第13話 煉獄のレン 青い揚羽蝶エルザと、埴輪への熱い思い
◇
俺たちはみーんな、
執事(バトラー)のアトラスも、
南十字星店長の紫音さんも、
気づけば、先生って呼んでた。
理由?
知らん!
なんとなくだ!
◇
次に、俺たちは、
カーアイ島のマーケットを訪れることになった。
みんなで、特大の竜車に乗るんだって!!
ここで、お土産品が追加された。
スポーツウエアじゃなくて街歩き用の服。
この島の名産で、
アロハンシャツっていうんだって。
紫音センセイは、
濃紫に銀の釦(ボタン)。
瑠璃色の髪に色白の肌。
すっごくキレイだ。
この世のものじゃないみたいだった。
アトラス先生は、
紫に金の釦(ボタン)、
やっぱりうっすら胡散臭っ!
家庭訪問のときの先生そっくりなんだよな。
でも金ピカの、
イカツイネックレスとか、うける。
サングラスしてるんだがっ。
でも、
ミョーに似合うんだよな。
着こなしがうまいのかな。
スタイル?髪型?
紫音先生より、
抜け目なくておしゃれに見えた。
シャツと、白パンだった。
俺たちも、
シャツが5色(金/銀)で選べた。
悩んだけど、
みーんなログインのときの色にした。
ドレスも選べたから、
女子はほとんど、そっちにしてた。
ポーラとおそろい。
肩がちょっとだけ見えて、
ふりふりしていてお姉さんぽくて、
どきどきした。
シャツにしてたのなんて、
サヤナくらいだと思う。
俺たちは、
朝から、
ササッカーで、
びしょびしょだから、
着替える前に男子は、
南十字星の工房の裏手にある、
イモ畑のあたりへ通してもらったんだ。
水樽があって、
簡易シャワーになってた。
◇
裏手は、
たくさんの荷物が運び出された痕跡があった。
がらんどうの部屋のあちこちに、
解体されたベッドや棚が積み上げられ、
布が被せてあった。
それらを通り抜けて、
工房に入ると、
俺に、
タオルが差し出された。
ひっくり返るかと思った。
青い蝶の、
―お姉さま(俺の嫁)。
濃紫に銀のドレス。
ポーラをはじめ、女子が着ていたのと同じものだ。
俺は、赤に金の釦のシャツ。
おそろいの生地…。
つまりこれは、
ペアルック!!
ち、
ち、
違うよ?!
だって、俺は中2だもん!!
お姉さまは、
たぶん高校生とかだ!!
俺みたいな、
ちんちくりんと、
釣り合うわけないっ!!
つか、
みーんなおそろいなわけだし?
でもさ。
ニヤニヤしたっていいだろ?
大鏡を見たけど、
並んだとこは、
悪くなかったぜ!
えへへ。
小2だったら、
こうはいかないもんな。
上がってくるぅ。
ビシッとキメてやんよ!!
何を?
何もかもだよ!!
◇
彼女は、エルザと言った。
とびきりの美少女だ。
石造りの神殿を揺蕩う、
凛とした花の香りっていうのかな。
切っ先は鋭く、
それでいて、
高台から海を見渡すような、
思わず首ごともっていかれるような、
ぶわりと広がる、
力強い潮風の衝撃が来たんだ。
近づく以前だよ。
足がすくんだ。
でもさ。
彼女は、
俺にスタスタと近づいて。
むぎゅううううう。
って、抱きしめたんだ。
俺には、すぐに理由がわかった。
だって眼の前には、
あの、シマシマエナガンのクッションが落ちてるんだもの!!
間違えてるだろ!!
無表情で、もふもふしないで!!
たしかに顔の系統は、
似てるかもだけどさ。
ポーラほどじゃないよっ!!
俺は、
隣りにいた、
おばあさんメイドに目で訴えた。
しかし。
手を、
後ろ手にしたまま、
まっすぐ俺を見すえて。
…
…
しっかり無視された。
受け入れろ、
ということらしい。
えー…。
人として認識されてないじゃん…。
なんでだよお。
◇
でも、
でも、
こんなに、
急接近出来るなんて!!
彼女は、
俺の理想そっくりなんだ!!
みんなには、
イジられるから、
言わないけど!!
埴輪(はにわ)の
正 装 女 子 に。
生き写しなんだがあーーーっ!!
あああああーーー。
ちらっと見上げたけど、
ほんとに、
ほんとに。
耳まで真っ赤になる。
どきどきした。
品のあるこのお顔立ち。
頭がぶっ飛びそうだよお。
(続)
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