第48話 シロの回。冒険?4
『シロの回。冒険?4』
壁を走り、王の前に着地します。
「こんにちは。主に託された物の完成品を持ってきました」
「ね、猫?! いや、モンスターか?!」
「排除しろ! 陛下、こちらへ早く!!」
ナイフが飛んできますね。
隠れていた者が投げて居るようです。
当たっても問題無いでしょうが、万が一もあるので弾いておきましょう。
爪を出す程では無いです。しっぽで叩くだけですね。
「尾で弾くだと?! くそっ! 強敵か!」
「近衛兵はまだか! 早くしろ!」
騒がしいですね。
敵対しに来たのでは無いのですから落ち着けば良いでしょうに。
「落ち着け!!」
「へ、陛下?! しかし……」
「問題無い! 知り合いだ!」
「し、知り合い…………?」
「シロ殿と言ったかな。久しぶりだね」
「お久しぶりです」
「して、今日は?」
「書類が出来ましたので、お届けに」
「おや? 使者が居て、その者が持って帰るはずだったが……」
「主に無礼を働いたので、まだ宿で寝ているのでは?」
「……なんとなく理解した。うちの者が無礼を働いたようで、すまなかった」
「へ、陛下!! 猫に頭を下げるなど!!」
「こちらの使者が無礼をしたのだ! 任命し送ったのは私だ。責任は私にある。
責任者が頭を下げなくてどうする!!」
周囲の人は狼狽えてます。
しかし、言われてる事は合っているので当たり前じゃないですか。
主なんかは、電話相手でも頭を下げますよ?
私は書類を取り出し、王に近づきます。
「陛下!!」
「危険は無い! シロ殿、そちらが例の?」
「そうです」
「早いな」
「主は優秀ですので」
「ふっははははは! そうかそうか。では受け取ろう」
「こちらに受け取りのサインを貰えますか?」
「受け取りのサイン?」
「ええ。確実に本人が受け取ったという印です」
主が宅急便相手によくやっています。
今回はそれを真似てみました。
この機転! 主が褒めてくれるでしょう!
「ふむ。許可のサインのような物か。なかなか良い考えだ。
真似させてもらっても良いかな?」
「問題ありません」
「そうか。ありがとう。
ここに書けば良いのだね。……これで良いかな?」
「はい。確かに。では帰ります」
「もう帰るのかね?」
「ええ。主が待っているので」
「なるほど。しかし報酬を受け取ってもらわなくては」
報酬! 忘れていました。
配達しか言われてなかったのですが、確かに仕事をしたので報酬があって当然です。
主は何を望んだのでしょう? 聞いておけば良かったですね……。反省です。
「前に私が言った物は用意してあるな?」
「ははっ! 用意して御座います!」
「持って来い!」
「あ、あれは、猫に渡す物だったのですか……?」
「いちいち聞くな! 持って来いと言ったのだから、持って来い!
説明は後でしてやる!」
「ははっ!!」
言われた人が持って来たのは袋と本数冊ですね。
「これが君の主と話をして決めた報酬だ。持って帰ってくれたまえ」
「判りました。ではこちらも受け取った証としてサインをしましょうか」
「おお、そうだな。早速利用するとしよう」
インクと紙を差し出されたので、『シロ』と書いて肉球で判を押しておきました。
そして、報酬はアイテムボックスに収納。
これでミッションコンプリートです。帰りましょう。
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