第18話 一人で書く勇気

創作は孤独な行為です。どれだけ多くの人に読まれることを願っていても、言葉を紡ぐ瞬間には、自分と向き合う孤独が必ずついてまわります。この「一人で書く勇気」を持つことは、創作において非常に大切な心構えだと感じています。


誰かと一緒に創作できれば、辛いときに支え合えるし、アイデアの交換もできるでしょう。しかし、書くという行為は本質的に「一人で」行うものです。だからこそ、自分の中から自然に湧き出る言葉を信じ、他人に頼らずに書き続ける力が必要になります。孤独の中で、ただ自分の感覚や考えに耳を傾けることで、自分だけの表現が見つかっていくのです。


私は、書くことに孤独を感じるとき、最初はそれが少し怖くもありました。他人の意見や反応がないと、自分の表現が正しいのか不安になったり、行き詰まったときに逃げ出したくなったりすることもありました。しかし、その孤独を受け入れることで、創作は自分との対話の時間となり、自分自身をより深く理解する手段となったのです。


「一人で書く勇気」を育むためには、まず「自分を信じること」が重要です。たとえ他人が理解しなくても、自分が感じたことや思ったことには価値があると信じること。誰かに認められなくても、それが自分にとって真実であれば、それでいいのだと自分に言い聞かせるのです。その信頼があれば、孤独も決して怖くはありません。


また、一人で書くことには「自由」があります。誰かと意見を合わせる必要もなく、好きな表現やテーマに取り組むことができます。この自由こそが創作の醍醐味であり、孤独だからこそできる純粋な表現です。誰にも遠慮せず、自分だけの世界を自由に構築できることに、次第に喜びを感じるようになりました。


孤独の中で見つかるものは、他人と共有することが難しいけれど、それが自分だけの「財産」になります。他人の期待や意見に左右されず、一人で書き続けることで、自分だけの価値観や感性が育まれていくのです。そして、その孤独の中で書いた作品こそが、自分らしさを最大限に発揮したものになるでしょう。


一人で書く勇気は、創作の原点ともいえるかもしれません。自分を信じ、孤独の中で見つけた表現を大切にしていくことで、創作は他人と共有するためだけではなく、自分を発見し、成長させるものとなります。今日もまた、孤独を受け入れ、自分の言葉に耳を傾けながら、私は一人で書き続けます。その孤独の中にある真の自由を信じて。

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