第9話 ◆◆◆不正の代償

◆◆◆


「「ドラゴンゾンビの風上にも、置けないよね。」」




えっ!!



どこだ、

ここは?!



真っ暗だ。

  

遠くに、

明るい風船が、3つ。


キリス、

キリスの元パートナーくん、

研修医の三バカトリオ。


恍惚(うっとり)とした、

表情を浮かべて、

手首も、

足首も、

身体も縛られて、

闇の中に、

ぷかぷか、ぷかぷかと浮いていた。


飛行船団が見える。


立っているのは、

…俺??



その俺は、

にっこりとした。


目と唇の鋭さは、

二日目の月のようだった。


そして、

指をぱっちん!

と、鳴らした。



五人は、

恍惚の表情のまま、



下にぽっかり空いた、

闇の回廊へ、

頭から落ちてゆく。



はるか向こうの、

キリスの紅玉の瞳と、

目が合った。



彼女は、

ふわっと、笑った。


離れているのに、

白い指先が、逆さまに俺に触れた。

俺の頬を両側から包む、

あの手。


スローモーションのように、

花や果実を思わせる、

強い香り。


翼のような、

肌を撫でる感触。


そして、


黒い水たまりが、

ビシャリと、はね飛んだ。


スンと、

あたりは真っ暗になった。


◆◆◆




どぽん、

どぽん、

どぽん。


彼らの沈む、

音だけが聞こえた。

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