第4話 彼女の妹①

 優菜に浮気されたことがショックすぎて、EDになってしまった。

 ED。

 勃起不全のことだ。


 そう、あのクソビッチのせいで勃起できなくなったんだ。

 お気に入りのAV見ても興奮しないし、エロ漫画を読んでも体は反応してくれない。

 色んなこと試してみたけど結果はダメだった。

 

 俺、EDになったのか? 

 おいおい、嘘だろ……? 

 俺、まだ17歳だぞ?


 17歳という若さで勃起不全になった事実にショックを受ける。

 まじでショックだ……。

 これどうやったら治るんだろう?


 病院とか行ったほうがいいのかな?

 いや、けど勃起不全を治すために病院行くのはなんか恥ずかしいな……。


 EDでも普通に生活できるし、治さなくていいか。

 気にしないでおこう。

 今はエッチする相手もいないし。

 

 あと、最近全然寝れてない。

 優菜に浮気される前は毎日7時間以上睡眠を取ってたけど、今は平均2時間しか寝れてない。

 目を瞑ると浮気している優菜を妄想してしまい、目が覚めるんだ。

 こんな妄想見たくないのに、脳が勝手に浮気してる優菜を夢に映し出してくる。


 アイツに浮気される前は寝るのが大好きだったのに、今は寝るのが怖くて仕方ない。

 くそっ、あの女のせいで今日も寝れないっ……。

 なんで被害者の俺がこんな目にっ。

 くそっ、くそっ、くそっ。



 ある日、やっと俺のEDが治った。

 同じ学校の一年生が治してくれたんだ。

 その子の名前は霧島涼花。

 優菜の妹だ。 


 優菜にフラれてショックを受けていた俺を、優菜の妹――涼花ちゃんはずっと心配してくれていた。

 そう、この子だけ心配してくれたんだ。


 それが嬉しくて、気づいたら全て話してた。

 優菜が浮気していたこと。

 振られてしまったこと。

 あの浮気がトラウマで全然寝れないこと。

 幻覚や幻聴などの症状に苦しんでいること。


 今俺が悩んでいる全てを涼花ちゃんに打ち明けた。

 すると、涼花ちゃんがギュッと優しく抱きしめてきた。


「……そっか、辛かったね、和樹くんっ」


 涼花ちゃんはそう言って俺の頭を撫でてくれる。

 このときの俺は自殺を考えてしまうほど追い詰められていたから、可愛い女の子にちょっと優しくされただけで心が癒やされた。

 また、涼花ちゃんにハグされて体の一部が反応した。

 そう、EDなのに体の一部が反応したんだ。


 え? 治った?

 なんで? なんで急に治ったんだ? 

 涼花ちゃんが可愛いから? 

 まぁ確かに、涼花ちゃんは可愛いしスタイルもいいけど。

 それだけで治るものなのか?

 

「あ、あの……和樹くん」

「なんだ?」

「そ、そのね……アタシの体に当たってるんだけど」

「え? なんのことだ?」

「だからその……和樹くんの硬いのが当たってるんだけどっ……」

「え? あっ、ごめんっ」

「ううん、謝らなくていいよ。けどその……なんで硬くなってるの?」

「そんなの俺もわからないよ……まぁたぶん涼花ちゃんが可愛いからだと思うけど」

「っ……」


 俺が「可愛い」と口にした途端、涼花ちゃんの顔が真っ赤になった。

 

「アタシが可愛いからそんなことになったの……?」

「まぁな……」

「ふ、ふーん、そっか……」


 気のせいかもしれないけど、涼花ちゃんは嬉しそうだった。

 なんで嬉しそうなんだろう?

 女の子の気持ちはよくわからんな。


「ねぇ……アタシとシたい?」

「それって……エッチのことか?」

「う、うん……和樹くんがシたいならヤらせてあげてもいいよ……?」

「……」


 この子は何言ってんだ? 

 頭大丈夫かな?


 もしかして優菜と同じく、妹の涼花ちゃんもエッチなことが大好きなのかな?

 性欲を満たすためなら誰とでもそういうことできちゃうのかな……?

 俺にはそういう感覚が理解できない。

 確かに、好きじゃない子でも可愛くて体がエロかったから興奮するし、セックスもできる。

 けど好きじゃない子とセックスしたいとは思わない。

 そういうのは好きな人としたいんだ。

 それって変なのかな? 俺が間違えてるのかな……?


「アタシとするのは嫌……?」

「べ、別に嫌ではないけど……」

「ならいいじゃん。エッチなことたくさんしようよ。ねぇいいでしょ?」

「いや、けど俺達は……っ」


 突如、喋れなくなった。

 涼花ちゃんがキスしてきたのだ。


 急に唇を塞がれて驚きを隠せなかった。

 え? 俺、キスしてる?

 誰と?

 優菜の妹と……。

 なんだこれ?

 本当に現実か?

 

 しばらくして俺達は唇を離す。

 涼花ちゃんの顔は真っ赤になっていた。


「えへへ、キスしちゃったね……」

「……」

「もしかしてアタシとすんの嫌だった?」

「別に嫌ではなかったよ……」

「ふふ、ならもう一回しよう」

「け、けど……っ!?」


 再び涼花ゃんが唇を奪ってきた。

 柔らかい唇の感触を感じる。

 涼花ちゃんの甘い吐息が肌に当たった。


「んっんっ……ちゅっ、ちゅっ」


 最初は唇を合わせるだけだった。

 けど今は舌を絡め合う大人のキスを楽しんでいた。


 なんで優菜の妹とキスしてるんだ?

 こんなのダメだろ……。

 俺はこの子のこと好きじゃないのに。


 ダメだと分かってるのに、涼花ちゃんとのキスを楽しんでしまう。

 この子とキスするのが気持ちよくて拒めない。


「んっんっ……ちゅっちゅっ」


 涼花ちゃんとキスすんの気持ちいいな。

 気持ち良すぎて頭がクラクラしてきた。

 理性が希薄して、本能が「この子とヤれ!」と俺に命令してくる。


 涼花ちゃん、ダメだよ。

 こんなことされたら俺我慢できないよっ。

 我慢できなくなった俺は、涼花ちゃんの胸に手を伸ばす。

 大きな胸が俺の手を受け止めた。


 胸を触ったのに、涼花ちゃんは嫌な顔ひとつしなかった。

 どちらかというと嬉しそうだった。


「アタシの胸どう? 興奮する?」

「ああ、すっごく興奮するよ……。俺、大きい胸好きだし」

「ふふ、なら良かった。んっんっ……」

「ねぇこれ何カップなの?」

「Hカップだよ……」

「え、Hカップ……? まじで?」

「うん、まじだよ……」

「優菜の胸よりでかいじゃん……」

「あはは、そうだね。お姉ちゃんよりデカいよ……。和樹くんはアタシとお姉ちゃん、どっちの胸のほうが好き?」

「それは……」

「やっぱりお姉ちゃん?」

「そ、そんなことない。涼花ちゃんの胸の方が魅力的だよ」

「ほ、ほんと? 嘘言ってない?」

「嘘じゃないよ。君の胸の方が魅力的だ」

「っ……う、うん、ありがとっ」


 胸を褒められて恥ずかしそうに俯く涼花ちゃん。

 顔だけじゃなく耳も真っ赤になっていた。


 この子、本当に可愛いな……。

 涼花ちゃんが可愛すぎてベッドに押し倒してしまった。

 俺に押し倒されて、涼花ちゃんは驚いていた。

 

「か、和樹くん……もしかしてアタシとシたいの?」

「ああっ……」


 したいっ。

 早くこの子と一つになりたいっ。

 やっとEDが治ったんだ。

 その喜びを涼花ちゃんに押し付けたい。


「……俺、もう我慢できないよっ」

「うん、いいよ……アタシの体無茶苦茶にして」

「……」


 そんなこと言われたらもう我慢できないよ。

 望み通り無茶苦茶にしてやる。


 おい、待てよ。

 本当に涼花ちゃんとしていいのか?

 この子と俺は付き合ってないんだぞ?

 それに、俺はこの子のこと好きじゃない。

 好きじゃない子とするのはダメだろ。

 俺の性格から考えて、あとで絶対後悔するぞ?

 

 けどもうダメだっ。

 この子見てたら我慢できない。

 今すぐ涼花ちゃんがほしいんだ。それに、彼女も俺とシたそうにしてるし。

 だから、


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る