第2話

 結論から言うと、いいお湯だった。中途半端な時間だったからか利用者はほとんどおらず、マイペースにゆったりとできた。おかげで思考が幾分かすっきりしたように思える。そして少しだけ気力が湧いてきた。

 うーん、お腹が空いた。そういえば昨日の昼から何も食べていなかった。とはいえ家で料理を作る気にはならない。

 昼ごはんには少し早いが何か食べに行こう。すっぴんだし、二軍の部屋着を着ているが。

 まぁそれはこの際どうでもいい。

 自宅に向かって歩いていたがその場でUターンをして商店街へと歩みを進める。


 ** 


 通い慣れた商店街をあてもなくぶらぶらと歩く。しかしお腹は空いているが何を食べればいいのかわからない。

 何か食べたいことは確かなのだが。

 結局飲食店を覗きつつ10分程うろうろした後、コンビニでおかかのおにぎりふたつとペットボトルの緑茶を買った。最終的にはいつもここに落ち着くのだった。

 それらを持って近くの河川敷へ向かった。夏場よりは元気のない土手に生えた雑草の上にどかりと座り込む。

 私はこの場所が好きだった。人がそこそこいるから。

 ツーリングやランニングに精を出すもの。学生。お年寄り。家族連れ。色々。

 適度に騒がしい方が嫌な想像をしなくてよい。

 それにしても秋はいい。こうやって外でのんびりできるし、なによりこれから来る冬の予感が愛おしいから。

 ……なんて感傷に浸ってみたところでなんの腹の足しにもならない。

 私はおにぎりのつつみを開け、勢いよくかぶりついた。

 うまい。

 ものの数分でおにぎりをふたつともぺろりと食べてしまった。

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