第16話 サンバトラー三兄弟(ひとりは兄弟でない)



でも、やっぱり無理がたたったのだ。


俺たちが、

ミル姉を紫音先生のローブで包んだのは、

スーパーファインプレーだったらしい!!


チワたちによると、

がくがくと震えて、酷く寒がったミル姉は、

頭から、

ぱったりと倒れたそうだ。


頭を打ったけど、

ローブのふわふわの裏地のおかげで、

酷い怪我はせずに済んだんだって。


紫音先生も居たから、

急いで竜になって、

島一番の皇国神殿へ連れて行ったってわけだ。



 一晩寝れば大丈夫、心配させてごめんねって、

蜻蛉(トンボ)の、

魔法封筒が届いた。 


これ、

みんなに同じもの届くんだぜ!

シュー、ぽんぽんぽんって、

面白かったし、ほっとしたよ!

 

 みんなありがとう!

 帰ってきたら豆茶で乾杯ね!


だって。

ふふ。


ミル姉っぽいよね。

さっきの工房での二人の様子が浮かんで、

ポカポカした。



さて、代理の引率を見て、

俺たちはびっくり!!


だって、

三人も居るんだもの!!

竜医院の仲間で、

たまたま都合で、まとめて休暇(オフ)を取ってた金髪三兄弟。正確に言うと一人はいとこだそう。

バトラーっていうより、

真っ白な王子様みたいのが来たんだ。

手袋してるんだぜ?

真っ白な竜車だ。

竜も六頭も居た。



絵本から出てきたみたいだった。

女子は、キャーキャー言ってたよ。



俺も、

別に嫌いじゃないけどさ。



二泊三日の島旅行って感じは、

どっかにふっとんじゃった。

俺はこういうの、あんまり、だ。


遊園地か、

お芝居の観劇に来たみたいじゃないか。


サングラスのアトラスと並ぶと、

笑っちゃったもん。

マーケットも大騒ぎだよ。 


ふん。

正直に言うよ。

エルザまで夢中になってから、

俺はすっごく面白くなかったの!!



彼らがまさか、

ミル姉の代理、

まさか、引率だとは誰も思わなかった。


そう、筋骨隆々、

汗臭い面々、研修医三バカトリオ!!


いい匂いがするし、

お医者さんだし、

頭もめっちゃいいよ!?



あっ!!

こっち見た!!


エルザは、俺の嫁だぞ!!

思わず逃げた。


だって、

さっきマーケットで、

大きな帽子も買ったんだ。

俺がプレゼントしたくって、

勇気を出して贈ったんだ。

ほんとに、ほんとに、


俺、頭が爆発しそうなくらい今、

幸せなんだよ。

それなのにさあ。腹立つ!!



アトラスだって、

ろこつに嫌悪感を示した。

えっ?!って思った。

ポーラもだ。




はっ!!とした。 

 



恋敵!!



チームシオンの敵ってことなんだな。



本人不在だけど!!

つか今は、ミル姉と紫音先生で、

二人一緒にいるんだから、


それでよくない?


あっ、

理由つけて、

戦いたいだけだろ!!

怖っ!!


アトラスの良くないところが、

まざまざと見えた。


俺のシマを荒らすな。

ナースさんは、

シッターさんは俺のもんだ!!



サンバトラー三兄弟にしたってそうだ。

島の名士、

丘の邸宅の主の次期筆頭候補に、

恩を売る一大チャンス(ボーナスタイム)なのである!!


大人って、

大人って…。



でも、おかげで俺たちは、

マーケットのすみずみまで満喫したし、

丘の邸宅や、竜医院のバックヤードだって連れてってもらえたんだ。

竜車だって乗せてもらえたんだぜ。

きらっきらのやつだ。


ごめん、チームシオン!!

すごく楽しかったっ!!


(続)

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