Episode③【高峰晴人】
第1話 いじめ
【高峰晴人 視点】
高校に進学して3ヶ月が経過した。
もう三ヶ月か。早いな……。
進学して三ヶ月が経つのに、まだ友達がいません。
自分、まだボッチなんっすよ。
あははっ、お恥ずかしい……。
友達いないんでお昼休みはトイレでご飯食べてます。
まさか高校で便所飯にハマっちゃうとはな……。自分でもびっくりだぜ。
けど便所飯って結構落ち着くんだぜ。俺はああいう狭い空間が好きみたいだ。
にしても、なんで俺は高校で友達作りに失敗したんだ?
中学の頃はたくさん友達いたのに。
友達作るのってこんなに難しかったっけ?
つか中学の頃、アイツらとはどうやって友達になったんだっけ?
だめだ、思い出せねぇ。中学の奴らとは気づいたら友達だったんだよな。
でも高校では気づいたらボッチだ。
ボッチどころか現在俺は虐められていた。
はい、俺、クラスメイトに虐められてるんです。
あ、信じてないだろ? マジだぞ、マジ。まじで虐められてるんだ。
惨めだろ?
「ちっ、痛いな……」
今日も霧島優菜という女に呼び出されて、何発も殴られた。
顔面、胸、お腹、背中、色んな箇所から痛みが走る。
まじで痛いな。
あのクソ女絶対許さないからな。
三ヶ月前から俺は霧島とそのグループに虐められていた。
時間が経てば解決すると思っていたけど……、三ヶ月経つのにまだアイツらは俺のこと虐めてくる。
先生に「俺、霧島優菜に虐められてるんっすよ。何とかしてくれませんか?」と相談してみたけど、全く相手にしてもらえなかった。
あのカス教師め……。
困ってる生徒ぐらい助けろよ。
使えない無能教師が。
早く死ね。
次の日。
「がはっ……」
今日も俺は霧島とそのグループに殴られていた。
コイツら、休み時間になったらいつも俺を殴ってくる。
抵抗したいけど、できないんだよな……。
だって相手は5人だぜ? こっちは味方ゼロだ。
たった一人で5人全員相手するのは無理だ。
あと、相手はほぼ全員運動部で俺はただの帰宅部だ。勝てるわけがない。
「なぁ……もうやめてくれっ」
俺がそう言うと、このグループのリーダー霧島優菜が不敵な笑みを浮かべる。
「いやよ、やめないわ」
「は……? なんでやめてくれないんだよ? そもそも、なんで俺のこと虐めるんだよ?」
謎だ。なんでコイツら俺のこと虐めてくるんだ?
俺は何も悪いことしてないのに。
「理由なんかないわ。強いて言うなら楽しいから」
「っ……」
霧島の言葉に絶句する。
なんだよそれ。
楽しいから俺のこと虐めてるのか?
俺はこんなに苦しんでるのにっ。
お前のせいで高校生活地獄だぞ。
全く楽しくない。
ぶっちゃけ自殺まで考えてるんだぞ、俺は。
俺がこんなに苦しんでるのに、お前らはそれを楽しんでるのか……?
許せねぇ、絶対お前のこと許さないぞっ、霧島っ!!
いつか復讐してやる。
覚悟しろよっ!!
「がはっ……うぇっ」
何度も霧島とそのグループに暴力を受ける。
5人相手だったから抵抗はしなかったよ。
悔しいけどこの状況を受け入れた。
◇◇◇
あれから1年が経過し、2年生に進級した。
1年が経ってもまだ俺は虐めを受けていた。
今日も霧島とそのグループに顔面を5発殴られたよ。
鼻がめっちゃ痛い。鼻血まで出てるし。
また先生に相談してみたけど相手にしてもらえなかった。
なぁここの教師頭おかしくないか?
なんで誰も俺の味方してくれねぇんだよ。意味わかんねぇ……。
この虐め、いつまで続くんだろう?
高校を卒業するまでずっと続くのかな?
それは嫌だな……。
どうしよう、誰かに相談した方がいいのかな?
いや、けど相談する相手いないんだよな。
教師は相談しても相手にしてもらえないし。
親とは仲悪いから相談できないし。
中学の友達とは最近連絡取ってないから相談しにくいし。
困ったな、相談する相手が見つからない。
こうなったら警察に相談してみようかな?
いや、けどそれはちょっと嫌だな。面倒なことになりそうだし。
はぁ……。
なんで俺がこんなことで悩まないとダメなんだ。
俺はただ静かに暮らしたいだけなのに。
この虐め……早く解決してくれないかな。
◇◇◇
ある日、霧島に復讐するチャンスが訪れた。
あの日は気分転換するために散歩していたんだ。
「あっあっあっ」
ぼーっと近所を散歩していると、公園から女性の声が聞こえてきた。
気になった俺は声の発生源に近づく。
「ん? あれは……」
公園で夜のプロレスごっこをしているカップルがいた。
カップルは全裸でお互いを激しく求め合っている。
おいおい、まじかよ。公園でとんでもないことしてるカップル見つけたぞ。
アイツら、頭大丈夫か?
「気持ちいいか、優菜」
「う、うん……凄く気持ちいいよっ」
「ははっ、そうか。俺も気持ちいいぞっ」
「んっんっ……」
え?
あれって霧島だよな?
そう、公園で彼氏とエッチしている女の子は霧島優菜だった。
彼氏に後ろから求められるたびに甘い声を出す霧島。
あんなエロい顔してる霧島を見るのは初めてだ。
今の霧島は大事なところが全て丸見えの状態。
恥ずかしそうに甘い声を上げ、蕩けた表情を浮かべている。
そんな霧島を見て、悔しいけど興奮してしまった。
おいおい、なんで俺はあんなカス野郎に興奮してるんだっ。
アイツはいつも俺のこと虐めてるカス野郎だぞ?
そんな奴に興奮するなよっ……。
ちっ、ダメだ。いつも俺を虐めている女を見て、興奮が止まらないっ。
悔しいっ、あんな奴に興奮したくないのに。
けど仕方ないだろ。アイツ、性格はカスだけど、顔とスタイルは抜群だし。
あのクソビッチっ、性格はゴミクズなのに体は本当にエロいな。
あんなエロい女と一回だけでもヤりてぇなぁ。
「あっあっ……和樹、すっごく気持ちいいよっ」
「俺もだよっ、優菜」
コイツら、人目を気にせず楽しんでやがる。
頭大丈夫かよ……。
学校の関係者に見つかったら停学になるぞ。いや、下手したら退学になるぞ。アイツらわかってるのか?
あっ、そうだっ、いいこと思いついた。
今の状況を利用すれば霧島に復讐できるかもしれない。
俺はポケットからスマホを取り出して、霧島たちの行為を撮影し始める。
霧島の大事なところ。
甘い声。
蕩けた表情。
アイツの全てを動画に収める。
この動画を使ってアイツに復讐してやる。
覚悟しろ、霧島。
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