第3話 悩みは吐き出すが得
「はぁぁぁぁ~」
「なんかすげぇ落ち込んでるなお前」
「そりゃ昨日の今日であんな感じだからね」
「うん…心中お察ししますわ」
放課後、昔からの付き合いの御影凛斗と帰ってるタイミングに、昨日今日の騒動について話していた。
…いや、昨日は騒動というか俺が告白して振られただけだけど…。
「クラス中で俺が振ったみたいなことになってて誤解を解くのに苦労したよ」
「城戸さんも否定してるけど、それでもって感じだよな~」
向こうも人がたくさん寄ってきていて、話しに追われていた。向こうはどちらかというと、振られたという噂があるので詰問というより同情などの意味合いの方が強いが。
「噂の発信元が気になるけど。人の噂も七十五日とも言うし、いつか忘れ去られるだろ」
「まあそうなることを願うしかないな」
こういうときに、凛斗がいるとものすごく気分が落ち着く。
「でも、お前が振ったわけではないんだろ?んで、聞こえてきた話だと城戸さんはお前のことが嫌いって訳じゃない。まだチャンスはあるんじゃねぇか?」
「かもしれないけど、今そこそこに傷心中だから…。また告白するとかそんな勇気ない…」
「はいはい。愚痴には付き合ってやるから元気出せや」
デリカシーがあるのか無いのか。まあ気兼ね無く話してくれるところが一緒にいて嫌みを覚えない理由だけど。
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「ただいま~」
「おかえり馬鹿兄貴」
「お前、まだその呼び方かよ」
帰宅早々、また美亜から馬鹿兄貴呼ばわりされた。こいつも凛斗と同じ…いやそれ以上にデリカシーが無いかもしれない。
「なんか疲れてる感じじゃん。なんかあった?話なら聞くよ。聞くだけだけど」
「なんだよ聞くだけって。まあ聞いてくれるだけマシか」
「マシってなによマシって」
「とりあえず話すぞ···」
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「ふぅん。学校で囲まれて疲れたと。んで、昨日の誤解を解いてたってね」
「ああ」
「で、城戸さんも城戸さんで囲まれてたと」
「その通り」
凛斗と美亜に悩みを吐き出したことで大分気が楽になった。振られたという事実は変わっていないが。
「…まあ、誤解が解けるように祈るしかないよ」
「そうだね~。んじゃ、聞いてあげるのはこれで終わり。楽になった?」
「ああ、マシにはなったよ。ありがとう」
とりあえず今日までのことについてはスッキリした。まあしばらくは告白しようだとかそんな気持ちも起きないから、素直に勉強でもしとくか。テストも近くなってきてるし。
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「ん〜城戸っていう女が振ったんだ〜。兄さんは好きっぽいけど、向こうが好きかははっきり分からないし~」
部屋に戻って私は先程の話の内容を反復していた。兄さんが告白した相手、城戸穂乃花先輩について考えてみた。学校では兄さんが振ったとか噂が流れているらしいが、優しい兄さんがそんなことをするはずがない。
向こうが振ったとなれば、兄に対して好意を抱いている可能性は低いと思う。なら、兄さんを手に入れるのはそこまで難しくはならないはず。
「まあ、その時が来るまでしっかり準備しておきますか」
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