第7話 読者が一人でもいれば大丈夫

創作をしていると、時に「誰かに読んでほしい」「多くの人に届けたい」と思うことがあるでしょう。作品を通じて人と繋がりたいという気持ちは、自然な欲求です。しかし、読者が多いか少ないかに囚われてしまうと、創作が重荷になり、自分の表現がどこかで歪んでしまうこともあります。


ある時、私はふと気づきました。どれだけ多くの人に読まれたとしても、自分が心から書きたいことが書けていなければ、創作は楽しくないのだと。逆に、読者が一人でも、自分の表現に共感してくれる人がいれば、それで十分なのではないかと感じるようになりました。


創作はまず、自分のために行うもの。そして、その表現が誰かに届き、共感や感動を生むことができたなら、それは大きな喜びです。たとえ一人でも、その読者が作品を心から楽しんでくれるなら、それ以上に嬉しいことはありません。実際、たった一人の読者からの感想が、どれだけ創作の支えになるかを実感したこともありました。


多くの人に届けることも素晴らしいですが、作品の価値は読者の数で決まるわけではありません。たとえ一人でも、その人の心に何かを残せる作品であれば、それは確かに存在意義のあるものなのです。読者の数に惑わされず、自分が本当に伝えたいことを表現し、誰かに届くことを信じて書き続けていきたいと思います。


たった一人でもいい、その人にとって「また読みたい」と思える作品を届けられたなら、それで大丈夫。自分の言葉が、どこかで誰かの心に触れているかもしれない――そう信じて、私は今日も書き続けます。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る