罪人の行く末

[ 裁判開始~. ]


色欲のこの場の緊張感に合わない緩い発言を聞いた少女が憎々しげに彼を睨む.


[ 色欲を睨んでもどうにもなんないよ.君の運命はこの裁判で決まるから. ]


強欲が素っ気なく、冷たく少女に言う.


少女が黙ったのを見て強欲が再び話し出す.


[ 今回の裁判対象は彼女.我らにとって敵とも言える魔法少女だ.さぁ、皆彼女をどうしたい? ]


[ 今すぐ殺せ! ]


[ 嫉妬の方を殺した魔法少女と関連があるかもしれない. ]


[ 今すぐ殺すのもいいが先に情報を! ]


皆それぞれ好き勝手意見を述べる.


[ 俺としては今すぐ殺してもいいけどな. ]


傲慢が髪を弄りながら興味なさげに言う.


[ 僕は、面倒臭いからどっちでも. ]


怠惰も同じく興味なさげな様子.


[ 俺は様子見でもいい気がする.まぁ、最終決定はボスだけど. ]


強欲は悩みつつも中間よりの彼らしい答えを出した.


[ 私は生かすで!そっちの方がおもしろいし!!]


そう無邪気にそして残酷に強欲の隣にいた少女が元気に意見を言う.


彼女の名は“暴食”-グラトニー.一番この中で幼く、周りの構成員からは若干敬遠されている.


それもそのはず彼女は物事を損得や合理的に見ずにおもしろいか、おもしろくないかで判断して進めるからだ.


罠と分かりつつも突き進んだり、絶対間違っているとわかりながらも答える等彼女に付いた者たちはことごとく泣きを見てきた.


[ お前は関係ないから黙っときな. ]


そう彼女によく似た顔を少し曇らせ、強欲が彼女に飴を渡す.


そうすると単純な少女はいつもなら黙る.


だが今日は簡単ではなかった.


[ やだ!関係あるでしょ!私も幹部だもん! ]


まるで幼子のような物言いに双子の兄である強欲が頭を抱え、どうしようかと伺うように王座に座る少女を見る.


[ まぁいいじゃないか.でも、楽しいか楽しくないかで決めるんじゃなくて、それが組織にとって最適かどうかで決断を出してね. ]


少女が暴食に対し幼子に接するような優しい声色で諭し.


[ は-い.ちゃんとするから終わったらご褒美頂戴! ]


暴食は少しふてくされながらも納得し、ご褒美を欲しがった.


[ はいはい.いつも通りお菓子いっぱいあげるからそれで我慢して. ]


少女も暴食の出した条件を了承し、暴食を静かにさせた.


[ あたしは今すぐ殺したい.だって嫉妬を殺したやつの仲間でしょ?だったら殺すべきだよ. ]


殺された嫉妬と仲の良かった憤怒-ラース-が今にも手を出しそうな雰囲気で少女を睨んでいる.


[ まぁまぁ憤怒落ち着いてよ.今は私情を挟まずに組織にとって有益か考えるべきじゃない? ]


色欲がやんわりと彼女を諭すが全く動じずに今度は色欲に詰め寄った.


[ じゃああんたはどうなのよ!?嫉妬を殺されて悲しくないの?それでも仲間? ]


[ 俺?俺はそうだなぁ、、. ]


色欲が勿体振った様子で憤怒に笑いかけ答える.


―[ 俺は生存に1票.ここに連れてきたのも端からそのつもりだったしね. ]―

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