第11話 中2設定と、三色のサッカー乙女たち
◇
俺のゲストルームは、二階の奥だった。
相部屋だ。
二段ベッドが2つ。四人だ。
俺は、煉獄のレン!
仲間は、
妖精のサヤナ(緑/金の箔)
かもめのナギサ(青/銀の箔)
はらぺこのチワ(赤/銀の箔)
だった。
みんなかわいい女の子だった。
なんとなんと!
サッカー女子だった!
すごくない?!
超ラッキー★
明日はみんなで、
サッカーをやろう!って約束したんだよ。
でもさ、
俺だけ小二だった。
みんな、ぜんぜん大きいんだよな。
そしたらさ。
みんな、びっくりして、
「ログインのとき
年齢設定あったよ?
めいっぱいで、十四才。」
え、
えええーー!!
がーん!!
俺、見逃してたんだがっ!!
それで、ちっちゃい、
俺を心配してくれてさ。
南十字星の受付まで、
三人とも、
一緒についてきてくれるって言ってくれたんだ。
やさしー。
さすが先輩っ。
◇
夜の森って、
ほんとにわくわくする。
鼻に抜ける、
しめっぽくて新しい木の香り。
南十字星の正面の扉は、
もう施錠されて、
カーテンも閉められてた。
だから、居間の方に回り込んでみたんだ。
そしたらさ、ふふっ。
ポーラとアトラス、二人で魔法映写機(シアター)を見てたんだよ。
なんか、
幸せそうで、
まるで素敵な絵画みたいだった。
わかるかな。
二人とも、すごくきれいなんだ。
温かい燭台の明かり。二人の横顔。
チラチラと映り込む影。
ほっぺたが、ちらちらと灯ってるんだ。
俺たちがいるときとは、ほんの少し違うんだ。
邪魔したくなくってさ。
みんなで、ちょっと見とれちゃったよ。
◇
まあでも、早く寝たいからさ。
俺は意を決して、とんとんと、
窓を叩いたよ。
おっ?って、アトラスはすぐに嬉しそうに中に入れてくれた。
ポーラも、翼で飛んで入っていいって。
ぴょん、ぴょんと四人で入った。
◇
年齢設定のことを相談すると、
ポーラは、店の奥に行って、
瓶に入った、グミを持ってきた。
そして、俺に一つくれた。
もぐもぐ。
おおっ!!
鼻、口の端、
目の端から、耳から、
煙が出て…。
するすると目線が高くなって、
俺の中の炎が大きくなって、
俺は、十四才の煉獄のレンになった。
サヤナたちは、
キャッキャと喜んでくれた。
そして、
明日のサッカーの話をすると、
アトラスがめちゃくちゃ食いついたんだ!
コーチしてくれるって!
それで、アトラスもグミを食べた。
もぐもぐ。
鼻から、耳から、煙が出てきて。
でね、
人型になったんだよ!!
二十四歳のアトラス!!
思ったよりは、お兄さんだった。
しっかりした体幹。
紫の髪で、
シオンさんとはぜんぜん違うんだけど、
すっごいかっこよかった!!
精悍な顔つきはそのままで、
眼がきらきらしてて、
引き締まってた。
明日はよろしくなっ!って、
白い歯がキラーンってした。
あれだ、
授業参観のときの先生みたいで、
胡散臭かったけど、わくわくしたよ。
四人で、みんなきゃっきゃと部屋に戻って、
明日に備えることにした。
超楽しみだ!
いっぽいっぽが大きかった。
すぐに慣れたけれども。
小2じゃないっ、中2だっ!!
バシッと決めてやるぜっ!!ふふふっ。
◇
ゲストルームの縦長の小窓からは、
きれいな三日月が見えた。
◇
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