第4話

 ここはゆめのなかです。

 いつもどこかから、あのおとがきこえます。

 でんしゃのおとです。

 がたん、ごとん。

 きんいろのそうげんがひろがっています。

 でんしゃのそとには、おそらにあるまっかなゆうやけが、どこまでもつづいていました。

 わたしはきょう、おかあさんのところからべつのおうちへむかうのです。

 おかあさんは、もうてんこのことをみるのがくるしいそうです。

 てんこは、おかあさんがだいすきです。

 だから、おかあさんをかなしませないようにしたいです。

 けど、ぜんぜんこわくありません。

 さむうさがいます。しろいけむくじゃらのさむうさが、おかあさんのかわりにおててをつないでくれています。

 そうげんは、いつのまにかなくなりました。くろいおおきなたてものが、いっぱいにはえています。

 でんしゃがおわりました。このえきをおりて、てんこはあたらしいおうちにむかいます。

 かなしくはありません。

 でも、もういっかいだけ、おかあさんに、あいにいきたいな。

 まだいきません。てんこはかしこくて、がまんづよいのです。

 おべんきょうをして、かわいくなって、なんでもできるてんこになったら、

 おかあさんは、きっとてんこのことを、あいしてくれるはずです。

 だから、てんこはしゅぎょうします。

 かわいいおんなのこになるしゅぎょうをしに、このおうちの、ひとりになるのです。

 てんこはしゅぎょうして、へんしんします。

 かっこいいてんこに、じまんのむすめに、へんしんします。

 いもむしさんも、いつかちょうちょになるってききました。

 だからてんこも、いつかちょうちょになるのです。

 がちがちちがちがちがち――。

 はねのおとが、きこえます。


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