第2話 壁になった扉を開けた者
俺の人生は最悪のクソッタレのヘドロな感じだ。
何故なら幼馴染にも嵌められ。
冤罪を着せられてしまったのだ。
そんな人生だから人を信じないし信じられない。
その筈だったのだが。
「音楽室、茶道室、理科室...ふむふむ」
全て。
俺以外を無視しながら歩くこの女...。
そう思いながら俺は秀水柊子という女と一緒に校内を歩く。
注目が集まっていた。
美少女と歩いているレイプ魔、という感じで、だ。
俺はその事に人が居なくなってから聞く。
「なあ」
「はい」
「何で俺なんかと一緒に歩いている?お前...自分の立場分かっているか?お前...自分に自分で傷を付けているんだぞ」
「それはどういう?」
「...だから俺なんかと一緒に...」
「私、暁月さんがレイプしたとは思いません」
「...え...」
まさかの言葉に俺は「...!?」となる。
それから秀水を見る。
「やっとこっち見てくれましたね」と笑顔になる秀水。
俺は唖然としながらその姿を見る。
「...お前。それはどういう意味だ」
「...?...言葉通りです。貴方はレイプ魔じゃないですよ」
「...どうしてそう思う。俺は...」
「貴方のその瞳が違うって言ってます」
そして秀水は俺に近付く。
栗毛色の髪の毛の奥の瞳が俺を見据える。
俺は赤面してから目線を逸らす。
意味が分からない。
「...貴方はレイプ魔では無いです。私は...他に原因があると推測します」
「どうしてそうなる。俺は...」
「自己主張は...しっかりした方が良いですよ」
「...!」
俺は驚きながら彼女を見る。
彼女はニコッとしながら柔和に俺を見てくる。
その姿に俺は目線を逸らす。
すると...奥からやって来た同級生っぽい女達が「あの」と声をかけてきた。
「ね、ねえ。その人は...」
「私達に関わらないで下さい」
「...いや。危ないよ?」
「私は好きで絡んでいます」
「...」
女達は何も言えなくなる。
すると俺に向いて来てから秀水は手を握った。
それから駆け出して行く。
「行きましょう」と言いながら、だ。
そして教室に戻る。
「私、貴方はどんな性格でも。悪い人じゃ無いと思います。瞳がそう言っている」
「...俺の瞳は腐っているぞ。...なのに」
「私は絶対に貴方は悪い事をしないって思います」
そして秀水は手を振ってから去って行った。
俺はその姿を複雑に考える。
その次の時間だが俺はトイレで同級生に水をぶっかけられた。
いつもの恒例行事。
「お前、犯罪者の癖にうぜーわ」
「そうそう。なんだよマジに」
「...」
俺はその姿を見ながら溜息を吐いていると男子トイレのドアが開いた。
それから...何故か秀水が入って来る。
男子トイレにも関わらず、だ。
その目は静かに怒りに満ちていた。
「...何をしているんですか」
「男子トイレだぞここ」
「そんな事は知っています。あなた方が知っているか知りませんが福祉には危機介入アプローチという用語があります。つまり命の危機に介入するアプローチ。...あなた方に暁月さんが命を奪われそうになっていますからどんな場所でも行きますよ」
「...」
同級生は不愉快そうに舌打ちした。
それから「行こうぜ」と青色のバケツを投げ捨てる。
そしてその姿を真顔で見送ってから秀水は俺に向いてきた。
ハンカチを取り出す。
「大丈夫ですか?保健室に行きましょう」
と心配げに言ってくる。
俺はその秀水の優しさを突き飛ばした。
それから俺は「もう良い。そういうの」と言ってからそのまま保健室に向かう。
だけど背後から秀水が付いて来る。
何なんだこの女。
「着替え。用意します。直ぐに換えの服に着替えましょう」
「...一人で出来るって。俺は。ガキじゃない」
「暁月さんの裸とか見られるからですか?気にしません。...恥ずかしいとかそういうの無いですから。当たり前の事をしています。...暁月さんは気にしないで」
「...」
そして保健室で俺のズボンを脱がそうとする。
俺は否定しながら自分で脱いだ。
すると上半身裸の俺に対して「お背中、拭きますよ」と言ってくる秀水。
俺は無言で「勝手にしろ」と言ってから拭いてもらう。
何なんだコイツは。
頭がおかしい。
「...下着も脱いで下さい。ビショビショに湿っています」
「分かったから。あっち行け」
「...怠慢をこかないで下さいね。ちゃんと着替えて下さいね?」
「分かったよ」
そして俺は下着を着替える。
それから秀水を見る。
かなり巧みに保健室の先生と干していた。
俺はその姿を見ながら「...」となる。
「どうですか?下着とかズボン。合ってますか?」
「...そうだな」
秀水は俺の全身を見る。
それから俺の大切な部分を叩いたりしてサイズを測る。
とにかくズボンを叩いたり締める。
「うん。合ってる様ですね」と言いながら。
コイツはオカンか何かなのか。
「いや、もう良いって。マジに。教室に戻れよ」
「戻りませんよ?」
「は?...どういう事だ」
「暁月さんが風邪引かないか心配なので」
「...お前な」
「戻っても良いですが何も無いです。暁月さんも居ませんし」
それから秀水は俺を見据える。
保健室の先生も俺達の姿に苦笑していた。
俺はその事に少しだけ恥ずかしくなりながら横を向く。
秀水と...良い。
この人達は。
クソ...。
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