第10話 優越感

 昨日、俺に恋人ができた。

 恋人の名前は霧島優菜。俺を虐めていた女だ。

 まさか優菜と付き合うことになるとは……。

 本当は恋人にするつもりなんかなかったのに。

 どうしてこうなったんだろう?

 まぁいっか。今の優菜は素直で可愛いし。

 

 突如、チャイム音が鳴る。授業が終わったのだ。

 やっと放課後か。今日も長かったな。

 放課後になり、生徒たちは教室を出て帰路につく。部活に向かう生徒もいた。

 教室に俺と優菜だけ残された。俺達以外は誰もいない。二人きりだった。


「二人きりだね……」

「ああ……」


 二人きりだ。邪魔する者はいない。


「優菜、キスしようぜ」

「え? けどここ教室よ?」

「いいじゃんキスぐらい。それに今は俺達しかいないぞ?」

「そ、そうだけどさ……」

「ちっ、なんだよ。優菜は俺とキスしたくないのか?」

「そんなことないっ! アタシだって晴人とキスしたいよ……」

「ならいいじゃん、しようぜ」

「う、うん……わかったよ」


 優菜はまぶたを閉じて、俺に唇を向けてくる。俺は彼女の肩を掴み、そっと唇を奪った。

 教室の中でキスしてしまった。なんだこれ。凄く興奮する。

 なんでキスしているだけなのに、こんなにドキドキするんだろう?

 凄く不思議だ。


 しばらくして唇を離す。

 

「やだっ……もっとチューしよっ」

「ああ……俺もしたいっ」

 

 我慢できなくなった俺達は再び唇を合わせる。

 舌を絡め合い、お互い唾液を交換する。

 やばいっ、頭がクラクラしてきた。

 どんどん理性の皮が剥がれていく。


 欲望を抑えられなくなった俺はスカートの中に手を突っ込み、優菜のお尻を触る。

 

「も、もうちょっと……どこ触ってるの?」

「なんだよ、嫌なのか?」

「ううん、嫌じゃないよ……けどここ教室だよ? 流石にまずいよ」

「大丈夫、大丈夫。どうせ誰も来ないよ」

「そ、そうかな?」

「ああ、そうだよ。だから続きしようぜ?」

「う、うん……」


 再度俺達はキスする。キスしながら優菜のお尻を揉みしだく。

 

「優菜のお尻まじでデカイよな」

「っ……も、もうそれ言わないでよっ。気にしてるんだからっ」

「なに怒ってんだよ。言っておくけど褒めてるんだからな?」

「え? そうなの?」

「ああ、そうだよ。優菜のデカ尻は本当に魅力的だ。めっちゃムラムラする」

「ふ、ふーん、そうなんだ……って、ちょっと触り方エッチすぎるわよ。んっんっ……あっ♡」

「おい、変な声出すなよ」

「だ、だってアンタの触り方気持ちいいだもん。声出ちゃうっ……んっんっ」


 おい、そんな声出されたら我慢できねぇよ。

 あぁぁ……もうダメだ。ここでコイツを襲ってやるっ。


 我慢できなくなった俺は優菜の服を脱がせようとする。

 その前に教室の引き戸が開かれた。

 誰かが教室に入ってきたのだ。

 ん? 誰だ……?


 慌てて教室の扉に目を向けると、一人の男子生徒が視界に入った。

 知っている顔だ。

 名前も知ってる。

 佐藤和樹。優菜の彼氏だ。いや、違う。今の彼氏は俺だ。アイツは過去の男だ。


 佐藤は俺と優菜を見て、混乱していた。


「お、おいっ、どういうことだよ! 優菜!!」

「……」

「なんでそんな奴とキスしてたんだよ!! なんで拒絶しないんだよっ!!」


 ふむふむ。どうやら俺達がイチャイチャしてたところを覗き見してたらしい。


「おい! 答えろよっ!! 優菜!! なんでそんな奴とイチャイチャしてたんだよ!! お前の彼氏は俺だろ!! お前は俺のものだろ!?」


 佐藤の言葉に優菜は返答した。


「違うわ……」

「え……? ち、違う? おいおい何言ってんだよ? お前は俺のものだろ?」

「違うって言ってるでしょ。もうアンタのモノじゃないわ」

「は……? 優菜さっきから何言ってんだよ? 俺達は恋人だろ?」

「違うわ……アンタのことなんかもう好きじゃないっ」

「……」


 優菜の冷たい言葉に佐藤は絶句する。

 顔は真っ青だった。

 めっちゃ動揺してるじゃん。そりゃそうか。大好きな人に『好きじゃない』と言われたらショックだよな。まぁ気持ちは分かるよ。けどわりぃな。優菜は俺のもんだ。お前には渡さねぇよ、佐藤。


「アタシ、和樹と別れて晴人と付き合うことにしたの。悪いけどアタシのことは忘れて」

「ソイツと付き合うだと……? あはは……冗談だよな?」

「冗談じゃないわ。もうアンタじゃダメなの。晴人じゃないと満足できないの……」

「満足できない……? ま、まさかお前らもうエッチしたのか?」

「うん、昨日いっぱいしたよ。ねぇ晴人?」

「ああ、たくさんしたな、優菜」


 昨日俺たちは数え切れないほどエッチした。その過程で俺達は相手のことが気になり、恋人になった。

 

「ふざけんなよっ!! なんで俺以外の男とエッチしてんだよっ! お前の体は俺のもんだろっ!!」


 突如、怒り狂った佐藤が優菜に襲いかかる。

 

「え!? きゃっ、ちょっと!?」


 佐藤は優菜を強く抱きしめ、強引に唇を奪った。

 こ、コイツ!? 何してんだ!? 

 佐藤はキスしながら優菜の胸に手を伸ばす。

 厭らしい手つきで彼女の胸をもみ続ける。


 コイツっ!! 俺の優菜に何してるんだっ!!

 ソイツを好きにしていいのは俺だけだぞ!!


「てめぇぇぇ!!! 何してんだよ!!!! 優菜から離れろっ!!」


 俺は佐藤の顔面を本気で殴る。佐藤は勢いよく床に倒れ込んだ。

 床に倒れている佐藤の腹部を、俺は踏みつける。


「このクソ野郎がぁぁぁ!! お前はもう過去の男なんだよっ!! 優菜は俺のもんだっ!!」


 何度も佐藤の腹部を踏みつける。

 このカス野郎がぁぁ!! 俺の優菜を汚しやがって。絶対許さねぇからな。

 佐藤が「も、もうやめてくれっ!!」と懇願してきたけど、全て無視して奴の腹部を蹴り続けた。

 このぐらいにしておくか。

 スッキリしたしな。


 俺は優菜に駆け寄る。


「大丈夫か?」

「うん、大丈夫だよ……。それよりごめん」

「は? なんで謝るんだよ?」

「……和樹とキスしてごめん。嫌だったよね?」

「あれは仕方ないだろ。別にしてないよ」

「気にしてないの……?」

「ごめん、今のは嘘だ。めっちゃ気にしてる。嫉妬で狂いそうだよ。上書きしていい?」

「うん……晴人の好きにして」

「ああ」


 俺は優菜の唇を優しく奪う。

 優菜は俺の唇を受け入れた。

 優菜の口内をかき回し、俺の唾液を彼女の口の中に流し込む。

 優菜はゴクリと俺の唾液を乗んでくれた。

 

 ディープなキスをしている俺達を見て、佐藤の顔は絶望で歪んでいく。

 佐藤のやつ、めっちゃ泣いてるじゃん。そんなに優菜を奪われたがショックだったのか?

 まぁなんでもいいか。

 佐藤を無視して優菜の唇を楽しんでいく。

 一旦唇を離して、優菜に話しかける。

 

「優菜、今日もエッチしような?」

「うん、いっぱいしようね」

「もちろん生でいいよな?」

「晴人ならいいよ」

「ははっ、サンキュー」

 

 俺たちの会話に佐藤は絶句する。


「な、生だと……優菜、ソイツと生でしたことあるのか?」

「うん、昨日たくさんしたよ」

「な、なんでだよ? なんでそんな奴と生でしたんだよ? 俺とは一回も生でしてくれなかったのに……」


 そういえば優菜は俺以外の男と生でしたことない、と前に言ってたな。

 佐藤の野郎、めっちゃ悔しそうな顔してる。優菜と生でしたかったんだろうな。


 はははっ、悪いね、佐藤くん。

 お前が憧れてた中出しセックス、俺が代わりに楽しんでやるよ。

 今度、コイツと中出しセックスしてる動画でも送ろうかな?

 ははっ、ははははっ!

 やべぇ……。笑いが止まんねぇよ。

 今日は実に気分がいいっ。


「おい、優菜、早くホテル行こうぜ」

「うんっ……」

「お、おい! 待てよ!! まだ話は終わってないぞ!! お、おい!!」


 佐藤の言葉を無視して俺達はホテルに向かう。

 ホテルに到着した俺達は早速ベッドの上で夜のプロレスごっこを楽しむ。


「優菜!! 気持ちいいだろ!!」

「うんっ……やっぱり晴人のじゃないと満足できないよっ。もうアンタがいないと生きていけない!!」

「佐藤の体じゃ満足できないのか?」

「うんっ……和樹のじゃダメなのっ。晴人のじゃないとダメなのっ……」

「ははっ、そうかそうか。くっ……やべぇ、そろそろだっ、優菜っ。中に出すぞ!!!」

「うんっ……いいよ。その代わり赤ちゃんできたら責任取ってよ?」

「ああ、二人で一緒に育てような」

「うんっ!!」

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