それから俺に向いてから「...私、実はですね。この学校に転校するの猛反対されました」と切り出す。
俺は「?」となりながら彼女を見る。
「猛反対?」
「はい。実は私はお嬢様学校に通っていました。小中高一貫校です。バイオリンのコンテストに全国優勝。...でも全部捨ててこの場所にやって来たんです」
「...なら相当な金持ちじゃ?何でそんな幸せな現状を捨てたんだ?」
「訳は言えません。が。私、この学校を選んだのは偶然貴方があの時、道に迷っていた時に居たから。だから選びました。この学校を」
あの場に居たから?そんな馬鹿な。
嘘ばかりだな。
それじゃ色々と訳が成り立たないんだが。
俺は考えながら「...お前の親は何をしているんだ?」と聞いてみる。
すると秀水は「...代々お医者さんの家系です。総合病院を設立しました」と答える。
「...そうなんだな」
「はい。それでも私はこの場所に来たかった。全部をゴミ箱に捨てても」
「...意味が分からない...将来も安泰していたろうに。...何で...」
「お嬢様学校の人との関係性に飽き飽きしたんですよ。だって...自分はとても素晴らしい親を持っていますとか言うんです」
「...成程な。それが理由だったと」
「最も何でこの場所に来たかったのか。それは言えませんが...だけどそれがまあ半分の理由ですよ」
そう言ってから俺に笑みを浮かべる。
訳が言えないとは何だ。
その事を聞こうと思ったがチャイムが鳴ってしまった。
すると保健室に先生が戻って来た。
「どうする?戻る?」
「...先生はまだ居て良いと?」
「私はどっちでも構わないわよ」
「...一応、戻ります」
そして秀水を見る。
秀水は俺を心配げに見る。
俺はそんな秀水に「大丈夫だ」と言う。
それから立ち上がってから保健室を後にした。
☆
暫く俺は保健室登校する事になった。
何故かといえばイジメの件もある。
その事もあり配慮された形だ。
俺はその事に秀水に感謝していた。
何も...言えなかったから。
そして放課後を迎え俺は家に帰宅する為に立ち上がる。
それから帰ろうとした時。
「暁月さん」と声がしてきた。
「...何だ」
「一緒に帰りましょう」
「...!?」
俺は唖然としながら見ていると「ちょ」と声がした。
それはクラスメイトの男子だった。
「流石に秀水さん。冗談でしょ」と言いながらの感じだ。
小馬鹿にしている。
「...危ないよ?」
「私は先に言った通りですがこの人は危ないとは思いません」
「...いやいや。流石に...もう分かろうよ。そいつと関わると碌な事ないよ」
「あなた方は何を根拠に持ってして暁月さんをレイプ魔にしているんですか?」
秀水はそう言う。
俺はまた「!?」と思いながら秀水を見る。
クラスメイトどもは固まる。
それから「いや...情報が来たから。回って来たんだよ。そいつの」と苦笑する。
「...」
「だからさ。俺達と一緒に遊ぼうぜ」
秀水は無言でその男子を見つめる。
俺はその言葉に秀水の背中を押した。
「行ってやれ」という感じで、だ。
俺は良いから、と。
「...分かりました」
そして秀水はそのままリア充男子、女子達と行ってしまう。
俺は笑みを浮かべながら「これで良かった」と呟きながら踵を返す。
それから帰宅した。
だがその事は帰宅して数分後に起こった。
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