第100話 謎の動物

佐野がシロを連れて帰ってきたので、荷物について聞いてみる。


「おい、あれ動いたぞ! 何が入ってるんだ?!」

「あれっ? 箱の中身はなんだろな、をやりますか?」

「やらんわ! 俺は芸人じゃない!」

「今は一般人もやりますよ? ほら動画サイトとかさ」

「芸の話じゃない! 中身の問題だよ!」

「ふふふふ。秘密です」


ちっ、言わないつもりか。

まぁ良い。こっちにはチートが居るんだ。


「教えろよ。……まぁ良い。シロ、何か判るか?」

「あっ! シロちゃんに聞くのは反則よ!」

「中には動物が居ますね」

「動物?! お前、何を買ってきたんだよ?!」

「ふふふふふふふふふふふふふ」

「言わないのかよ。シロ、判るか?」

「そうですねぇ。でも獣臭く無いですよ」

「獣臭く無いって事は……哺乳類じゃない?! 虫?!」

「ざんね~ん! 虫じゃありませ~ん!」


くっ! ムカつく!

哺乳類じゃなく、虫でも無い。

他に何の生き物が居る?

えっと、魚か? いや、水槽じゃなさそうだ。

って事は…………爬虫類か!


「もしかして爬虫類?」

「正解! さて、何でしょう?」

「はぁ?!」

「ほら、色々居るでしょ。ホニャララレオンとか」

「それカメレオンしか居ないだろ! カメレオンなのか?!」

「残念! ハズレ!」


じゃあ言うなよ!

爬虫類? カメレオン以外だとなんだ?

簡単に買って来れる生き物だろ?

爬虫類っていうと、後はトカゲかヘビしか思いつかない。

……簡単に買って来れるかなぁ。


「結局、何なんだよ! 言えよ!」

「えっ? 簡単だと思ったけど。

 亀ですよ、亀」

「カメ? レオンじゃなくて?」

「カメレオンなんかすぐに買えないでしょ! 普通のカメよ!」


亀か。確かに爬虫類だ。

爬虫類だよな。両生類?


「で、亀を買って飼うのか?」

「えっ? お土産だけど?」

「えっ? 食べるの? もしかしてスッポン?」

「食べ物じゃないですよ! 飼うの!」

「だからお前が飼うのか?」

「貴方が飼うに決まってるでしょ」

「はぁ?!」


何で俺が亀を飼う事になってるんだよ!


「飼わないよっ!」

「飼わないの?」

「当たり前だろ!」

「飼いましょうよ。それでチートにしましょう!」


それが目的か!


「俺がチートにするんじゃないんだよ。神様がするんだよ。

 だから俺が飼ったからといって、チート持ちになる訳じゃないんだよ」

「クロちゃんも?」

「そうだよ。シュンが連れてきた後に神様に頼んでチートを付けてもらった」

「じゃあそうしましょう」

「簡単に言うな。そんなに簡単な話じゃないだろ」

「大丈夫大丈夫。相手は神様でしょ? 私に秘策があるから」

「神様相手に秘策?! そんな軽く言う事じゃないだろ。

 どんな秘策なんだよ?」

「ふふふふ。それは秘密。神様と話をさせてもらえる?」

「まぁ、多分それは大丈夫だけど」

「じゃあそれでお願いしま~す」

「それは良いけど……なんで亀なの?」

「私の住んでるマンションって、亀くらいしか飼えないの」

「えっ? チートにして連れて帰るつもり?」

「そうだけど?」

「チート意味無いじゃん!」

「何で?」

「異世界で活躍する為にチートが必要なんだろ。

 日本で飼うならチート要らないじゃん」

「会話したいでしょ」

「そりゃそうだろうけど。でもそれは神様が許可しないだろ」

「そこも聞いてみま~す」


無理だと思うけどなぁ。

ま、連絡してみるか。

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