【解説】肝試し
この話に出てくる登場人物は三人。カク子とヨム美、そしてカド吉。
しかし三人で肝試しをしているのにも関わらず、会話に混ざり込めていない人物がいたことに気付いて頂けただろうか。
そう。それはカド吉のことだ。
〝「(略)――二人じゃ怖いって言うからついてきたのに――(略)」〟
一見、肝試し企画に抵抗のある二人がカド吉を頼ってついてきてもらった、という経緯があったかのようにも見えるが、そうは書かれていない。
どこからか、それを聞きつけたカド吉が勝手についてきた、ともとれる発言だ。
黙って二人の後を追うカド吉が、物音に気付き振り返るシーン。そのあとカク子とヨム美も振り向いているが、二人ともカド吉の反応に言及をしていない。
二人にはカド吉が見えていないのだ。
だから大鏡の前で何かを見つけた二人にカド吉は置いていかれた。なにせ彼女たちにはカド吉が見えていないのだから。
大鏡で見た何かの説明を求めるカド吉に反応することもない。なにせ彼女たちにはカド吉の声が届かないのだから。
そして彼女たちは映像を確認する。映っていたのはカク子とヨム美、……そしてカド吉。
恐怖に包まれるのも無理はない。知らない男が映り込んでいるのだから。
さて、カド吉は、部屋にまでついて来てしまったようだ。こいつは一体何者なのだろうか。大鏡に映り込んでいたのは何だったのだろうか。車のエンジンが、彼の到着を待つようにしてかからなかったのは何故なのだろうか……。
「――――二人じゃ怖いって言うから憑いてきたのに」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます