前のエピソード――第18話　一人で書く勇気

創作を続ける中で、何度も気づかされるのが「書くことは自己発見の旅でもある」ということです。言葉を紡ぐたびに、自分が何を感じ、何を大切にしているのか、そしてどのような価値観や考え方を持っているのかが浮き彫りになっていきます。書くことで自分の内面と対話し、自分でも知らなかった自分を知る瞬間に出会うたびに、創作の魅力を改めて感じるのです。

書き始める前は、自分の思いや感情をはっきりと把握していないことが多いものです。日常の中で漠然と感じていた感情や曖昧な思考が、言葉にすることで徐々に明確な形になっていきます。例えば、何気ない一日を振り返りながら書くことで、自分がその日どんなことに心を動かされ、何に不安を感じていたのかに気づくことができるのです。

私にとって、書くことは「心の整理」のようなものでもあります。自分の考えや感情を言葉にして書き出すことで、頭の中に散らばっていた思いが整理され、自分の中で答えが見つかることもあります。書き進めるうちに、「そうか、私はこんなふうに感じていたんだ」「これが私にとって大切なことなんだ」と自然に気づく瞬間が訪れるのです。

また、自己発見は時に驚きを伴うこともあります。自分でも予想していなかった感情や、今まで意識していなかった価値観が言葉として表れることがあります。それが本当の自分かどうかと戸惑うこともありますが、創作を通じて自分が意識しなかった側面に気づくことは、自分自身を深く理解する貴重な機会です。自己発見の旅には、予期せぬ喜びや驚きが詰まっています。

さらに、書くことによって自分の変化も感じ取れるようになります。以前は気になっていたことが今は大したことではなくなっていたり、逆に新たな関心が生まれていたりと、自分の成長や変化を実感できるのです。過去に書いた作品と今の自分を比較することで、どれだけ自分が変わり、成長してきたかが見えてくるのも、創作の素晴らしさのひとつです。

書くことを通じて、自分をより深く知り、理解し、自分と向き合う。自己発見は、創作の中で一番の醍醐味かもしれません。他人に見せるためだけではなく、自分を見つめ、理解するために書き続けることが、創作を支える強い動機となります。

今日もまた、書くことで自分を知り、自分を発見する旅に出たいと思います。言葉を紡ぐたびに見つかる新しい自分と出会い、その喜びを胸に、創作を続けていく。それが、私にとっての「書くことの意味」なのです。