第16話 サンバトラー三兄弟(ひとりは兄弟でない)
◆
でも、やっぱり無理がたたったのだ。
俺たちが、
ミル姉を紫音先生のローブで包んだのは、
スーパーファインプレーだったらしい!!
チワたちによると、
がくがくと震えて、酷く寒がったミル姉は、
頭から、
ぱったりと倒れたそうだ。
頭を打ったけど、
ローブのふわふわの裏地のおかげで、
酷い怪我はせずに済んだんだって。
紫音先生も居たから、
急いで竜になって、
島一番の皇国神殿へ連れて行ったってわけだ。
一晩寝れば大丈夫、心配させてごめんねって、
蜻蛉(トンボ)の、
魔法封筒が届いた。
これ、
みんなに同じもの届くんだぜ!
シュー、ぽんぽんぽんって、
面白かったし、ほっとしたよ!
みんなありがとう!
帰ってきたら豆茶で乾杯ね!
だって。
ふふ。
ミル姉っぽいよね。
さっきの工房での二人の様子が浮かんで、
ポカポカした。
◇
さて、代理の引率を見て、
俺たちはびっくり!!
だって、
三人も居るんだもの!!
竜医院の仲間で、
たまたま都合で、まとめて休暇(オフ)を取ってた金髪三兄弟。正確に言うと一人はいとこだそう。
バトラーっていうより、
真っ白な王子様みたいのが来たんだ。
手袋してるんだぜ?
真っ白な竜車だ。
竜も六頭も居た。
絵本から出てきたみたいだった。
女子は、キャーキャー言ってたよ。
俺も、
別に嫌いじゃないけどさ。
二泊三日の島旅行って感じは、
どっかにふっとんじゃった。
俺はこういうの、あんまり、だ。
遊園地か、
お芝居の観劇に来たみたいじゃないか。
サングラスのアトラスと並ぶと、
笑っちゃったもん。
マーケットも大騒ぎだよ。
ふん。
正直に言うよ。
エルザまで夢中になってから、
俺はすっごく面白くなかったの!!
彼らがまさか、
ミル姉の代理、
まさか、引率だとは誰も思わなかった。
そう、筋骨隆々、
汗臭い面々、研修医三バカトリオ!!
いい匂いがするし、
お医者さんだし、
頭もめっちゃいいよ!?
あっ!!
こっち見た!!
エルザは、俺の嫁だぞ!!
思わず逃げた。
だって、
さっきマーケットで、
大きな帽子も買ったんだ。
俺がプレゼントしたくって、
勇気を出して贈ったんだ。
ほんとに、ほんとに、
俺、頭が爆発しそうなくらい今、
幸せなんだよ。
それなのにさあ。腹立つ!!
◇
アトラスだって、
ろこつに嫌悪感を示した。
えっ?!って思った。
ポーラもだ。
はっ!!とした。
恋敵!!
チームシオンの敵ってことなんだな。
本人不在だけど!!
つか今は、ミル姉と紫音先生で、
二人一緒にいるんだから、
それでよくない?
あっ、
理由つけて、
戦いたいだけだろ!!
怖っ!!
アトラスの良くないところが、
まざまざと見えた。
俺のシマを荒らすな。
ナースさんは、
シッターさんは俺のもんだ!!
サンバトラー三兄弟にしたってそうだ。
島の名士、
丘の邸宅の主の次期筆頭候補に、
恩を売る一大チャンス(ボーナスタイム)なのである!!
大人って、
大人って…。
でも、おかげで俺たちは、
マーケットのすみずみまで満喫したし、
丘の邸宅や、竜医院のバックヤードだって連れてってもらえたんだ。
竜車だって乗せてもらえたんだぜ。
きらっきらのやつだ。
ごめん、チームシオン!!
すごく楽しかったっ!!
(続)
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