第11話 中2設定と、三色のサッカー乙女たち


俺のゲストルームは、二階の奥だった。

相部屋だ。

二段ベッドが2つ。四人だ。


俺は、煉獄のレン!


仲間は、

妖精のサヤナ(緑/金の箔)

かもめのナギサ(青/銀の箔)

はらぺこのチワ(赤/銀の箔)


だった。

みんなかわいい女の子だった。


なんとなんと!

サッカー女子だった!

すごくない?!

超ラッキー★


明日はみんなで、

サッカーをやろう!って約束したんだよ。


でもさ、

俺だけ小二だった。

みんな、ぜんぜん大きいんだよな。

そしたらさ。

みんな、びっくりして、


「ログインのとき

年齢設定あったよ?

めいっぱいで、十四才。」


え、

えええーー!!

がーん!!

俺、見逃してたんだがっ!!


それで、ちっちゃい、

俺を心配してくれてさ。

南十字星の受付まで、

三人とも、

一緒についてきてくれるって言ってくれたんだ。

やさしー。

さすが先輩っ。



夜の森って、

ほんとにわくわくする。

鼻に抜ける、

しめっぽくて新しい木の香り。


南十字星の正面の扉は、

もう施錠されて、

カーテンも閉められてた。


だから、居間の方に回り込んでみたんだ。

そしたらさ、ふふっ。

ポーラとアトラス、二人で魔法映写機(シアター)を見てたんだよ。

なんか、

幸せそうで、

まるで素敵な絵画みたいだった。

わかるかな。

二人とも、すごくきれいなんだ。

温かい燭台の明かり。二人の横顔。

チラチラと映り込む影。

ほっぺたが、ちらちらと灯ってるんだ。

俺たちがいるときとは、ほんの少し違うんだ。

邪魔したくなくってさ。

みんなで、ちょっと見とれちゃったよ。 


◇ 


まあでも、早く寝たいからさ。

俺は意を決して、とんとんと、

窓を叩いたよ。

おっ?って、アトラスはすぐに嬉しそうに中に入れてくれた。

ポーラも、翼で飛んで入っていいって。

ぴょん、ぴょんと四人で入った。



年齢設定のことを相談すると、

ポーラは、店の奥に行って、

瓶に入った、グミを持ってきた。

そして、俺に一つくれた。

もぐもぐ。


おおっ!!

鼻、口の端、

目の端から、耳から、

煙が出て…。


するすると目線が高くなって、

俺の中の炎が大きくなって、


俺は、十四才の煉獄のレンになった。


サヤナたちは、

キャッキャと喜んでくれた。


そして、

明日のサッカーの話をすると、

アトラスがめちゃくちゃ食いついたんだ! 

コーチしてくれるって! 


それで、アトラスもグミを食べた。

もぐもぐ。

鼻から、耳から、煙が出てきて。


でね、

人型になったんだよ!!

二十四歳のアトラス!!

思ったよりは、お兄さんだった。

しっかりした体幹。

紫の髪で、

シオンさんとはぜんぜん違うんだけど、

すっごいかっこよかった!!

精悍な顔つきはそのままで、

眼がきらきらしてて、

引き締まってた。


明日はよろしくなっ!って、

白い歯がキラーンってした。

あれだ、

授業参観のときの先生みたいで、

胡散臭かったけど、わくわくしたよ。


四人で、みんなきゃっきゃと部屋に戻って、

明日に備えることにした。


超楽しみだ!

いっぽいっぽが大きかった。

すぐに慣れたけれども。


小2じゃないっ、中2だっ!!

バシッと決めてやるぜっ!!ふふふっ。



ゲストルームの縦長の小窓からは、

きれいな三日月が見えた。









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