小雪②

焼き飯を作るといっても、やることは簡単だ

米を炊いている間に冷蔵庫から取り出した、キャベツ、人参、玉ねぎ、ピーマンを適当な大きさに切り、ベーコンを大体3cm幅で切る


あとは、油を引いたフライパンに具材を適当に入れ、ご飯を突っ込み、溶き卵を入れ、最後に塩コショウで味を整えれば完成だ


料理が趣味な人からすると、野菜の入れる順番や、卵の入れ方にもこだわりがあるのかもしれないが、色々試した結果これが一番俺の口には合っていたし、正直、そこまで拘るのが面倒くさいという気持ちもある


塩コショウをかけながら、自分好みの匂いになったところで、火を止め、葉月と俺の分をよそう


「ほれ、出来たぞ」

「ありがとー。おなかすいたー!」


ちなみに、葉月が料理をするときは、色々こだわるタイプなので、俺が作るよりも美味しい料理を堪能することが出来る

ただ、基本的に疲れている彼女が料理をする気になることは少ないし、何故か、俺の料理を気に入っているので良く作らされる

彼女曰く「家庭の味がする」だそうだ。あいつの家の料理も美味しいだろうに


「やっぱり羽月の料理はおいしいわね」

「そうか?俺のはただ、ばあちゃんの料理を簡単にしてるだけだから、言ってみれば手抜き料理だぞ?」

「うーん。なんていうか、羽月の料理って凄く美味しいわけではないんだけど…」

「あ、美味しいわけではないのね」

「凄くって言ったでしょ?不味いわけではないわよ。けど、それ以上に安心する味なのよね」

「よくわからんな」


個人的には、葉月の料理の方が、美味しいし俺の好みではあるのだが


「だが、たまには葉月の料理も食べてみたいけどな」

「いやよ。疲れてる時にどうして疲れることをしないといけないのよ」


これである


過去に何度か気まぐれで作ってもらったことはあるが、正直その辺のお店で出てくる料理よりも美味しかった


「ま、仕方ないか」

「それで、昼からゲームするのは良いけど、何する?」

「うーん。どうせなら一緒にプレイできる奴が良いけど、一通りやり切ってるしな」


この部屋には息抜き用として大量のゲームが置かれているし、複数のハード機も置いてあるが、そのほとんどは今までで遊びつくしている


どれくらい遊んでいるかというと、某ハンティングゲームでモンスターの大きさの最大と最小サイズを全てのモンスター討伐するという事をしているくらいにはやりこんでいる


勿論ゲームの中にはシューティングゲームもあるのだが、基本的に俺達二人はゲームでストレスを溜めたくないからPvP系はあまりやらない


「じゃあ久しぶりにMMOでもやりましょうか」


俺達二人が定期的にしているゲームジャンルの一つであるMMORPG、このゲームのいいところは基本的にゲーム内での行動は自由だし、二人での協力プレイにソロでのプレイ、その他大勢とのプレイも可能なので、その日の気分によってやる内容を変えることが出来る

それに、PvPと違い敵はランダム性が高い行動ではなく、プログラムされている動きなので、練習を重ねれば難しいダンジョンもクリアが出来るというのがストレスがたまりにくく二人にとってはやりやすいのだ


「いいね。それじゃあ、今は特に案件で急いでも無いし、久しぶりにのんびり採取と製作系をやろうかな」

「そうね。時間があるんだし、のんびりやりましょう」


俺達二人の特徴として、いわゆるバトル関連以外の物をやると、時間を気にせずプレイしてしまうので、やることがある時にやると、後ろが詰まって忙しくなってしまう

だから、時間があまりない時は集中力が必要なバトル関連のコンテンツをすることが多い


「じゃ、食べ終わったら私は部屋でログインしておくから、早く来なさいよ」

「了解」


彼女とここで一緒にMMORPGをやるときは、基本的にPCを2台でやっている

1台は彼女がいつも仕事で使っているもの、もう一つは昔友人から俺が譲り受けたPCを彼女が仕事をしている部屋とは別の部屋に設置している

かなり古いPCだし、今の最新ゲームをやるには厳しいが、普段の事務仕事や比較的に軽いゲームをやるには十分なものだ

ちなみに、普通に組んだら10万程いくのだが、友人の管理が杜撰だったことで不具合が多かったらしく、3万で売ってもらったのだ

まぁ、掃除をしてなかっただけだから、ほこりを除いてあげれば快適に操作できるのだが


俺は、食べ終わった食器と、作るときに使った調理器具達を洗い終わると、自分のPCが置かれている部屋に移動し、ゲームを立ち上げる


すると


〈いつものVCにいるから〉


と葉月からメッセージが届いていた


俺は、通話アプリを開く前に、ライバーの企業に対して、対面での会話を求める内容のメールを送信し、彼女が待っているであろう通話場所に向かうのだった

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