第5話 どう戦おうと思ったら。勝手に納得されたよ。

 格闘戦ではどうにも分が悪い。

 今まではギリギリ対処できたがあの四本の腕と両足で、戦われると、ジリビンになる。


 僕は再びバックエスケープで距離をとった。

 ヨハンが瞬時に距離を詰めてこなかったのは、打ってこいということだろう。


 相手は格闘戦のエキスパート、いくら様々なスキルが使えると言え、接近戦では勝てそうにない。離れたところで、ファンタジー世界の格闘術だ、飛び道具まであって不思議じゃない。

 瞬時に自分の持っているスキルを思い出し。およそ最適だと思えたものを使ってみた。


「アースバインド!」


瞬時に、ヨハンの足元から土の鎖がヨハンに巻き付き縛り上げた。


「なるほど……」


ヨハンがこのまま黙ってやられてくれるとは思えない。


「気功・竜槍!」


僕は、丸腰なので、素手で使える、ゲームの格闘スキルを繰り出した。


「破っ!!」


ヨハンは、気合一閃。口からオーラを吐き出した。


ゲームの格闘スキル。バーサス。ファンタジー世界の格闘術の衝突。


拮抗し。押し合いへし合い。

最後に僕の気功が押し負けた。


「うわっ!」

僕はそのまま、ヨハンのオーラに押し飛ばされ、しばらく吹き飛ばされて、木にぶつかった。


「痛てててて」


ヨハンはと見ると、オーラと筋肉で僕のアースバインドを吹き飛ばしたところだった。


次の手は……


ヨハンが、おもむろに、片手を上げた。


「この辺にしておこう」


「え?」


「お前の力はわかった」

「見たところ、お前、武器を持ったほうが強いだろ?しかもタイマンよりパーティーバトル向けだ」

「なのに、丸腰のタイマンで俺とここまで張り合える」

「この戦いはフェアじゃない。これ以上やりあうことに意義を感じねぇ。吹っ掛けといて悪いがな」

「お前の強さはわかった。勇者として十分だ。俺は認める」

「次は戦場で肩を並べて戦いたいな」


「え。ああ。うん」


「ははは。あらためて。ハートピアにようこそ。猫の勇者、タケル。歓迎するぜ」

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