とある魔法少女U
国から、正確に言えば組織から救援要請が来た.長ったらしい文章だったけど要約するととある魔法少女が失敗したから助けに行け.
指定された町を見て驚いた.あの町は“あの子”の担当区域だったはず.
あの子に何かあったのかもしれないというなんとも言えない気持ちを抱えながらついた町で見たものは.
壊れた町.
血だらけの人々.
なにやら叫ぶ大人達.
泣き叫ぶ子供.
まさに地獄.この言葉以外言い表せるものがないと思ってしまうほど、この状況は異様だった.
回りを見渡してもいつもなら笑顔で駆け寄ってくるあの子の姿は見えない.その事にどうしようもない不安、違和感を覚える.
どこ行ったんだろう、怪我はしてないのかな、そう考えてふと気がつくと回りにはたくさんの人が集まっていた.
[ 救援要請で助けに来ました.怪我人は治療しますのであちらへ.当時の状況がわかる方は情報提供をお願いします. ]
回りを見渡すと怪我人がたくさんいた.どこに避難したらいいのかわからなかったのだろう.そう呑気に考えていると想像していなかったことが住人の口から放たれた.
[ 魔法少女が裏切った! ]
[ 私達はあの女に見捨てられたのよ! ]
[ ママが死んじゃった、、、! ]
[ 裏切り者が逃げやがった! ]
あまりの剣幕に思わず狼狽えてしまう.
あの子がそんなことするわけ無い.
[ 皆さん落ち着いてください.怪我人はあちらへ. ]
そうもう一度言っても住人は退く様子が無い.
多分、というか絶対私がちゃんと話を聞くまで動かないだろう.早く整理をしたいけど町の人を最優先に.そう組織のモットーを思い出しながら話を聞いて整理した内容は.
あの子が失敗して逃げ出した.
簡潔に言うとそうだけど、あの子がそんな無責任なことをすると思えない.
一度自分の目で状況を見たい.
そう町の人に伝えて壊れた町を見て回る.
するとさっきの場所から少し離れた、町の中心辺りにあの子のステッキを見つけた.
普通なら輝いているはずの宝石が黒く濁っている.
こんなステッキを見るのは初めてで、正直わけがわからない.
この謎はあの子に会ったときに聞くとしようそう決めて立ち上がる.
[ ――ちゃんどこに行ったんだろう.]
―そう鈴を転がすような声を風にのせてまたここにいるはずの“あの子”を探し始めた―
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます