第99話 ようやく仕事

「思ったんだけどさ」

「……何ですか?」

「佐野もこっちに来てしまったんだから、外に出して魔素を振りまいてもらったら?」

「無理です」

「何で?」

「佐野さんですけど、魔素の保有量が1しか無いからです」


1?!

たったの1?!


「本当に1なのか?!」

「そうですよ。と言うかですね、地球に居る人のほとんどが0~1ですよ?」

「そうなの?!」

「ええ。だから貴方の価値が高いんです。

 だから異世界に行ってもらったんです。だから出てもらいたいんです! 理解出来ましたか?!」

「……うん。理解はした」

「『理解は』ってなんですか!『理解“は”』って!

 理解したなら実行してください!!」

「はははは。理解出来てるのと行動出来るのは別だよ?

 さっきの例えで言えば、ポンプの構造を理解してても作れないってのと同じさ!」

「ムカつくくらい正論で返してきた!

 しかも私の出した例えまで流用して、上手い事返してきた!」


そうかい?

そんなに褒めるなよ。テレるじゃないか。


「まぁまぁ。その内に、出る方法と言うか、放出する良い方法を考えるから」

「出るだけでしょ!」

「ソウデスネー」

「あっ、この人、出る気無いわ……」


神様は諦めたような声を出して電話を切った。

考えるって言ってるのになぁ。


まぁ良いか。

それよりも佐野だよ。


「佐野~。神様から電話があったぞ」

「へ? 何?」

「出るのは無理だってさ」

「え~~~~~。何か方法あるでしょ?!」

「出たきゃ何か方法を考えるんだな。

 そうすれば、俺が神様に提案してやるよ」

「本当ですね! 考えてきます!!」

「うん。それは良いけどさ。

 仕事の話をしに来たんだろ? その話はどうなった?」

「どうでも良いです!」

「いやいや! 仕事大事! はい、こっち来て!」

「あ~~! シロちゃ~~~ん!」

「お仕事頑張って下さい」


あっ、シロに言われたらおとなしくなった。

良い事だが、何か納得出来ない。

少~しムカつく。


「えっとですね。新しいソフトが出来たんですよ。

 これを使っても良いものかと。それを聞こうと思ってきました。

 今ではどうでも良いですけど」

「どうでも良くないだろ。

 一応使ってみたんだろ? どうだった?」

「悪くは無い感じです。ボタンの配置とか画面の見やすさとか。

 ただ、動作が少し遅いと感じますね」

「ふ~ん」


ここからは1時間くらい、真面目に仕事の話をした。

やれば出来るんだよなぁ。たまにポンコツになるけど。


そして終電前に、帰って行った。

泊まりたがってたが、さすがにそれはマズいだろ。世間体的に。

帰り際に「偽装結婚もアリか?」とかつぶやいていたのは、聞かなかった事にしよう。




で、2日経ったけどさ。

朝から佐野が来た。

仕事しろよ!

そして、その手に持っている物は何かな?


「これですか? 昨日買ってきました!」

「うん。買ってきたってのは判った。中身が気になってるんだよ」

「まあまあ。そこは中で話しましょうよ」

「俺んちだ! お前が決めるな!」


俺の答えも聞かずに、中に入っていく。

そして荷物をリビングに置いて、シロクロを探し始めた。

何やってんだよ。


……ところでその荷物、さっきちょっと揺れたんだけど?

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