第101話 フランス

電話してみたら、凄く面倒そうな声がした。


「何ですかも~」

「いやいや、イヤそうな声してるけど、俺も別に電話したかった訳じゃないんだからね!」

「……なんでツンデレみたいなセリフなんですか」

「いや、本当なんだよ。

 ほら、佐野って居ただろ。アレがさぁ電話してくれって言うからさ」

「それで電話するって何? 神様だよ? 気軽に電話するものじゃないよ?」

「だって用事があるそうだから。結構大事な用らしいよ?

 今替わるから。ちょっと待って」


佐野がさっきから隣に居るんだよ。

さっさと替わって、早く終わらせよう。


「ほら、神様でたよ」

「ほいほ~い。

 あっ! 聞かないでね!」

「えっ? 何で?」

「大事な内密な話だから!」

「……まぁ良いけどさ」


じゃあ俺は飯の準備でもするかな。

一応シロクロに佐野を見張っておいてもらおう。





30分も電話をしていた。

ところで、俺から電話したので金額がかかってるんじゃないだろうか?

あっ、そう言えばフリーダイヤルだったな。

それにしても長電話だったな。


「どうだった?」

「いや~、交渉頑張った!

 結果、亀にチートを与える事は成功したよ。

 条件として日本には出せないけどね」

「そりゃそうだろ。さすがに俺も日本にシロクロを出そうとは思わないぞ」

「まぁね。犬猫が喋るだけでもヤバいのに、亀が喋るって異常だもんね」

「で、どうやって交渉したんだ?」

「それは秘密!」

「……あっそ。まぁ聞かない事にするわ。嫌な予感がするし」

「するどいね~。確かに君に関係する事だよ」

「そりゃそうだろ。神様と交渉するネタってそれくらいしか思いつかないし。

 あっ! アレか?」

「何?」

「魔素の放出方法」

「ま~近いかな」


ほほう。何か良い方法を思いついたんだろう。

しかも神様がOKしたくらいだ。

実現可能なレベルの話なんだろうな。

俺に被害が無ければ、頑張って欲しい。


「それで、この亀は結局どうするんだ?」

「ここで飼ってよ」

「……まぁ良いけど。庭にプールもあるし」

「なにそれ? 自慢?」

「いやいや、お前も高級マンションに住んでるだろ!」

「一軒家じゃないもん」

「前に『一軒家はセキュリティがね~』とか言ってたじゃん!

 自ら進んでマンションにしてたじゃん!」

「今考えると、一軒家でセコってたら良かったかもね~。ペットも飼えたし」

「買えば?」

「ん~、面倒」

「そうですか。

 っていやいや! 亀の話だよ!

 ここで飼うのは了承した。名前はどうするんだ?」

「君が付けても良いけど、センス無いしなぁ~」

「失礼な!」

「じゃあ何個か候補を出してみてよ」


ふん。

驚くほどセンスの良い名前を挙げてやる。

亀だろ。英語だとタートル。フランス語だとトルチェだったっけ?

それ以外に関連する事を思いつけば……色は緑か。


「じゃあ……、英語とフランス語を足して『トル』、シロクロ関連で色から取って『グリ』。

 後は……『マンネン』とかどう?」

「…………私が付けるわ」

「どういう意味だよ」

「センス無いって言ってるの!

 マンネンって何よ! 鶴は千年亀は万年からでしょ?!」

「よく判ったな」

「誰でも判るわ!」

「じゃあ、ガメ」「その先はダメ! 言わせないわよ!」


超有名なのに。

じゃあお任せしますよ。

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