第15話 ストロベリーキャンドル

 さて六月となりました。梅雨の季節ですね。紫陽花色の天気が続きます。しとしとと濡れる雨の中、肌に纏わる妙な熱にて浮かされる。そんな季節となって参りました。

 ごきげんようわたくしです。

「お姉ちゃん。暑苦しい」

 ジメジメしております。わたくしが。

「お姉ちゃん暑苦しいってば」

 確かに暑苦しいですが妹様を抱きしめるのをやめない。そんなわたくしです。ジメジメしております。

「おねええええじゃあああああんん‼」

「いやですううううううう‼」

 朝から一悶着ありました。

「もう……汗ぐっしょり」

「あらあらあらあら。仕方ありませんね」

「くっ」

 ふふーん。貴方のせいでしょって顔をするのはおやめになって下さい。わたくしのせいです。認めます。


 珠の汗が胸元に滲んでおります。残念ながら朝シャワーを浴びている時間はございません。立ち上がり、枕元に用意してありました石鹸の香りたわめくウェットティッシュにて拭わせて頂きます。

 そろそろエアコンにて除湿等を利用しなければならないかもしれません。

「ほら、動かないで」

「もおおおおおおおお」

「はい。脇をお上げになって」

「くすぐったい」

「こーら、動かないの。んっいいわ」

「元はと言えばお姉ちゃんのせいなんだけど……」

 ふっふふーん。何のことやら。

「次はお母様の番ですよ」

 両手をお上げになるお母様。お可愛らしいです。誠心誠意、拭わせて頂きます。

「んっ大丈夫ですよ。お母様」

「ありがとう寧々」

「では……」

 両手を広げます。お母様は察して下さり、胸に埋もれて参りました。朝からお母様を抱きしめられる。胸の奥がじんわりと温かくなりますね。頭を唇でムグムグと撫でさせて頂きます。

「あぁ……寧々。私の寧々」

「私のお母様」

「はいはい二人共」

「あらら」

 妹様に引っぺがされてしまいました。今日の朝食はベーグルです。コーンスープにサラダもございます。お熱いですので舌を火傷しないように気を付けてお召しになって下さいませ。お母様にはわたくしが食べさせて差し上げます。


 食べ終え片づけを済ませましたら、もう学校へと参ります時間です。

「さて妹様。ヌリヌリ致しましょうね」

「んー」

 玄関にて唇にリップを塗布させて頂きます。

「んぱんぱ」

「今日はミント味? んぱんぱ」

「はい。よくできました」

 髪の乱れを正し襟首のヨレを正します。イイ感じです。ではお母様も――髪の乱れを正し、服装を正し、スカートのヨレを正します。

 もう一度、戸締り火の元、蛇口をしっかりと確認し、外へと参りましたら振り返り玄関を施錠致します。ドアノブを何度か回し――開きませんね。朝の空気です。今日も良い朝ですね。ふふっ。お二人と腕を組み通路の邪魔にならぬよう参ります。


 路面電車の中では幼馴染の葵さん、茜さん、千寿さんと出会いました。さすがAクラスの方々にございます。身だしなみがしっかりと整っておられます。髪もしっかりと纏まっておりますね。髪をしっかりと纏めあげるのは、これを毎日行うのは大変な労力にございます。それを毎日きっちりとこなすその胆力、規則正しい証拠です。

「最近は朝来ないんだね」

 耳元で葵さんがそうおっしゃられました。

「少々体を壊してしまいまして」

「ほんとに? 大丈夫なの?」

「ただの風邪にございます」

「そう? 言ってくれたらいいのに……お見舞いに行ったのにな」

「なに? 二人で秘密の話?」

「いいえ。茜さん。最近体調を崩しておりまして、それを気にしてくださったのですよ」

「葵が? 怪しい……」

 おっと――二人の危機感知能力が発動していらっしゃるようですね。しかしながら安心してください。わたくし達は男同士。男同士にございます。乙女のエマージェンシーを発動する必要はございません。

「白状しなさーい‼」

「そんなんじゃないよ‼」

「朝から元気よね」

「そういえば夏飴さん。中間はどうでしたか?」

「今日結果出るから」

「そうですか。お母様。そろそろ降りる停留所にございます」

「えー……お母さん今日は寧々から離れたくない」

「お母様。今日のお昼はホットサンドです。キュウイにバナナ、イチゴと果物をふんだんに使用しております。チョコレートソースもたっぷりですよ」

「そう言う話しじゃないの。……寧々がいないとやる気が起きないの」

「今日も無事終えましたなら、お母様の好きな事を一つだけして差し上げますよ」

「……ほんと? ほんとに? 絶対よ? 絶対約束よ」

「はい」

 手を振り母をお見送り致します。


 お母様の婚姻関係の話になりますが、結論から申し上げますとやはり母は離婚しておりませんでした。母が結婚自体を忘れてしまっているのには驚きましたが、寧々の事がございますから、仕様の無い話なのかもしれません。それほど母の心の傷は深かったのだと感じます。


 精神科医の話では十五歳前後からの記憶がほとんど察せられないのだそうです。認識はあるけれど記憶が伴わないのだそうで、語ってしまえば、髪を毎日纏め上げてはいるけれど自分の髪が長い事を理解していない。私達の事を娘だとは扱っておりますが、記憶の中では娘はいらっしゃらない。認識と記憶がちぐはぐなのです。

 ホットサンドを食す動作はするけれどホットサンドが何かを認識していない。

「おねーちゃん」

「はい。何でしょう?」

「わかってる思うけど……あんまりお母さんを甘やかさないでよ」

「はい」

「あと、エッチな事は禁止だからね」


 エッチな事とは何でございましょうか。

 お可愛らしい妹様です。頬へと口付けさせて頂きます。

「お姉ちゃん‼」

「愛しい愛しい妹様」

「外ではやめてっ」

「ふふふっ。たまには手を繋いで参りましょうか?」

「怒るよ?」

 さすがに怒られてしまいました。


 今日は中間試験の結果を受け取る日でございます。中、高におきましてはテスト時期が同じ設定のようにございますね。妹様に余計な質問をしてしまいました。

 結果から申し上げまして、わたくしの成績は現国99点、数学99点、英語99点、実技99点でございました。クァドブルナインティナイン等と縁起がよろしゅうございます。

 姫結良さんは実技は100点だったようですが、現国の点数だけ31点だったそうです。

 古村崎さんは全てにおいて満天だったようですね。

「なんでお前らFクラスなの?」

「んなもん。お前らの采配だろうがよ」

「お前、先生に向かってお前とか言わない」

「お前が先にお前って言ったんだろうが」

「先生は先生だから良いんだよ」

「そんなのズルだね‼」

「大人の特権だ。姫結良お前」

「佐和田三輪お前‼」

「せめて先生は付けろ‼ 佐奈田‼ 佐奈田だ‼」

 おっとわたくしも佐和田とお呼びになっておりましたが、佐奈田先生でした。佐奈田三輪雛咲先生です。

「二人共やめなよ見苦しい」

「古村崎お前」

「姫結良お前‼」

 お二人共楽しそうですね。

 クラスの皆さんそれなりにテストの成績はよろしかったようでございます。


 午後となりウィヴィーさんがクラスへと参りましたが、悲壮な顔をしておられました。現国52点、数学68点、英語89点、実技37点と芳しくなかったようですね。特に実技。やんごとなきお力が働いておりますので仕方がございません。

 鎖が如きクビキにございます。そう簡単に打ち破れるものではございません。

 幾百幾千のプレイヤーが彼女に思いを馳せ、活躍できるようにと試行錯誤を繰り返しついぞ誰にも成しえはしませんでした。けれど誰しも思いは同じにございます。


 Fクラスの面々は古村崎さんと姫結良さんを中心に纏まり始めております。

 今日も皆さんで狩りに赴くようですね。わかります。ウィヴィーさんにもぜひご一緒して頂きたい。

 そう考えつつ、わたくしはカードで【迷宮イザナギ】をサーチしております。

 今日――なぜかは不明にございますが尾が後に続いておりません。

 これはお宝チャンスかもしれません。

 機関までは皆さんとご一緒させて頂きます。機関到着後、モナドを盗賊へと変更しスキルをポチポチと変更致します。あらあらこちらを窺っておられますミゾレ様にそれとなく手を振ります。気付いておりますよ。それでは徐々に皆様からフェードアウトさせて頂きます。

 降りてから向かう通路が異なります。

 さて列車に乗りました。誰もおりません。列車の中で息を整えます。

 扉が開きましたね――【気配断ち】を敢行し全力で行かせて頂きます。

 お騒がせして【イザナギ様】には申し訳なく存じます。改札を抜け通路を進み、石段を登り切り、本殿へと続く長い階段を三段飛ばしで参ります。


 夕日が眩しいですね――木造りの階段を登り切り本殿の背後へと回ります。【気配断ち】を掛け直しバレルロールさながら前宙二回捻り二回転半でゆかせて頂きます。

 あの頃とはベースレベルが異なりますし、魅力値によって付加された【リリスの瞳】による強い補正がございます。

 さっと参り、さっと帰りましょう。

 暗闇の中へ――心を凍らせるような冷たい波動がやって参ります。恐怖に体が支配されますね。止まったら死んでしまいそうです。駆けるしかございません。

 スキップするように飛びます。

 宝箱へ到着――心の中で鼻歌混じりなのは恐怖を誤魔化すためです。今こうしている間にも自らの首が落ちるかもしれません。

 おっと開きました。

 金属の剣、マガタマ、何か塊。マガタマ――へと手を伸ばしかけ、塊を掴み宝箱を閉めます。金属の剣は論外。マガタマは付与が強い可能性がございます。無理。

 塊、金色、なかなかの重さ。これは金の可能性がございます。

 音を立てずにカチャカチャと鍵を閉じましたら引き返します。


 耳がキーンと致します。一本道と現れる異形の者ども。触れぬように細心の注意を払います。飛び伏せ、滑り抜け出します。【Good luck】にございます。

 シュタリ――【迷宮イザナギ】へと帰って参りました。

 本殿へとお礼をしてゆっくりと参ります。

 カードでサーチ致しますが、誰もやって参りませんね。用心に越したことはございませんが、用心のし過ぎでございましょうか。


 列車に乗り機関へと戻ります。カードに着信。姫結良さんからです。お怒りのメールが来ております。

 機関へと戻りました。改札でカードを翳し――おっと【リリスの瞳】が妙な動作を促します。尾が付いておりますね。カードを改札へと翳せません。

 やり方をお変えになりましたか。ここでわたくしがアイテム換金に参りましたら、何処で得たのかを察せられてしまいます。それは別に構わないですし、いくらでも言い訳はできますでしょうけれど面倒な事になりかねません。


 では改札を抜けず【迷宮バアル】へ参りましょう。

 金貨掘りに参りましょうか。そうはならんやろ。そうはならんやろを地でゆきたいわたくしです。

「いた‼」

 袖を掴まれてそちらへと視線を向けますとウィヴィーさんがおりました。

「なにしてるの⁉ みんな探してたよ‼ 何時も何処か行くのなんなの⁉」

 このように自ら動かなくとも向こうから求めて下さる。親しいとは何とも良きものでございますね。ウィヴィーさんの頬と髪を撫でてしまいます。

「あのさ‼ 一応言っとくけど‼ 寧々がいなかったらボクってただの居候なんだからね‼ 友達の友達は友達じゃないんだから‼ Eクラスなんだからね‼ 肩身狭いんだから‼」

「そうでございましたか。そうですね。少し考えれば理解できることでございました。ごめんなさい。反省しております」

 おりません。


 カードをご覧になります。現在の時刻は十四時二十四分でございますか。

 【裏イザナミ】におりました時間を【気配断ち】の五分と考え、【迷宮イザナミ】での滞在時間は十五分以内であったと……十五分はさすがに短すぎでしょうか。ニ十分以内であったと推測致します。


 ウィヴィーさんのモナドは【シスター(聖女見習い)】にございます。性能は誰の聖女かに寄り異なりますがほぼ同じ神聖術を保有しております。

 使えるスキルは【Light My Fire】。通称LMF(エルエムエフ)。

 私のハートに火を点けて。このスキルが起点となります。スキルはこれだけです。聖女に小細工は必要ないようですね。

 大切な人が亡くなった時、このスキルに火が灯るわけです。

 聖女は意志の強さが物を言う等と概念が存在致します。これは精神力等のステータスではございません。このスキルは他にも微弱な癒しのオーラを発し、他者を癒します。

 初期から使える神聖術は【Heat of my Heart(私の心の熱)】、【Heart of my Heart(私の心の中心)】、【Dance with me(私と踊って)】の三つとなります。


 神聖術【Heat of my Heart(私の心の熱)】。

 体より命の熱を発して他者の外傷内傷、心の傷を僅かに癒します。

 神聖術【Heart of my Heart(私の心の中心)】。

 私は私である。意志の強さを発揮。精神異常を完全にブロック致します。

 神聖術【Dance with me(私と踊って)】。

 対象に自らの熱を与える。あらゆる傷を僅かに癒し、精神攻撃を完全にブロック致します。

 この三つの神聖術を起点に自身を聖女足りえる女神様よりさらに力が与えられます。

 力を与える女神はアテナ、アルテミス、バステトやアウロラ等が有名でしょうか。どの聖女をどの女神が気に入るのかは、本人の資質次第なのだそうです。


 改めてウィヴィーさんの姿を眺めております。制服がヨレて所々ほつれがございます。頑張っておられますね。傷んだ姿が貴方を一際輝かせております。

「ウィヴィーさん。今日はこれから少し付き合ってください」

「いいけど? 何処行くの?」

「良い所です」

「ほんとかなぁ?」

 あれれ。わたくしってそんなに信用ないですか。おかしいぞ。


 服屋ウィークメンにやって参りました。ここでタクティカル装備一式を買います。

 ウィヴィーさんはわたくしと同じく低身長ですので、サイズは同じぐらいでも構わないでしょう。何度か試着を繰り返し、適切なサイズのものをチョイス致します。

「サイズ見てくれるのは嬉しいけど、ボクそんなにお金ないよ?」

「これぐらいはわたくしが負担致しますので、お金の心配はなさらないでください」

「……いいの?」

「頑張っておりますからね。これぐらいはかまいません。ウィヴィーさん……下着はつけましょう?」

「必要ないんだもん」

「そう言う問題ではございません」

 買ったブラはどうしたのですか。買ったブラは。


 靴のサイズを調整致します。

「はい。ここへ足を乗せてください」

 屈んだわたくしのモモに足を乗せて頂きます。おずおずと靴を脱ぎ、足を乗せて参ります。ウィヴィーさんは靴下を履かない派なのでしょうか。素足です。

 小さくて可愛らしい足ですね。体が小さいのは適切な栄養が摂取できていないからではないかと不安になって参りました。

「臭いよ……」

「わたくしも臭いので大丈夫ですよ。同じニオイです」

「それはそれで嫌かも」

 ひどい。

 足の指、爪が少し欠けております。モモに乗せられた足裏のざらつき、足を酷使しております証拠です。靴下も買いましょう。


 全てを揃えましたらお会計を済ませます。ついでに糸と針をお借りして少々制服のほつれや傷を直させて頂きました。こうしておりますと父の衣類を直していたのを思い出しますね。新しい物を買えば良いのですが、父はその辺がズボラでしたので。

「寧々?」

「なんでしょう」

「どうしてここまでしてくれるの?」

「どうしてとは?」

「レベル上げてくれたり、食事作ってくれたり……服買ってくれたり、お母さんなの?」

「特に理由はございません」

「ボク、役立たずだし、能力も低いし……ドジだから。仲間外れだし。ボクに良くしても何も返せないよ」

「能力は大切ですからね。ふふふっ」

「馬鹿にしてる? 哀れみ? 同情?」

「能力だけが全てではございませんと、わたくしは思いますよ? どんなに優秀な能力を所持しておりましても、それを褒めて下さる方がいらっしゃらないのであれば、それはとても悲しいです。それに能力が低いからと言って馬鹿にして良いわけでも文句を言って良いわけでもありません。んっ……」

 歯で糸を切らせて頂きます。


 個人的な考えにございますが、どれだけ優秀な能力を所持しておりましても、愛して頂ける方がいらっしゃらないのであればそれは悲しいだけです。それは恋人や夫で無くとも構いません。家族や友人でも良いのです。

「はい。直りましたよ」

 温かみを感じ横へ視線をずらします。ウィヴィーさんが寄り添われておりました。ウィヴィーさんは温かいですね。他人は温かいです。この温もりがあるだけで能力等どうでも良いと感じてしまう私は、生物としては失格なのかもしれません。

 生きており熱を発している。これだけで十分ではありませんか。


 私も学生時代は孤独でした。それを無難に申し上げれば悪くはありませんでした。思春期とは周りの影響を少なからず受けるものです。私は幸いにして悪い影響も良い影響もほどほどで過ごせました。

 社会人になれば上司に詰められる事も多々あります。

 理由を説明しているのに、なぜ、なぜ、と何度も連呼され、詰められる事が私にもございました。大人になれば甘えは親しい者以外には許されません。

 学生時代は努力が大事と育ちますが、社会人となれば結果が全てです。


 それなのに今現在甘える事のできないウィヴィーさんはどうすれば良いのでしょうか。私はそう考えてしまうのでございます。許されるのは今だけです。その今も許されないのであれば、ウィヴィーさんがあまりにも不便です。


 私は一人で食いしばって生きて来た事を誇りに思っておりますが、楽しかったわけではございません。どれだけ努力を重ねようと本当に欲しかったものは手には入らなかったのでございます。なんだかんだと申しつつ、ウィヴィーさんに自らを重ねているのかもしれませんね。救われたいのは私なのかもしれません。与えるのを許されるのすら難しい世の中にございます。

「……ありがとう」

「構いませんよ」

 服屋を後にしましたらコンビニへと寄らせて頂きます。温かいチョコマントゥウをお一つ買わせて頂き二人で分けて食べました。過去には得られなかった思い出が一つ増えましたね。何よりも良い。何よりも良いものにございます。

 亡くなってしまえば、こんな事すら許されませんから。


 そろそろお時間ですので、ウィヴィーさんにさよならを致します。

「……まだ雨が止んでない」

 あらー……。ウィヴィーさんてばなんていじらしいのでしょうか。素敵です。

「ごめんなさい。これから母を迎えに行かなければなりません。なのでまた明日」

「明日も一緒?」

「はい。明日も学校で会いましょう」

「……わかった。服ありがとう」

「はい。お粗末様でした。靴下はちゃんと履いて下さいね」

 去り際に、ウィヴィーさんが頬へ口付けして下さいました。あらー……。スケベ判定はなかったようですね。謎の力による阻害はございませんでした。

 背後からぎゅっと抱きしめられましたので、失礼ながら振り返りわたくしも抱きしめさせて頂きました。

 さて母を迎えにゆくわたくしです。

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