第2話 ゲームしよ。と思ったら王都行けだってさ。

「君に現状を説明しよう」

「君が現に体験した通り、この世界はいろいろな異世界とつながっている」

「我々この世界、我々はハートピアと呼んでいるんだが、の神々は、初めはいろいろな世界と交流し、平和に気ままにやっていたのだが、世界の中にはあまり善くない世界も存在した」

「例えば我々が『呪界』と呼んでいる世界。この世界には、悪霊や怨霊、悪鬼などがうごめいている」

「例えば我々が『魔界』と呼んでいる世界。この世界は、悪魔や魔族やいわゆるモンスターなどがいる」

「そういったところから、さまざまな善くないものがこの世界に入り込んできている」

「そこで、我々神々は『勇者機構』と『冒険者ギルド』を作った」

「これらの組織の目的は、異界の善くないものとの紛争などの問題解決、最終的には、善くない異界との『ゲート』をとじること」

「もちろんそのために『善くないもの』達との血なまぐさいことも頼まないといけないこともある」

「『ゲート』についての説明は省くよ。まぁ、この世界と異世界の接点だと考えてくれればいい」


「そして!」

「パンパカパーン!」

「おめでとう!!君は『勇者』に選ばれました!!」


「なぁにが、パンパカパーン!、じゃ!」

そこまで聞いて僕はツッコンだ。

「勝手にめんどくさいことに巻き込みやがって」

「しかもお前、あの時僕が死ぬように仕向けただろ?」


「神様相手にお前呼ばわりはよくないなぁ」

そう言って猫は小さく舌を出した。


「ごまかすな!」


「その件については本当申し訳ない。どうしても君が必要だったんだ」

「それに。いい話だと思うけど?」

「勇者になれば、当然、豪勢な屋敷に住んで、ご馳走は食べ放題。毎日女の子と遊んで暮らせるよ?」

「お金や生活に不自由することはないし、当然どの国でも国賓待遇。はてはお姫様とのロマンスだって待ってるかもしれないよ?」


「要するに、宮仕えして任務をこなさせるためにご機嫌を取って飼われるってことじゃないか!」

「あげくこの世界の『善くないもの』とやらを始末した後には、お払い箱、なんてことはあるまいな?」


「ないない!この世界は、常に新しい世界ともつながっていくからね。新しく、善くない世界とアクセスすることは全然あるから、勇者の仕事がなくなることはないよ」


「だいたい、こんな、キモデブヒキオタにお姫様がなびくわけないだろ!」


「これを見て」

そう言って、神と名乗った猫は僕に鏡を差し出した。

「ん?鏡なんて見たくも……。え?」

僕の姿は、どう見ても15、6才の利発で精悍な少年の姿。

逆毛だった茶色の髪で肌は健康的に日焼けした褐色。青く澄んだ瞳。

自分の体を見下ろしてみると、少々小柄だが、引き締まった筋肉の均整の取れた体躯をしている。

自分で言うのもなんだけど、かなりイケてる。

「え?」


「これでもダメ?」


「ダメ……じゃないかもしれないけど……」


「とにかく僕はそんなめんどくさいことにかかわりたくない。静かに自室でゲームしてたいの!」


「またまたぁ」


「またまたぁ、じゃない!」


「まぁ、とにかく、ずっとここにいてもしょうがないし、とりあえず王都で王に謁見しに行こう」


「いきなり王都って。え。ちょ。ぼくコミュ障なんですけど!」


「いいからいいから」

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