第2話 現れた剣
召喚された剣を見て、両親に振り返ると何とも言えない表情をされた。
「な、なに?」
「いや、なあ?」
「とりあえずステータス確認したら?」
「うん、そうするよ」
召喚獣のステータスを確認するために、契約紋に拙いながらも魔力を通す。魔力は召喚の時にどんなのか理解できた。生まれつき理解して使える人もいるが、大抵は召喚獣を召喚するときに理解することが多い。私もなんとか使えないかと思って四苦八苦してたが、結局使えるようにはならなかった。
インテリジェンスウエポン・ソード(鉄)
レベル 1/10
スキル 身体強化(幼) 自動修復(幼)
名前はインテリジェンスウエポン・ソード。一応知性のある武器ってことだから生きてはいるのか? それで生まれたばかりだから、レベルは1で最大レベルが10なのは聞いてた通りだ。そしてスキルが2つあるな。普通だとスキルは1つらしいから、もしかして当たりか!
そう思って喜んだが、それにしては両親のあの表情が気になるな。思い切って聞いてみるか。
「ねえ、ステータス確認したけど何か問題あるの?」
「いや、まあ、うん……」
「なんていったらいいのかしらね?」
どうやら私が傷つかない言い方を探してる感じだ。もしかしてそんなに悪いのだろうか? それから目くばせをしあった結果、父さんが話すことになったようだ。哀れ、父さん。
「あのなレイ。レイの召喚獣はどうやって戦うと思う?」
「どうって……私が剣を持って戦う?」
なんか当たり前のことを聞かれたが、そう普通に答える。いったい何が問題なのだろうか?
そして私が本質を理解していないのがわかったのか、ことさらわかりやすいように説明しだした。
「剣を持って戦うってことは、傷を負うことになる可能性が高いんだ。普通なら召喚獣の後ろにいる分、傷を負う可能性は少ない」
まあその可能性はあるだろう。でもそれは普通の召喚獣でも一緒だ。いまいち重要視するリスクになってない気がする。しかし話はそれだけではなかった。
「それと魔物は俺たち人間より身体能力が高い。たとえレイの召喚獣で身体強化しても、それより高い」
「え?」
つまり身体能力が劣ってる状態で、戦わないといけないってこと?
「もちろん全部の魔物の身体能力が強いわけじゃない。でもそういう魔物を倒してもレベルが上がる速度は遅いんだ」
まあ強い魔物のほうがたくさん経験値をもらえるのはわかる。
「つまり、まあ、あんまり戦闘系召喚獣の中でも強くなりづらいんだ」
「そうなんだ……」
「ああ、それでな。親としてもあんまり無茶なことはしてほしくない」
それはそうだろう。子供が無茶なことして喜ぶ親は少ない。でも、それでも……。
「それでも私は強くなりたい」
そう言って両親を見る。このことがわかっていたのか、そうだろうなとでも言いたげな顔つきだ。
「そうだろうな」
「そうでしょうね」
なんだったら言った。ちくしょう。
「そもそも危ないって言ってやめるんだったら、もっと女の子らしくなってるはずだしね」
「うぐっ……」
それは前向きに検討して善処します……。
「危ないからやめて欲しいが、だからといって子供がやりたいことを縛る大人にはなりたくねえからな。」
「じゃあ……!」
「ただし条件がある」
まあそりゃあそうだろう。きっと俺より強いことを証明しろとか言われるんだろうな。
「まずしっかり魔法を学ぶこと。そして12歳まで家事を手伝うこと」
それはやろうとしていたことだから問題ない。魔力がわかったからには、魔法の使い方は勉強する予定だったし。それに大勢の戦闘系召喚獣が参加している戦闘ギルドには、12歳からしか参加できないから、それまでしっかり家のことは手伝う。
「以上だ」
「えっこれだけ?」
「なんだ他になにか言われるのかと思ってたのか?」
「だって元からやろうとしてたことだし」
だから特に条件になってない気がする。
「こういうところはしっかりしてるんだよなぁこいつは」
「いや、当たり前でしょ?」
「その当たり前ができない子もいるのよ」
そうなのだろうか? まあ別にできて悪いことはないしいっか。
「まあしばらく出番はないかもしれないけどよろしくね」
そうインテリジェンスウエポン・ソード(長いので以後ソード)に声をかける。するとソードは揺れた気がした。もしかしたら返事をしてくれたのかな? そうだったらいいんだけど。
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