裁決

[ それであるにはあるといった情報源はどこから? ]


少女がさらに詰め掛ける.


[ じょ、情報屋を雇うのはどうでしょうか?金銭に関しては今の状況的に心配ないかと、! ]


憤怒の顔色は赤くなったり青くなったりと忙しい.


[ ちょっと待て.情報屋を入れるということは新しく引き入れるということか?見知らぬ人間を? ]


先ほどまで黙って静かに聞いていた傲慢も憤怒の発言に思うところがあったようで.


[ 金な.一応言っておくけど今そんなに潤っているわけではないぞ. ]


強欲も憤怒に釘を指すような言葉を.


[ ねぇねぇボス!聞いて聞いて!私いい案思い付いたよ! ]


それまでなにかを考えていたのか静かにしていた暴食までもが手をあげて話に参加し始めた.


[ いい案?どんな意見?言ってもいいけど憤怒みたいな現実味のない案ならいらないよ. ]


王である少女もなかなか決まらないことに苛ついているのか、先ほど憤怒に向けたような厳しい声色で.


[ めっちゃめちゃいい案だよ!聞いたらボスもみんなもビックリすると思う!いなくなっちゃった嫉妬ちゃんの枠にこの女の子を入れたらどう? ]


まるで褒めてとでも言うかのような自信満々の表情で女の子とボスを交互に見て.


[ はぁ、?いや待て.それは憤怒が、、、、. ]


想いもよらぬことを言い出した暴食を強欲が慌てて黙らせようと暴食に近寄り.


[ 嫉妬の枠にあの女を入れるって?何を言ってるのよ.馬鹿馬鹿しい.それこそ現実的じゃないじゃない!それにあんた嫉妬に情はないわけ? ]


強欲の阻止も虚しく、またもや顔を真っ赤にし、暴食に怒鳴る憤怒の顔はもはや悪魔のようだった.


[ そういう訳じゃないよ~!憤怒ちゃんもちょっと落ち着いたら?これあげる! ]


暴食が無邪気に笑いながら憤怒の口にあめ玉を突っ込んで.


[ な、なにすんのよ!!ちょっと、怠惰さっさとこの馬鹿女黙らせて頂戴! ]


飴玉が入っているからか少しもごもごとした喋り方で偉そうに怠惰に命令し.


[ ぇ、やだよ.めんどいし.それに序列.頭でも打って忘れちゃった? ]


怠惰はそんな憤怒からの命令を断って.


そして怠惰の口からも出た序列.


それは悪の組織内での地位の高さを示すものだった.


一番上にボス、その下に強欲、暴食.そして、色欲、怠惰、傲慢、憤怒の順番である.


ちなみに嫉妬は、憤怒の上にいたが、現在は死亡しているので除外としよう.


この序列は王直々に任命されたわけではなく、王への近さにより決められる.


王に近ければ近いほど、地位の高さも上がっていくという仕組みだ.


王の少女からすると序列何て言うものは興味がなく、幹部たちに丸投げしていたからこそ、彼らの間でこうした序列が作られた.


[ 序列ねぇ、.結局序列なんてあんたたちが勝手に決めたものじゃない.あたし新参者だし?そんなのに従う義理はないわよ. ]


怠惰が憤怒を抑えるために出した序列という単語にも怯まず、いや怯んではいるが怒りの方が強いようで.


あろうことか今度は怠惰に突っかかる.


[ はぁ?それを言うならお前幹部から降りることになるんだぞ?いいのか? ]


傲慢までもが少しキレ気味に話に参加し始める.


[ お-い.みんな落ち着こ?ほら.みんな困ってるよ. ]


もはや混沌と化した幹部たちの口論を困惑げに不安げに見守っていた構成員たちの気持ちを代弁するかのようのに色欲が間にはいる.


[ それに俺からしたら王の前で醜く争うことの方が馬鹿馬鹿しいけどね. ]


やっとこのどうしたらいいのか分からない幹部同士の争いが終わるのかとホッとしたところで更に色欲から爆弾が投下され構成員たちは一気に青ざめる.


色欲までもが入ってしまうと止めれる人間はボス以外いない.


構成員たちは皆それを理解しているからこそ目の前で繰り広げられる口論から目を背けて不安げに瞳を揺らしボスへ期待の視線を向けるのだった.

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