第3話 歪な関係

 高校一年生の頃、初めてエッチした。

 初体験の相手は佐藤和樹くん。

 お姉ちゃんの彼氏だ。

 いや、もうお姉ちゃんの彼氏じゃない。

 彼とお姉ちゃんは最近別れたんだって。どうやらお姉ちゃんが浮気してたみたい。


 お姉ちゃん、なんで浮気したんだろう……?

 意味わかんない。

 和樹くん、本当にいい人なのにっ。


「んっんっ……か、和樹くんっ」

「涼花ちゃんっ……」


 和樹くんと初めてエッチしたときは本当に怖かったよ。

 だってアタシ初めてだったんだもん。

 

 最初は凄く痛かったけど徐々に痛みが和らぎ、快感が押し寄せてきた。

 和樹くんとするの凄く気持ちいいっ。


 凄いっ、これがエッチなんだ……。

 一人でする時とは全然違う。


「涼花ちゃんっ、涼花ちゃんっ」


 和樹くんが必死にアタシを求めてくれる。

 手を繋いでくれたし、ハグしてくれたし、キスもしてくれた。

 キス以上のこともできちゃった。

 和樹くんとしたかったことたくさんできて、この日は本当に幸せだった。


 行為が終わったあと、アタシは和樹くんを抱きしめた。

 彼もアタシを抱き返してくれる。


「涼花ちゃん……初めてだったんだな」

「う、うん……」

「ごめんな、初めてが俺で」

「ううん、別にいいよ。アタシ、和樹くんのこと好きだし」

「……」


 そう、アタシはさっきまで処女だった。

 大切な初めてを和樹くんに捧げたのだ。

 後悔? そんなのしてないよ。だって大好きな和樹くんとエッチできたんだもん。

 本当に嬉しいっ。


「和樹くんはまだお姉ちゃんのこと好きなんだよね?」

「たぶん好きだと思う……」

「そっか……」

 

 和樹くん、まだお姉ちゃんのこと好きなんだ……。

 早くお姉ちゃんのこと忘れてアタシのこと好きになってほしいな。

 そんなこと彼には言えないけど……。


 でもなんで和樹くんはまだお姉ちゃんのこと好きなんだろう?

 あの人は浮気してたんだよ? 

 和樹くんを裏切って他の男とエッチしてたんだよ?

 たぶん、今もお姉ちゃんは和樹くん以外の男と肌を重ねてるんだよ?

 どうしてそんな奴のことが好きなの……。

 アタシは和樹くんのことこんなに好きなのにっ……。

 世界で一番あなたのこと好きなのにっ……。

 

「ねぇ和樹くん……」

「ん? どうした?」

「そのさ……またムラムラしたらアタシのこと呼んでね。いつでもヤらせてあげるから」

「……いいのか?」

「うん、いいよ。アタシ和樹くんとエッチすんの好きだし。和樹くんはアタシとすんの嫌い?」

「いや、嫌いじゃないよ……」

「ふふっ。ならいつでもアタシのこと呼んでね。たくさんヤらせてあげるから」

「お、おう……」










 ◇◇◇




 次の日


 今日もアタシは部屋に引き籠もってギターの練習をしていた。

 

 ギターソロの練習や好きなメタルバンドの曲を聴いてたら、急に和樹くんが電話してきた。

 どうやらもう一回アタシとエッチしたいんだって。

 ふふ、またアタシとしたいんだ。

 嬉しいなぁ。アタシも和樹くんともう一回したかったし。

 急いで彼の家に行ったら、早速求められちゃった。

 

「んっんっ……ちゅっ」


 和樹くんとキスするの気持ちいいっ。

 気持ち良すぎて脳が蕩けちゃうよ。

 無我夢中にキスしていると、彼がアタシの胸を触ってきた。

 ぷくく、相変わらず和樹くんはアタシの胸好きだな~。

 昨日もずっとアタシの胸触ってきたし。


「和樹くんっ……」

「涼花ちゃんっ……」


 我慢できなくなったアタシたちは一つに溶ける。

 また和樹くんとシちゃった。

 しかも、今回はゴムがなかったので生でしてしまった。


 生でヤらせてあげたら和樹くん凄く喜んでくれた。


 ふふ、凄く喜んでる。

 そんなにアタシと生でしたかったんだ。

 ラストスパート、和樹くんはアタシを激しく求めて、最後はアタシの中で果ててしまった。

 

 中に出されちゃった……。

 和樹くんの赤ちゃんできちゃうのかな?

 もし赤ちゃんできたら和樹くんは一緒に育ててくれるのかな?

 それとも、アタシのこと見捨てるのかな……?

 できれば一緒に育ててほしいけど……。


「めっちゃ気持ちよかったよ、涼花ちゃん」

「アタシも気持ちよかったよ」

「涼花ちゃん、イきまくってたもんな」

「も、もうっ、それ言わないでよっ、恥ずかしいじゃんっ」

「ははっ、ごめんごめん」


 行為中、アタシは何回も達してしまった。

 だって和樹くんとするの凄く気持ちいいんだもん。

 仕方ないよあれは……。


「涼花ちゃん、明日も俺の家来てよ。たくさんエッチしよ」

「えぇぇ……またシたいの?」

「ダメか?」

「ううん、ダメじゃないよ。アタシも和樹くんとするの好きだし」

「じゃあ決まりだな。明日のためにゴム用意しておいた方がいいよね?」

「え? ゴム? アタシは別に生でもいいけど?」

「ま、まじで?」

「うん、明日も生でしていいよ。どうする?」

「じゃあその……生でヤらせてください」

「ふふ、いいよ」


 そして、次の日もアタシは和樹くんと肌を重ね合った。

 しかも、今回は3回連続で求められた。

 

 あの和樹くんがアタシのこと必死に求めてる。

 なにこれ、凄く嬉しいんだけど。


 1回目、2回目、3回目、全て中に出されてしまった。

 こりゃ赤ちゃんできたかも……。

 なんとなくそんな気がした。


「涼花ちゃんっ、涼花ちゃんっ!!」

「和樹くんっ……」


 次の日もアタシたちは生で体を求めあった。

 こういうエッチなことほぼ毎日してるのに、アタシたちはまだ恋人じゃない。

 そう、恋人じゃないのにほぼ毎日こういうことしてるの。

 今のアタシたちってどういう関係なんだろう?

 友達? いや、セフレかな?


 セフレか……。

 それはなんか嫌だな。

 早くお姉ちゃんのこと忘れてアタシのこと好きになってくれないかな……。

 アタシのことだけ見てくれないかな。

 アタシはこんなにもあなたのことが好きなのに……。


 好きっ。

 大好きっ。

 アタシは佐藤和樹くんのことが世界で一番好きだ。

 愛してる。


 好きすぎて彼の望むことすべてしてあげた。

 ちょっとハードなプレイにも付き合ってあげたし、中出しも許してあげた。

 和樹くんが『お尻でしたい』と言われたときは本当に恥ずかしかったけど、許してあげた。

 お尻でしたときは本当に恥ずかしかったな……。

 まぁ楽しかったけどね。

 

 あっ、言っとくけどエッチだけじゃないからね? 

 たまにデートもするよ?

 昨日も和樹くんと一緒にデートしたし。


 昨日はね、一緒にライブ見に行ったの。

 あれは本当に楽しかったな。和樹くんも凄く楽しそうだった。


 彼ね、なんでも奢ってくれるの。

 アタシが「別に奢らなくていいよ?」と言っても和樹くんは「カッコつけさせてよ」と言ってデート代全て払ってくれた。


 アタシが誕生日のときには7弦ギターまでプレゼントしてくれた。

 和樹くん最近バイトを始めたらしく、そのお金で買ってくれたんだ。

 彼が買ってくれた7弦ギター結構高いんだよ? 

 本当にこんなのもらっていいのかな……?

 凄く申し訳ないんだけどっ。

 

 最近は彼が買ってくれたギターで練習してる。

 アタシの宝物だ。


 けど謎だな……。 

 なんでセフレのアタシにそこまでしてくれるんだろう……。

 もしかして和樹くんもアタシのこと好きなのかな……?

 もしそうならアタシのこと彼女にしてよっ。

 お姉ちゃんのこと忘れてアタシのことだけ考えてよっ。

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