第8話 遊びの誘い
~その日の夜~
校長へ七不思議の討伐の完了を知らせるため、校長室の前までやってきた。
「校長!」
「おお蜜奈か!どうした?何か七不思議の情報を掴んだというのか?」
「掴んだというか、倒したというか…」
「倒した!?そうか、流石あの2人の娘、仕事が早くて助かるよ」
「私が討伐したのは第7の不思議、理科室の動く骸骨で、名前が与えられていました」
「名前?」
「はい。名をガグロスと名乗っていました」
「…ガグロスか。珍しい名であるな?」
「そうですね。骨の設計的に恐らく男性であったと思います」
「男性…。そうか。七不思議にも性別の差分があると言えるのか…?」
「わかりませんが、恐らくは」
「まあよい。よくぞ七不思議の内の1体を討伐してくれた!まさかここまで簡単に倒してくれるとは思ってもいなかったぞ!」
「それでは引き続き、七不思議の討伐に勤しみますので、それでは!」
「ああ、よろしく頼むぞ」
そうして私は次の七不思議討伐を目指すのであった。
~次の日の朝~
「おい蜜奈」
「…はい先生」
「反省したか?」
「それはもうとても」
「しばらくは雑用係だからな」
まじで許してもらえてなかった。目は笑ってないどころか、奥底に深淵すら感じた。厨二臭い例えだが、本当に深淵としか言い表せないほどの黒さであった。
「それにしてもあの教師、恐ろしい目をしているな。私も背筋がソーッドしたよ。ソードだけにねっつってね」
「は?」
「…ごめんなさい」
そんな他愛のない会話を万妖麗寿とし、授業を受ける。今日の授業は座学しかないから正直言ってめちゃくちゃ退屈だ。
「81…82…83…」
「何を数えているんだ?」
「先生が言った助詞の数」
「本当に何を数えているんだ…」
「…であるからして…蜜奈、ここの空欄に入る座標は何だと思う?」
「え、あ?」
「おーい、こんなの二次関数ですらないぞ。y=ax^2の単純式なんだから、座標ぐらいパッと出せるようにしとけよー」
「あーえっとー」
「なんだ?わかったか?」
「36?」
「ああなんだ、話聞いていたのか。すまない、話を聞いてないと思って当てたのだが、誤解だったようだな。じゃあ続けるぞー」
当てずっぽうって当たる事あるんだ…。ちゃんと授業は聞くようにしとこ…。
「…が魔法関数の特徴であって…」
それにしても退屈だ。分かりきった内容を復習しまくるなんて、暇で暇でしょうがないよほんとに。
キーンコーンカーンコーン
「おっとチャイムが鳴ったな。今日はここまでとしよう。それじゃあ授業を終わるぞ」
『ありがとうございましたー』
これで今日の授業は全て終わり、放課後になる。
さて、今日は確か…
「蜜奈ちゃん」
「山科ちゃん!?」
「今日放課後空いてるかな?」
急に誘われてしまった。なんだろう?なんか教えて欲しい魔法でもあるのかな?
「どうしたの?」
「今日A組のみんなで遊びに行くの。蜜奈ちゃんもどうかなって思ったんだけど…、どうかな?」
「え」
めちゃくちゃびっくりした。正直あっちから誘われることは無いだろうと思っていたから、唐突な遊びの誘いに動揺してしまった。
「えっあっ、…え?」
「あ、ごめんね!?別に今日無理だったら全然大丈夫なんだけど!」
まずい、ここを逃したら今後金輪際誘われることはない気がする。
「で、どうかな?今日来る?」
「行く!」
もう私の中で1番の元気な返事をした。そりゃ友達(になるかもしれない)に遊びに誘われたら誰だって浮かれるだろう。
「あ、うん…!分かったよ。クラスの皆に伝えとくね!」
「うん、お願い!」
もう全く遊びに誘われてこなかった人の反応だっただろう。でも、正直に言って、めちゃくちゃ楽しみ!クラスのみんな来るんだよね?これは仲良くなれるチャンス!
~2時間後~
私は今待ち合わせのカフェに来ている。待ち合わせ時間は30分後なのだが、楽しみすぎてもう来てしまった。どうしよう…?
「あれ、1番最初に着くのは俺だと思ったんだけどね。待ち合わせ30分前だぞ?めちゃくちゃ早く来るじゃん。まあ俺も同じなんだけどな」
深矢が来た。めちゃくちゃ来るの早いじゃん。私が言えた事じゃないんだけどね。
「まあそうか、このメンツで遊びに行くの初めてだし、遅れたら困るもんな?早く来てる方が印象もいいってもんだよなー」
「うん、そうだね。っと、そうだ!何か飲みたいものある?私頼んじゃうよ!」
「え?ああ、俺は自分の分は自分で出すから気にしなくていいんだよ。それより蜜奈は何か飲みたいものあるのか?」
「えー…こういう所の飲み物はよくわからないな」
実際私は前世にはスターバ○クスという大手のカフェがあったりしたが、暗殺家業を営んでいた私には全く縁のないものだったしなぁ…。
よし!せっかくこの世界にもカフェがあるんだし、思い切ってなんか頼んじゃうか!
「よし、じゃあこれにしようかな?」
「ん?どれだ?」
「イチゴホイップクリーめっ…抹茶練乳スぴっ…シャっ…ト️っぺん…ふらぺてぃー…の…?ってやつにするかな」
「イチゴホイップクリーム抹茶練乳スペシャルトッピングフラペチーノ!?めちゃくちゃ渋いところ攻めたな…」
あれ?印象悪い感じ?美味しそうなもの適当に頼んでみたんだけどな…?
「いいな、それ。俺もその気分になってきたわ!それ2つ頼んじゃおうか!」
「お、おっけー!じゃあ注文しに行こっか!」
「ああ」
そしてこのなんちゃらかんちゃらなんちゃららフラぺなんちゃらとかを注文した。
「お待たせしましたー!」
「おー!」
「こちらイチゴホイップクリーム抹茶練乳スペシャルトッピングフラペチーノになりまーす。代金はこちらにお願いしまーす!」
「わかりました。何円ですか?」
「えん…?えー…こちらの値段は2つ合計で1500セルとなりまーす…!」
あぁ、そう言えばこの世界は円とかドルとかじゃなくてセルだったな…。つい癖で…。
「はい、じゃあ1500セルです。お願いします!」
「え?ちょっと待
「はーい、1500セル丁度、お預かりしましたー!ありがとうございましたー!」
「じゃあ席に戻ろっか!」
「待て待て、ここはせめて割り勘で」
「いーのいーの!ほら、ホイップが溶けないうちに、パパッと飲んじゃお!」
「えっあ、ああ」
そして私たちは元の席に戻って、一緒にフラペチーノの飲んだのだった。
「あーごめーん、ちょっと遅れちゃったー」
「2分遅刻ですよ、和水。もっと早く来れるように意識を高く持って貰わないと困りますね」
「ごめんよ将星…。でもこれで皆揃ったのかな?じゃあ早速行きたいところ言っていこうー!」
「ビリケツできた癖に、なーにしれっとまとめ役しようとしてんのよ」
「ちょっとサリア、その言葉遣いはちょっと…」
「あ?」
「は?」
「はいはい喧嘩するんじゃあない!これから遊ぶんだ、明るくいこう!な?サリアも蓮花も!」
30分後、クラスの皆がカフェに集まった。
「それにしても、早速蜜奈と深矢でいーい感じの雰囲気になってたじゃんかー!ちょっと詳しく聞かせてくれないかなー?」
「うっせ囁華。んな御大層な事は起きてねえよ」
「えー、つまんないのー」
「ったく、いちいち色事にしてきやがってよ…」
「蜜奈ー、本当はなんかあるんじゃないのー?」
「え、無い」
「ここまでキッパリだと逆に傷つくかもな」
「微塵も可能性の無い証拠だな!」
「うるせえ小豆!!」
「プーックスクス!深矢の雑魚乙ー!」
「いい加減にしろー!」
何だかんだでいいやつらだな…、ほんとに。
「はあーっ…じゃあ存分に笑わさせてもらったところで早速、私は服見に行きたーい!」
「あー…あ、いいかもな…」
「何考えてんのよ蓮花。あんた蜜奈ちゃんの別の可愛い私服姿いっぱい考えてんでしょ」
「なっ、なぜバレた!…じゃねえ、うるせえ違ぇよバカ!なわけないだろ!」
「思いっきり本音出てるじゃないの…」
「じゃあ服屋でけってーい!早速行こっか!」
こんな感じのクラスメイトと共に、私は遊びに行くのであった。
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