新たなる陰謀①



凛真と奈々美は、前方から現れたモンスターの一団と対峙していた。その数は十体以上、そしてそれぞれが凶悪な姿をしていた。魔物たちは獰猛な目をし、牙をむき出しにして迫ってくる。だが、凛真はその状況にまったく動じることなく、冷徹な表情でじっと見据えていた。


「奈々美、お前は後ろに下がってろ。ここからは俺一人で十分だ」


「はい…!」


奈々美は凛真の言葉に従い、少しだけ離れた場所へ下がる。彼女にとっては、この状況で何もできないことがもどかしいが、凛真の指示には逆らえない。彼がどれほど強いのか、その戦闘能力はすでに身をもって知っていた。


モンスターたちが突進してきた瞬間、凛真はその場に立ち尽くしたまま、わずかな動きで反応する。彼の手のひらから、青白い光が放たれ、次の瞬間には目の前に立ちふさがっていたモンスターたちが一瞬で吹き飛んだ。


「──速い…」


奈々美は思わず息を呑む。そのスピード、そしてその圧倒的な力に目を見張るばかりだった。モンスターたちは一体また一体と倒されていき、まるで凛真にとっては遊びのような戦闘が繰り広げられていた。


その中でも、凛真の目は常に冷静で、無駄な動きは一切しなかった。彼の攻撃は、常に最短で最適なものばかりで、余裕すら感じさせる。


「これで終わりだ」


そう言って、凛真は最後のモンスターに向けて、また青白い光を放った。それがモンスターに直撃し、彼の体は瞬時に粉々に砕け散った。


戦闘は終わった。だが、凛真は立ち上がると、すぐに警戒の目を周囲に向ける。戦いが終わったからといって油断することはない。


「一体、こいつらはどこから来たんだ?」


その言葉に、奈々美は凛真の方を見つめる。


「確かに…こんなに大量のモンスターが一度に現れるなんて、普通じゃないですよね」


凛真は黙ってうなずき、周囲を探るように視線を動かす。


「おそらく、この地域で何かが起きている。背後にいる奴らがいるはずだ」


「背後にいる奴ら…?」


「そう。モンスターの襲撃が急激に増えてきたのも、ただの偶然じゃない」


凛真の言葉には確信が込められている。その背後には何か大きな陰謀が潜んでいるのは明らかだった。


奈々美はその言葉に不安を感じつつも、少しだけ前を向いて言った。


「私も、凛真さんと一緒に調べたいです。何かできることがあれば…」


「お前ができることは、邪魔をしないことだ」


凛真は冷たい言葉を投げるが、その目は奈々美の方をしっかりと見据えていた。その瞳の奥には、わずかながらも信頼が芽生えているのを、奈々美は感じ取る。


「わかりました…」


奈々美は少し悔しそうに答えるが、それでも凛真の指示に従う覚悟を決めていた。彼の強さに圧倒されつつも、自分も何かできることがあればと思っているのだ。


凛真は再び立ち上がり、歩き出す。その足取りは無駄がなく、確かな目的を持って前進している。


「行くぞ」


「はい!」


奈々美はその後ろに続くように歩き出した。二人は新たな謎を追い、また新たな戦いに向かって歩みを進めていく。


数日後、凛真と奈々美は一つの小さな村にたどり着いた。


この村には、モンスターの襲撃が頻繁に起きているという情報があった。どうやら、この村も背後に潜む勢力によるものらしい。村人たちは恐怖に怯え、助けを求めている。


村の広場に立つ凛真は、冷徹な目で周囲を見渡す。


「さて、今回はどうするか…」


凛真がそう呟いたその時、村の一角から悲鳴が聞こえた。それはただの偶然か、それとも何かが動き始めたのか──。


凛真はその音にすぐに反応し、足早にその場所へと向かう。


奈々美も急いでその後を追い、再び新たな戦いの舞台が始まろうとしていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

封印されてた元魔王、現代で無双する @ikkyu33

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る