第74話 どうしてこうなった?!

それから1ヶ月後。

季節は夏から秋に変わろうとしている……家の中しか居ない者が言うなって?

だってほら、エアコンの可動具合に変化が出るじゃん!


それは置いといて。

知らない5人組が訪ねてきた。

シロ曰く、あの時隠れていたのが4人居ると。


「残り1人は?」

「知らない人です。街にも居ませんでした」

「……どうして判る?」

「気配が合致する人が居ませんから」


気配まで判るようになってるのか。

シロよ、君は何処に向かってるんだろうね?


シロと会話してたら、インターホンが鳴った。

観察してたのなら、まぁそれくらいは知ってるよな。


「はい。どちら様ですか?」

「私はシガス帝国のリャムと申します。カズマ様にお話があって参りました」

「これはご丁寧に。自分がカズマです」

「……あの…………出て来ては頂けないのですか?」

「はい。出ません」

「……」


監視カメラで見た所、美人さんだ。

で、シガス帝国ってのは知らない。ここはシーマウ王国だって聞いてるし。


関わり合いのない国から美人が訪ねてくる。

うん、警戒するよね?

美人に会いたい気は当然あるけど、会うと怖い。

上がってしまって、変な事を言いかねないから。


「ご用件は何でしょうか?」

「それはお会いしてからお話したく存じます」

「あ~無理ですね。ではお引取り下さい」

「何故でしょう? 理由をお聞かせ願いますか?」


美人過ぎるから会いたくないとは言えない。

言い訳を……ああそうか。簡単だ。


「貴方の周囲に居る人達は、この間まで家を監視してた人達です。

 そんな人達を率いて来ている人には会いたく無いですよ」

「そのような事はございません!」

「いえ。確認してますので、誤魔化せませんよ。俺の姿を確認後に帰りましたよね。

 シロ、えっと、うちの猫と犬が見てましたので判っています。

 シロとクロの事も知ってるでしょう?」

「…………」

「調べてますよね? だからここに来た。そうでしょう?」

「……何故そう思われます?」


いや、何故って言われても。

自分で言うのもなんだが、優秀な者は引き抜きが来るものでしょ?

ラノベでは、それがイヤだから目立たないように行動するってのが決まりだ。

大概失敗するけどな(笑)

決まり文句は「どうしてこうなった」だぞ!


「監視して色々調べるって事は、結界やシロクロの事を知りたいから。

 何故って言われても、シロクロは強いし、結界は破れない。

 それを知った各国は、自分の国に引き込みたいものじゃないんですか?

 俺なら間違いなく、人を派遣しますよ」

「……そこまで判りますか。では私も全てをお話します。

 言われる通りです。調べた結果、我が国に必要と判断致しました。

 どうか来て頂けないでしょうか?」

「無理です」

「破格の対応でお迎え致しますよ?」

「必要無いです。ここに居る目的は知っているでしょう?」


ほら、ウソの設定のやつだよ。

魔素の塊があるから、ってやつ。


「存じております」

「なら、判るでしょ?」

「貴方に嘘偽りを言ってもダメでしょうから、はっきり申します。

 もし、ここで魔素が暴走しても我が国には被害は出ないでしょう。

 それよりも貴方の持つ技術や魔法が必要です。

 非道な事を言っていると思われるでしょうが、我が国も危険な状態なのです」

「それは?」

「我が国にはドラゴンの巣があります。

 近年、ドラゴンの出産が相次いでいるようでして、数が増えてきています。

 放置出来なくなる前に、シロ様に退治して頂き、そして王都に結界を張りたいのです!」


思ったよりもヤバそうな事になってるな!

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