第4話 高梨君は…
小さい頃、私はずっと独りだった。引っ込み思案で他人と話すこともせず、常に暗い雰囲気を纏っていた私は、誰とも仲良くすることができず、むしろ格好のいじめの的だった。陰口を言われているなんてざらだったし、直接暴言を吐かれたりすることもあった。
そんなことが続いていたある日。またいつものようにまわりの子達から暴言を吐かれている最中に、彼が私のすぐ近くを通った。彼は正義感が強かったのだろう。私に対して暴言を吐いていた何人もの男女に、真っ向から言い返して、口論になっても引けを取らないぐらいに私のことを庇ってくれた。
そんな状況に向こうの方は嫌気がさしたのか、途中で彼に殴りかかってきた。まわりにいた子達も一緒になって手を出してきた。彼は『手を出すのはやめて!ちゃんと話し合いで解決しようよ!』と言っていたが、止まらなかった。
私は、彼がこれ以上傷つくのが嫌で、すぐにその場から走り出して大人に助けを求めにいった。すぐにその場に戻って、ついてきてくれた大人の人が解決してくれたが、彼は殴られたり蹴られたりして、いろんな所を怪我して、血まで流していた。私はすぐにごめんと謝った。正直これだけでは許されることではないだろう。だけど彼は
「大丈夫だよ。むしろ、君のことを守れてよかった」
なんてできる限りの笑顔を振り撒いて言ってくれた。
その時、私は彼に恋をして、同時に変わろうと思った。私のせいで誰かが傷つくのはスゴく嫌だ。自分のことは自分で守って、そして彼みたいに他人のために動ける人でありたい。そう考えた私は、ただひたすらに努力した。まわりにいじめられたりしないよう自分の性格を変え、身だしなみにも気を遣い、暗い雰囲気から明るい雰囲気を纏うように変わった。彼は、私のヒーローなんだから…
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なのに私は、彼の告白を振ってしまった。ずっと憧れてた人なのに、好きだった人なのに。
(なんとかして、仲直りできないかな…)
いきなりじゃなくてもいい。だけど、また友達から進んでいければいいな…。
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