第2話 女三人寄れば姦しい
俺が質問責めに会うなか、3人だけ、俺のところに来ない人がいた。
1人目は櫨本イオリ。見た目からして典型的なギャルで、髪を金色に染め、ネイルもバチバチにし、制服もかなり着崩している。なんでこんな学校にこんなギャルがいるのかというと、うちの学校にはとある特殊な校則があるためだ。それが『他人に迷惑をかけないのであれば、基本的にどのような行為でも容認する』というものだ。(なお無断遅刻や無断欠席は厳しく咎められる。ここだけ昭和みたいな校則なのは一体何故なんだ?)
流石に授業中などにスマホを扱うなどの行為は許されていないが、このような服装は基本的に個人で完結し、誰にも迷惑をかけていない。なのでまかり通るのだ。成績が極端に悪い場合はその限りではないが、彼女の成績は学年内で見ても毎度のごとく上位にいるので、教師も特に咎めるつもりはないらしい。
2人目は倉科モモカ。櫨本に比べると普通の見た目だが、薄く化粧をしており、またその化粧もスゴく薄いため、すっぴんでもかなりの美人だろうと噂されている。ただ、いつもマスクを着けていて顔の半分が隠れているため、何を考えているのかが掴みづらいミステリアスな一面もある。
3人目は平塚カエデ。他二人と違って化粧もなにもしていない、所謂真面目ちゃんに分類されるような感じだ。その真面目さもあってか、学級委員を務めている。
ギャルと真面目ちゃんという、一見不釣り合いな組み合わせだが彼女達が仲がいい理由は、幼馴染みで長い付き合いがあるかららしい。
今も3人で話しているみたいだが、生憎俺は席が遠いため何を話しているかが聞こえてこない。
(どうせ俺の陰口でも言ってるんだろう)
そんなことを考えて、俺はまた他の人の対応を始めた。
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「あの辺うるさいねぇ~」
「やっぱり昨日のことが話題になってるね。ま、髙梨くんだけじゃなくて、城戸さんも大変そうだけど」
「お互い困ってそう…。助けてあげる?」
「それはしなくていいかな~。見ててそこそこ楽しいし、髙梨の困ってる顔結構可愛いし」
「「意地悪じゃん(くない)?」」
彼女たちは、当事者達を遠目に見ながら話し合っていた。彼女たちがこの事に関わらない理由、それは彼女たちがこの事について一切を知らないわけではないから。知らない部分の情報は、周りの噂と聞こえてくる声から仕入れている。
「んで、髙梨彼女いないみたいだけど、あんたらアタックとかするん?」
「そりゃしたいわよ。タイミングとしてはこの上無くいいんだから」
「だね。ひとつ気がかりなのが、城戸さんの方から聞こえてきたアレだけど」
「あ〜彼が振った訳じゃないってやつね〜。その辺真偽どうなんだろう?」
「分からない。彼に接触していくときに聞いていけばいいんじゃない?」
その後、昼休みが終わるまで彼女たちの間では髙梨に関する話ばかり行われていた。しかし、周りの生徒達は当事者の二人の話題に夢中で、この3人の話には一切気を向けることがなかった。
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