第13話 煉獄のレン 青い揚羽蝶エルザと、埴輪への熱い思い


俺たちはみーんな、

執事(バトラー)のアトラスも、

南十字星店長の紫音さんも、

気づけば、先生って呼んでた。

理由?

知らん!


なんとなくだ!



次に、俺たちは、

カーアイ島のマーケットを訪れることになった。

みんなで、特大の竜車に乗るんだって!!


ここで、お土産品が追加された。

スポーツウエアじゃなくて街歩き用の服。

この島の名産で、

アロハンシャツっていうんだって。

紫音センセイは、

濃紫に銀の釦(ボタン)。

瑠璃色の髪に色白の肌。

すっごくキレイだ。

この世のものじゃないみたいだった。


アトラス先生は、

紫に金の釦(ボタン)、

やっぱりうっすら胡散臭っ!

家庭訪問のときの先生そっくりなんだよな。

でも金ピカの、

イカツイネックレスとか、うける。

サングラスしてるんだがっ。

でも、

ミョーに似合うんだよな。

着こなしがうまいのかな。

スタイル?髪型?

紫音先生より、

抜け目なくておしゃれに見えた。

シャツと、白パンだった。


俺たちも、

シャツが5色(金/銀)で選べた。

悩んだけど、

みーんなログインのときの色にした。


ドレスも選べたから、

女子はほとんど、そっちにしてた。

ポーラとおそろい。

肩がちょっとだけ見えて、

ふりふりしていてお姉さんぽくて、

どきどきした。

シャツにしてたのなんて、

サヤナくらいだと思う。


俺たちは、

朝から、

ササッカーで、

びしょびしょだから、

着替える前に男子は、

南十字星の工房の裏手にある、

イモ畑のあたりへ通してもらったんだ。

水樽があって、

簡易シャワーになってた。


裏手は、

たくさんの荷物が運び出された痕跡があった。

がらんどうの部屋のあちこちに、

解体されたベッドや棚が積み上げられ、

布が被せてあった。


それらを通り抜けて、

工房に入ると、


俺に、

タオルが差し出された。


ひっくり返るかと思った。


青い蝶の、

―お姉さま(俺の嫁)。


濃紫に銀のドレス。

ポーラをはじめ、女子が着ていたのと同じものだ。

俺は、赤に金の釦のシャツ。

おそろいの生地…。

 


つまりこれは、

ペアルック!!




ち、

ち、

違うよ?!

だって、俺は中2だもん!!

お姉さまは、

たぶん高校生とかだ!!


俺みたいな、

ちんちくりんと、

釣り合うわけないっ!!

つか、

みーんなおそろいなわけだし?


でもさ。

ニヤニヤしたっていいだろ?

大鏡を見たけど、

並んだとこは、

悪くなかったぜ!

えへへ。

小2だったら、

こうはいかないもんな。


上がってくるぅ。

ビシッとキメてやんよ!!


何を?

何もかもだよ!!



彼女は、エルザと言った。

とびきりの美少女だ。


石造りの神殿を揺蕩う、

凛とした花の香りっていうのかな。

切っ先は鋭く、

それでいて、

高台から海を見渡すような、

思わず首ごともっていかれるような、

ぶわりと広がる、

力強い潮風の衝撃が来たんだ。

近づく以前だよ。

足がすくんだ。


でもさ。

彼女は、

俺にスタスタと近づいて。

むぎゅううううう。

って、抱きしめたんだ。


俺には、すぐに理由がわかった。


だって眼の前には、

あの、シマシマエナガンのクッションが落ちてるんだもの!!


間違えてるだろ!!

無表情で、もふもふしないで!!

たしかに顔の系統は、

似てるかもだけどさ。

ポーラほどじゃないよっ!!


俺は、

隣りにいた、

おばあさんメイドに目で訴えた。

しかし。


手を、

後ろ手にしたまま、

まっすぐ俺を見すえて。


しっかり無視された。

受け入れろ、

ということらしい。

えー…。

人として認識されてないじゃん…。

なんでだよお。



でも、

でも、

こんなに、

急接近出来るなんて!!


彼女は、

俺の理想そっくりなんだ!!



みんなには、

イジられるから、

言わないけど!!

 

 





埴輪(はにわ)の


 正 装 女 子 に。


 

生き写しなんだがあーーーっ!!

あああああーーー。


ちらっと見上げたけど、

ほんとに、

ほんとに。


耳まで真っ赤になる。

どきどきした。


品のあるこのお顔立ち。

頭がぶっ飛びそうだよお。


(続)









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