●◯ シオン竜医になる
しかし、
当然のとこながら、
一つの超えなければいけない、
大きな壁があった。
―医師免許試験、である。
研修医としての実習経験。
これはまったく問題なかった。
彼女の医院で雇用すればいい。
実技も余裕だろう。
圧倒的センス。
そもそも彼にはプロの竜鎧屋としてのキャリアがある。
外来を主とするミルダよりも、
腕前は既に、はるか雲の上だった。
問題は、、、
筆記試験である。
ペーパーワーク。
悩みに悩んだが、
仲間に相談することにした。
◇
まず!
元パートナーくんに連絡を取り、
三バカトリオも呼んだ。
そして、
シオン(彼)の手元だけをうつし、
その圧倒的な手技の数々を見せつけたのだ!!
―会場が震えた。
こっ、
これは!!
医療界のスーパードクター!!
超ド級の大型新人になる!!
世界を変える逸材である!!!
次に!
彼に、遠隔で勉強を教えてやってほしいと頼み込んだ。
ものすごーーい変わり者で、
言葉を話せないと正直に伝えた。
彼らは皆、
医療従事者である。
そうかそうか、と、
人並みならぬ苦労を背負うであろう彼を思い、
皆、腕を組み、
心を奮い立たせ、
快く協力を約束してくれた。
彼らは、強気をくじき弱気に優しい、
スーパーヒーローなのである!!
最後に!!
経緯(あれやこれや)をして、
若干(かなり)の美味しい思いをさせて、
丸めこみ、
こそこそと呪いをかけ、
猛スピードで彼らの〈目を借りた〉のである!!
ここまで3日!!
◇
シオンは、
あまり文字の読めない子だが、
感覚さえ入れば、
直感で解けるのである。
◇
もちろん。
呪いが綻びたあとも、
本を読んだり、
こつこつ勉強を重ねているようだった。
―
というか。
彼らが気づいてないはずないのだ。
プロなのだから。
手元だけで、
シオンだとわかってただろう。
言えることと、
言えないこと。
新しくなったバルコニーの手すりにもたれて、
海を眺めた。
彼女の白衣が、びゅうっとなびいた。
彼らのことだ。
そんなことより、医学界の発展のためだ!
何かあったら、
自分が身を切ればいい!!
全員が全員、
そう腹をくくっていたんだろう。
だって実は、
みーんな、
お土産を渡したりお茶のふりして、
偶然を装って、
シオンを、
練習に立ち会わせて、
彼がぽろっと、
何か言わないかな??と、
ちらちら様子を伺うような、
そんな日々が続いてたのだった…。
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